131話 誰も、聞いて、ない、だとぉ・・・orz
「今の僕はレイヴェアとレクヴィオの合体版みたいなもので、体だけでなく意識をも共有してる感じなんだよね」
横に軽く腕を振ったら、どっかでガラスが割れた様な音がするんだ〜。
「で、前世の僕を基準にしたからこうなったわけなんだけど」
こん、って近くの壁(?)を突いたらひびがはいった。脆いな〜。
「そんなわけで、レイヴェアは眠っていたけどレクヴィオは起きていたから、その時の記憶はちゃあんとあるわけ」
すっとディオ兄さんの頭に人差し指を向ける。や、別に目つぶしするわけじゃないからね?
「だから兄さんは大好きなんだけど〜」
やれやれと頭を軽く振る。兄さんがびくりと揺れた。どうしたんだろ〜。
「でもでもやっぱり、だぁいすきな人達がぼろぼろになっちゃってるのは兄さんがやったからなんだよね〜」
とんと足で床を小突く。びしって鳴った。
「僕、人ってどうでもいいんだけどさ。やっぱお気に入りは大切にしたいし〜」
壁を優しく(?)撫でる。なでなで。あれ?なんか薄くなってない?削れてる?
「だから家族な兄さんは大好きなんだけど」
愛の告白だ〜。やん恥ずかしい。レイヴェアなら兎も角、今の僕は蒼夜であって、つまり男なんだけどさ。
「まぁ、何が言いたいって簡単に言うと」
で、貼付けてた笑みがごっそり抜け落ちた感覚に陥る。実際冷たい目をしてるんだろうな〜。
「許さないから〜」
兄さんのお美しい顔が笑顔を失敗したような曖昧な表情になってく。口元がひくついているけど、それはそれで美しいですね兄さん。
堕ちろイケメンが。ひがみ?あはは〜そうですけどなにか。
「っ・・・ですがね」
「これ、決定事項。選択権存在せず。OKだよね」
軽く兄さんのおでこを押すと・・・この通り。
「っがぁ!」
「兄さんの能力は鏡——つまり、反射とかだよね?それだけじゃないだろうけど、僕の可愛い天使達が兄さんの存在に気付かなかったのもそういう認識を反射してたからだ。攻撃が当たらなかったのは反射してたから。攻撃を溜めてから反射すればそれはそれは凄まじい威力でしょうとも。で、鏡の世界へ招く事で対象者を鏡に共鳴させるって感じかな。だからその辺の鏡を割ればその対象者がばりんばりん、と」
兄さんの腕と足が崩れ落ちる。
ち、顔じゃなかったのか。もっともげてしまえ。
「く、何故、こんな、ここは、私の世界ですよっ」
「そんなもの《支配》しちゃえば関係ないしぃ〜。僕ってばちょー最強ですもんですよ」
「し、はい・・・」
「そー。僕の能力《絶対なる支配》。いやほんとすごいねこれ。なんでもできちゃうよ」
「そ、それはそれは・・・なんてずるい」
「えへへ〜チートと呼んで下さい兄さん」
「一体、どういうことなんだ?」
ルハイトさんがひくついた笑みで呟く。
気持ちは分かるぜレイヴェアのお父さん。
「お前は知っているのかソラ」
きっと睨んでくるクレイトおーじ。実はあんたたち以上に知ってますぜ☆とか言ったら殺されそうだ。物理的にも精神的にも。
でも説明はいるよな〜。
「・・・信じるかどうかはお任せだぞ?」
蒼夜の為にはみんなに伝えといた方がいいよな。
あ、きちんと前置きしたんだからそんな「は?」って顔で見ないで。
全部本当のことだからっ。え、いやマジだって。ほんとに神が——ってちょ、聞いてって。
そんな夢物語はどうでもいい?だから本当だって!あいつも俺も、あのディオネスってやつもみんな・・・ちょ、ねぇ、天使だっているんだぞ!ほらこいつとか・・・天使に見えない?ちゃんと羽があるじゃんかぁぁ!
「・・・ソラ。もう、いいから」
「哀れんでるよなアリサっ!」
「神様っていうのにも寿命があって、次期後継者候補が俺達なわけだ」
(髪様?)
「そんな俺達は神候補と呼ばれており、神の座を狙って殺し合ってるってわけだ」
(髪の座・・・)
「・・・ソラ。もう、いいから」
「途轍もない勘違いをしてるよなアリサ」