136話 あのとき、こんなことがあったんだー。
『良いこと?良くお聞きなさい』
嫌です。
『・・・あの後なんだけどね』
無視ですか。
おやおや顔真っ赤ですよイオちゃん。惚れちゃった?
『まぁまぁ〜落ち着きなよぉイオちゃん』
『・・・落ち着こう』
『いやよ離しなさいぃ!私はあれを殺すのよぉぉぉ!』
『落ち着けよイオちゃん』
『なんで貴方までいるのよタブリスぅぅぅぅ!』
『暇だったんだよ』
『イオちゃん言うな!』
なんだろう。とてものほほんとしてきた。
『もう〜。話が進まないからぁ、僕から言うねぇ〜?』
フェアーちゃんがえへへ〜と意外にイラッとくる笑みで近寄って来たのでしっしと手を振っておく。
無言で足を踏まれた。痛い。
『・・・こほん〜。さて、レイヴェアとレクヴィオの合体版の前世蒼夜君』
急に話し方が変わった。事務用?意外にまっちしている事に純粋に驚きなんですけどぉ〜。
『君が能力を制限されているのは知っているよね?その封印装置代わりをしていたのがイオフィエルっていうのも。そしてその枷が無くなったらどうなるかも』
そりゃあ封印させていた力が覚醒(笑)するんだ。つまり——
『暴走。ついさっきまでの君を表した二文字だねぇ』
・・・つまり僕は、無表情で暴れ回ったらしい。僕の能力が破壊系じゃなくてヨカッタネ。
『それがよくなかったんだよねぇ。君の能力は何も、《絶対なる支配》だけじゃないでしょ?支配だけでも人を動かすどころか、無機質まで従わす事が出来るんだよ?それに加えて君が今までに手に入れた能力・・・《深層接触》《神聖なるベール》《敏感察知》《最悪な幻》・・・7歳の時、君は自分で「最強なんじゃない?」って言ってたけどね強ち間違いじゃなくなったんだ。それらの能力の封印さえ外れた状態で、君の感情は抑えきれなくなった』
聞いた感じ、天使という存在はただの奴隷じゃないってことだよねぇ。
監視役とも言ってたけど一番近いのは制御人ってとこかな。天使の所有者が変わるのは能力の制御をするためと。
・・・だからイオちゃんはあんなにしつこかったのか。
『ちょっと!人聞きの悪い言い方は!!』
よ、よるなストーカーめぇぇ!
『うにゃぁぁぁあぁあ!!』
『・・・うぜぇんだよいい加減黙ればばぁ』
あ、今の言葉はタブリスじゃないよ。誰かは敢えて言わないけど、言えるとしたら・・・彼女の言葉でイオちゃんの血の気が引いたって事くらいw
・・・怒ると人が変わる人って怖い。
『・・・君の能力の暴走はそういうこと。それで感情のほうなんだけど・・・今の君なら大丈夫、だよねぇ?』
後ろの騒動を無かった事にして、恐る恐るフェアーが僕を伺う。
今の君ならって・・・僕はいつでも平常だよ!酷い奴らめ。
『そう。んじゃ、後ろを向いて〜』
だが断る!
『・・・言ってみたかっただけなんだよねぇ〜?』
当たり前だっ!
そして後ろを向いて——。
「「「・・・やぁ、はじめまして」」」
レイヴェアとレクヴィオ、そして僕の声が見事に重なった。
「「「え?なんでレイヴェアの話し方が敬語じゃないのかって?それは簡単なことだよ。つまりはなんだ・・・えぇっと。なんとなく?」」」
『・・・わざとだよね?絶対わざと敬語をやめて揃えてるよね?』