123話 ソラって・・・ソラってぇぇぇぇ!?
「おやおや・・・逃げたのではなかったのですか?」
「勿論逃げたぜ?別次元までな」
どや。
まじだしね。だからそんな生暖かい目はやめてくれ。ちょ、皆さんもだって!
「それで?君がここに居られるのは彼女を助ける為として・・・何故、御霊の力が効かないんですかね」
「あれ?結構いい場面なのにそこは飛ばすのかよ。そこはこう・・・『ふ、今更貴様のようなものが何のようだ(どや)』みたいな反応示すとこじゃね?」
「言ってて寂しく無いですか?」
「・・・とっても胸に来ました、よっ!!」
俺は地面に手をつける。
——能力発動《異次元トリップ》
説明しよう!異次元をトリップする俺のスキルだ!
ただ、テレポートなるものとは違うのが難点。なぜならこれは異次元を行き来するものだから。同じ世界のどこかに移動しようとしても出来ないのだ。残念な事に。
で、最近気付いた。
あ、サンドイッチみたくはさめばいんじゃね?
つまり、現在の世界→違う世界(自作)→また最初の世界。
そうすればほら。テレポートと同じだ!
ディオネスの背後に歪みをつくってそこから殴り掛かる。
「っ!? ほう。魔法とは違いますね、ですが——」
ごぉっ!
「それって、テレポートよりも無駄が多いのでは?」
謎の力が向かって来たのを感じた。
気付いても避けられない見えない攻撃。
レイヴェアさんの父さんやら腹心の執事さんやらが苦戦してた・・・奴の能力。
「・・・ほんと、ごもっともだ」
だからこそ、効かないな。
そんな、真似っこの攻撃なんて。
無謀だって叫びたかった。逃げてって叫びたかった。
私自信が気付かないほど、私は絶望していたんだと思う。
だからディオネス様が笑った時、想像してしまった。
ソラが血だらけになって呻く姿を。流石の私もそれを見て喜べる訳が無い。いつものはただの趣味なだけで。
なのに。
——・・・攻撃が当たってない?
見えないけど感じられる何か。
レイヴェアのおとーさん達はそれに気付けても避けきれなくて今のこの状況なわけで。
レイヴェアのおとーさん達はとっても強いって有名なわけで。
だからいつもへたれレイヴェア馬鹿なソラなんかが勝てない訳で。
勝てない、わけで。
「・・・っ、彼が、圧倒している・・・っ?」
レイヴェアのおとーさんが呻く。
そりゃ驚くよね。いきなり壁と一体化する謎のレイヴェア馬鹿だった男が強くって。
別にソラはディオネス様を圧倒しているわけじゃない。
ただ、攻撃が当たってないだけ。
ただそれだけで圧倒している様に見えるのは、ディオネス様と渡り合っているからで、ディオネス様はもともと強いと評判だったわけで、つまりは——
「・・・強かったんだな・・・あいつ」
ルイスの呆然とした言葉に、確かにと一同が頷いた。
「・・・なんだろう。凄く胸が痛い」
「涙が出ているようですが・・・大丈夫ですか?」
「うるせぇお前がそれを言うな」