127話 ほらこういうのって、期待が重くなるパターン?
ばりぃぃぃぃん!
暫くして真っ白に染まっていたソラの世界が、遂に開門した!ん?むしろ割れたから・・・だ、脱皮?いやそれはないわねうん。
後ろじゃ息絶え絶えのむさい男共(女組は待機。鬼だと叫んだ人が居たけど・・・ああ、ルイスだけどどうかした?)がとても暑苦しい。なんか休戦状態になってるし。
まぁ、どっちかっていうとー、ていうか事実言っちゃうとー、言っちゃいますと・・・負けてるんだなぁ、これが。
で、今囲まれてる。
私?
自分の身は守るよ?
ほらピィちゃんが(スカーレット家代々受け継がれる切り札中の切り札、ピィちゃん!)。
ルイスに熱いって怒られたけど、いや知らんし。
でもほら。今からソラが来るんだから!
「ねっ! ソ・・・ラ?」
あ、れ?
「お、おいソラ!?」
「きゃぁあ!そ、ソラ様・・・ですの?」
「なっ!どうなっているソラっ」
ソラは、ぼろぼろだった。
ぼろぼろなだけならよかった。ただ、異常なのがどうしてソラはあんなに固そうなんだろうってこと。男の人だし体は固い方がいいんだろうけど・・・じゃなくて。ソラの体はまるでガラスが割れたようになってた。腕のあった場所の皮膚はどう見ても人の体じゃない。ダラスみたいに鋭く尖っている。
遠くにあるソラの腕も固いものにはいるようなひびが入っていて、足も似た様なものになってた。
そう、ただの、ものに。
「っソラ!!」
急いで駆け寄って、ソラの顔に手をあてる。
固くはない。でも・・・
「目、が・・・」
光をなくした瞳にもひびがありありと浮かんでいた。
「ぁ・・・リ、サ?」
「ソラ!」
ソラの唇が微かに動く。
「・・・——」
「え?」
「・・・わ、る・・・ぃ」
「わ、悪く無い!悪く無いから!てか何言ってんの!?それ、フラグって言うんだよ!?レイがそう言ってたんだ!だからそれ以上何も言わないで!!」
頬に何か冷たいものが流れ落ちる。
「・・・お願い。それ以上はなにも、言わない、で——こぷっ!?」
「ぁ・・・? アリ、サ?」
ソラが見えない目で私を見ようと身を捩る。
「だ、大丈夫。何でも無いの。だからソラ、今は寝ていて」
精一杯の笑顔で答える。
瞼を下ろしたソラをみて安堵で顔の筋肉が緩む。緩むと言っても微笑んだ訳じゃない。痛みで、眉をしかめたんだ。
「お見事です。アリサ嬢」
「どう、いたしまして・・・」
お腹から突き出た長い剣が凄く、邪魔。
あー。意識がぼんやりしてきたなぁ。やばいやばい。このままじゃソラの後を追いかけちゃう——いやいや、死んでないから。ソラはまだ死んでないから。むしろ私だけで逝くとかやだなんですけど。やっぱり一緒にいこっかな・・・。
「アリサぁぁぁぁぁぁぁ!!」
あ、あー。ルイスだよね、ね。
聞こえない。聞こえなくなって来た、よぉ・・・?
ソラを、助けて・・・ね。
レ、イ・・・。
——くすくす。くすくすくすくすくすくすくすすすすすすすすす・・・ふぅ。