117話 かみ。紙。髪。神?
「どうかしましたか母様?」
どうもこうも・・・裏切ったから母様は混乱しているに決まっているじゃないか兄様。
父様や王様達だって、(意識は残してあげたのかな?)ぼろぼろな体で目を見張っているじゃないか。
まさか、裏切り者が仲間どころか家族の中にいたんだから。
「・・・その2人が『鍵』?クレイト様はただのフェイクだったっていうの?」
「そうですよ」
「じゃあ、君は!僕を最初から騙してった言うの!?」
「それは貴方が一番理解しているのでは?」
「っ」
うんうん。裏切りって辛いよね〜。分かる、分かるよエアレズさん。
現在進行形で僕達も裏切られてるんだし?いやぁ、人間は怖いねぇ。嘘を平気でついて、人によっては家族ですらただの駒としか見てなかったりするんだから。まぁ、そうそうこんな兄様みたいのは居ないだろうけど。
というか、そろそろ僕を抱えるの止めて欲しいな。
僕だって一応男の子だから、こういうのって・・・こ、困る///
いや、まじで。
「ティナノール家に代々伝わる秘宝。ほら、覚えてますかレイ?子供のとき、それが理由で何度も攫われかけた・・・いや、実際攫われた事もありましたね。それですよそれ。ティナノール家は代々王家と仲いいですからね。その縁で王家の秘宝とティナノール家の秘宝を交換しているんですよ」
いやいや、仲良過ぎじゃない?それ。
秘宝を交換って・・・。
母様達は当然知っているし、兄様も・・・一応次代の者として知っていたのかな。
まさか、僕達の体内に取り込んでいるあれが鍵だったとはね。驚きだよ。
ほんと、存在すら忘れていたから尚驚き。
「っ僕を怒らせて、ただで済むと思っているの?」
「ええ」
「く、この! ——っ!?」
がん!
飛び込んで来たエアレズの頭を足で床に押し付けた(?)のかな。
体が痛くて前が見えない・・・。
レイとの傷もあるけど・・・でもそれにしては少しおかしいな。
兄様は、本気で戦う僕達2人を止めるほど、強く無かったでしょう?(これ、ほぼ断定)
そんなわきや——サブキャラの兄様がラスボス(仮)のエアレズを叩き潰す。
「私はこの向こう側にある物がとても欲しいんですよ」
そういって兄様はエアレズを踏みつぶした。言葉通り。表現はぐろいからね。母様の前でそんな事は言わないよ。
あ、母様直でみてた。
「く・・・何故だディオネス!何故、お前が」
父様が芋虫みたく這い寄ってくる。頑張れー。フレッフレッとーおーさーまー。む。力尽きちゃったか。
根性ないよ父様ねばーぎぶあっぷ。
「どうして、ですか。簡単な事ですよ。あれが手に入れば——」
——神に、なれるんですから。
・・・兄様。とうとう頭がいっちゃった?
——神に、なれるんですから。
(か、かみ・・・髪、だとぉ!?)by最近頭皮を気にするお父さん
(か・・・紙?わたくしの紙になるのですか?び、微妙ですわね)by現在リア充中のお嬢様
(か、加美!)誰だ。