137話 僕が誰かって?そんなの、蒼夜に決まってんじゃん(笑)
天使達は消えた。きっと空気を読んでなんだろうけど・・・どうせ見てるんだろうねー。意味ないじゃん。
「何と言いますか・・・へんな気分ですねー」
「・・・僕もそう思う」
「・・・同意」
レイヴェアの言葉にうんうんと頷くレクヴィオとソウヤ。
もともとの本質が同じである以上、考えも考え方も同じなのだから当然のことだろなー。なんて思うのは誰なのか。勿論僕。
敢えて名前で区別せずに僕が僕を視点として僕らについて語ろうと思う。何言ってんだろ僕。
「でも、そんな同じである筈の僕達に異なりが出来た」
「まぁ、そうですね」
「本質が同じなだけだしね」
「あれだよあれ」
「あれですね」
「あれだよね」
「「「水と油。元々同じ液体のくせになぜ混じり合わない」」」
「いやー当然だけどね」
「なぜ敢えての水と油を例にあげたのかは神のみぞ知るw」
「あ、言える言える。てか言おうとしてた(笑)」
敢えて上げた例も言おうとすることも同じなのは、やっぱり元が同じだからなんだろうな。
なんていうか・・・正直言うと微妙に面白く無いんだけど。
言う事が既に伝わる以前に、全く同じ考え方で同じ事をするんだから。会話が成り立ってる事が既に奇跡という小さな出来事w
「それでも、会話が成り立っていて、尚且つそれぞれがそれぞれの感情を持つのは」
「僕らが既に1人の人間じゃないから、だね」
「あは」
「きゃはは」
「くすくす」
「「「あははははははははははは!!」」」
和やかな3人(?)の会話にも終わりが生じる。何故か?だって僕達は今認めた様に、既に1人の人間ではなく、独立した3人の人間となったから。だから僕らは既に他人。そして、覚えているだろうか。僕という存在は家族が何よりも大切で、必要とあれば自分ですらも傷つける。
がっ!!
レイヴェアとレクヴィオがソウヤの首に5本の指を揃えた手刀を放ち、ソウヤは手刀を止めると同時に2人に蹴りを放つ。
一瞬の事。1つの擬音に収まってしまう早さで僕らは動いた。
周りから見れば1対2のふりな状況だが、流石は本体というべきか、圧倒するのは僕。
そんな僕に敵意を放つ僕ら。
「「この体は、僕らが貰うよ!」」
「それは無理な相談だ、な☆」
いつになく真剣な表情で戦う。
きっと僕を知っている人達が見たら驚き過ぎて腰を抜かした挙げ句頭を打ち付けて死んでしまうんだ。くそ、おしい人を失くしたぜソラ(死んでないけど)!
さてそんな事を思っているのは、勿論あそこで戦っている僕じゃない。
僕は蒼夜。
あそこのソウヤじゃなくて、本当の蒼夜。
既に終わりを迎えた僕だよん。
蒼夜→レイヴェア、レクヴィオ→ソウヤ
蒼夜は蒼夜。
レイヴェアとレクヴィオは蒼夜の魂と記憶をもつ別人。
ソウヤはそんなレイヴェアとレクヴィオが作り出した蒼夜に似た別人。
みたいな。