139話 絶対自意識過剰じゃん(笑)。君もそうだよね。
「ずっと聞いてたけどさ、いい加減うざいんですけどー。まじうぜー。ん?あれ?聞こえてる?耳の機能は絶好調ですか?」
増えた僕が、笑う。
彼こそが本物だと誰もが気付いた。
レイヴェアもレクヴィオも、ソウヤも。
本物の蒼夜を前にすれば形無しだ。さて、ここらからの僕はレイヴェアだ。
「あ、ええと」
「んー?何かなレイヴェア君」
レイヴェア。その言葉を久し振りに聞いた様に思うのは・・・さっきの問答が長かったからですよね。なんとも複雑な気分です。
「・・・何してるんですか」
いや、ここは僕の中なんだから僕がいるのは不自然じゃないのは分かってるんですよ?
でも、ねぇ?なんで今頃微妙に会話に入って来たのかなぁと不思議に思う訳ですよ。
そこは流石に同意なのかソウヤもレクヴィオもあははと乾いた笑みを浮かべている訳ですよ。
「何って・・・見て分かんない?しょーもない喧嘩を止めてるんだけど」
「いやいやいや。しょうもなくはないだろ」
ソウヤがぶんぶんと待ったをかけます。気持ちは多いに分かりますよ。
「そうですよ、しょうもなくなんてないんです。ほら、あれですよ・・・王道マンガにある自分自身に勝つってやつです。今はその戦っている最中ですよ?そこを邪魔するなんて・・・無粋ってやつですよ。僕だけど」
「おいおい僕が王道に拘る日が来るなんて・・・邪道に生きていた僕は何処に行ったのやら」
邪魔するなって言ってるんですよ。勿論今の僕も王道よりは邪道が好きですがね!
レクヴィオが静かによってきてぎゅって抱きしめます。
な、なにしてるんですかー。頬が染まっちゃうじゃないですか。
とか思っていたらレクは後ろから抱きしめた状態でソウヤと蒼夜を睨みます。
「べー」
な、なんて分かりやすい怒り方!
舌を出して目に指を当てる・・・そんな事する人、初めて見ましたよ。
「・・・いや、レイヴェアが大切なのは分かるけどさー。僕からしてみれば僕が僕を抱きしめてるみたいで・・・キモチワルイ」
「・・・激しく同意」
すっごく引かれた顔をされました。
蒼夜がぷっと吹き出します。
「いや〜ほんと僕って面白いー。流石僕」
「・・・何故か寒気がしました」
蒼夜は美形な筈なんですけどね。どうしようもなく嫌な気分になりました。
ん?自分が美形って言っているって?既に僕は蒼夜ではない第三者なのでそう思える様になっただけですよ。
「さて、と。じゃ、わざわざ皺に悩むお年頃の天使様が時間をくれたんだしー(僕の気が変わらないうちに)終わらせよっか」
何か聞こえたような気がしますが、何を言いたいのかは分かるので何も言いません。
「何言うつもり?」
レクヴィオが警戒しながら言います。
前から思ってたんですけど、レクヴィオって僕にしては幼いですよねー言動が。
「簡単な事に決まってんじゃん。僕が言う事なんだし。まぁ、つまりは・・・」
「僕らは別々に生きましょうねーっていう至極一般常識な事ですけど?」
呆気にとられたのは何故か。簡単な事です。
僕らには別々で生きるという考えが全くといっていいほどなかったからです。
それほどまでに、僕らは自分の存在を大きく見過ぎていたという事なのですよ。
「どれくらい大きく自分自身を見ていたかというと、いわば地球と比較して宇宙みたいな感じの大きさで・・・」
「言いたい事は分かるけど、分かりにくい例えな上に宇宙規模で曖昧過ぎるねw」