134話 僕ってね、ふわふわしてるものに目がないんだ。
僕はソウヤ。違うよレイヴェアだよ。それも違うよレクヴィオでもあるんだ。
あーあーあー・・・頭がすっごく混乱してきた。何これ僕末期?多重人格者とかほざいちゃうの僕?確かに色々混じっちゃって大変だけどさっ、でもでも、僕は僕だ。つまり僕ですね〜。僕でもあるよ。違う違う僕は僕だ。や、だから〜えっでもさあれあれ僕はだから——ううん・・・うん?うん。うん。え?
「っ!一体これは——」
「何っ!?体が勝手にっ!」
「ちょ、遂に天井がぁぁぁ・・・あっ(がっしゃあああん)」
「ソラぁぁぁぁ!?」
うぬうぬぬぬ。おかしいぞこれは。僕が3人いる、だとぉ。
お、落ち着け落ち着くんだぁ!そうそう落ち着いて。落ち着いた?うん。いやいや、だからえええ?
と、と、兎に角ぅ敵に専念しよう。そうだそうしようそれがいい。だってあいつは、ソラをあんなにしたんだ。トモダチをいじめたんだ。僕にだって・・・そうだ、絶対に許さないって決めたじゃん僕。
——ぁ。
はやく、やらなきゃ。やらなきゃやられちゃうんだ。
はやくはやく。
——っ。
多分レイヴェアとレクヴィオの残骸意識である2つの人格はさよならしなきゃ。
僕は、1人でいいんだし。
——っ!
力を、力を力を。
ぼ、僕の左腕が覚醒をぉぉぉぉ!しないけどね。
でもそれくらい力を出そう。
それで——
全部壊シチャオウヨ——。
視界からディオネスが消えて、真っ白になる。
ああ、でも・・・。
最後に見えたのは・・・?
「・・・」
良い朝だ。見てみなよこの雲一つない青空!
近づけば目だけでなく体が蒸発してしまいそうな太陽!青く、どこまでも澄んでいてその先はお先真っ暗であろう青空!頬を撫でる様に過ぎ去っていく、誰かのはいた息も含まれている筈の冷たい空気!
頭が痛い?そりゃそうさ!なんたって僕は岩を枕にして——
「・・・あれらー?」
なんで僕、こんな清々しい空見ながらねそべってんの?
頭めっさ痛いっす。せめて草原にねそべりたい。馬の糞とか一杯あるかもねぇ・・・それはやだ。
『・・・起きたかしら』
「おっはー。素敵な声でモーニングコールをありがとう僕の愛しの天使様様〜僕の上で目覚めを待つなんて・・・いい歳してなにしてんのおばさん」
『っうわあああああ死ねぇぇこのまま潰れてしまいなさいよぉぉぉ!』
「ぐほ・・・ちょ、体重やばいって」
『こん、のぉぉぉおおっぉおおぉ!』
まぁ、なんだかんだでこのおばさんの見た目だけはいいからね〜。
乗られて嬉しいなんて・・・そ、そんなことないんだからっ。てれてれ!
「・・・ぐっ!?」
ずきっと頭に痛みが。
『ああ・・・安静にしてなさい。力を使い過ぎたのよ』
そういって目を細めるイオちゃん。
そういえば最近見てなかったなこの人。てか杖じゃなかったっけ?
「で、ここはどこ?」
『・・・ここは、貴方の中です。ご主人様』
『あはっ。目ぇ、覚ましたのぉ?』
久し振りに見る天使達。
やっぱ見た目だけはいいんだよなぁ。なんて勿体ない。
「で、えーとー頭ん中でー岩がすっごくごつごつでーイオちゃんが僕に跨がっててー・・・。あれおかしいな。僕の頭の中ってお花畑の筈なのにお花の一つもないよー?まぁここで気のきいた紳士なら綺麗なお花がいるじゃないか(真っ白な歯を光らせて)とか言うんだろうけど生憎僕はただの人間ですからー」
『・・・まるで、そんなことを言う人は人間じゃないと言いたいみたいね』
人外に言われてもねぇ?
「それで?」
僕が真面目そうな顔つきになるとイオちゃんが眼光を鋭くして背筋を伸ばした。
そういえば天使の羽って・・・ふわふわそうだよね。
『今の状況だけど——・・・なによその手は』
イオちゃんにごみを見る様な目で見られた。ぐすん。
「ぐすん。少しくらい触らしてくれても・・・」
『嫌よ。絶対に、嫌』
『・・・仕様がないです。どうぞご主人様』
『え、ちょ、ルーン!?何故私を羽交い締めに!?』
『あははは! いいねそれ! さ、早く触るといいよ!』
「では遠慮なく・・・おおおお!も、もっふもふぅぅぅ〜」
『い、やぁぁぁぁぁぁぁ!?』
『——くすくす。天使の羽を触るってことは一生共に生きて行くっていう意味なんだけど・・・言わない方が面白いよねぇ〜?』
とかいうあまり意味の無い設定を作ってみたり。