116話 あらあらまぁまぁまぁ。あらぁ?
左足を繰り出せば左腕で止められる。
続けて左手を繰り出せば右足で防がれる。
魔法は同じ魔力を込められて相殺される。
同じ動き。同じ力。同じ魔力。
周りで聞こえる叫び声は届かない。
ただ僕は君だけをみてる。
いるんでしょうレイ?
お願いだから、僕を、1人にしないで。
僕をみて。僕だけを。
そうじゃないと、僕は・・・。
心が、コワレルヨ。
ほら、今のこの部屋みたいに脆く、儚さを見いだせない瓦礫のように。
「くっ・・・まさかこれほどとは・・・見誤りましたね」
「ああ・・・まさかこれほど」
「レイちゃんの魔力が凄まじかっただなんて」
私は驚愕に淡々と言葉を紡ぎます。
え、私が誰かって?
嫌ですわ。
皆のアイドル、ウリューネちゃんです!
・・・ご、ごめんなさい。
分かってます分かってますから!良い歳した女が痛い事するなって言いたいんでしょう!
分かってますとも!既に3人の子を持っている身。今更ぴっちぴちの少女なんて言いませんよ!
こ、心の中で思うくらいは自由ですよね?い、いえやはりルハイトと共に居る時くらいは少女のような心で居る事を許して下さい!
・・・ああ。今の状況ですね。
「く、まさか既に『扉』と『鍵』が近づいた事で影響が出ていたとはっ。その影響を利用して私達の油断を誘い、纏めて生き埋めにしようという算段というわけかっ。迂闊だった。まさか地下が崩れるほどに扉と鍵の共鳴力が凄いとは・・・いや。ここで凄いのは私達全員を、ここが崩れ始めている事を気付かせない為に結界と幻影で惑わせたレイヴェア=ティナノールか!ルハイトに聞いていた魔力制御の腕輪を早過ぎるであろうタイミングに取ったのもその為!全く、恐れ入る。だが、先ずはレイヴェア=ティナノールとレクヴィオ=ティナノールの戦いをとめ、着実に扉に近づくあやつを止めなければ!」
・・・まぁ、そういう事らしいですわ。
兎に角、ただでさえ崩れているこの部屋を、更に刺激を与えている我が子を止めなければ。
ですが、まぁ。
我が子達もやんちゃしたいお年頃なのね。
いつも愛想笑いが多くて面白く無かったのよ・・・。
「さぁ! 今、僕の世界が始まるんだ!」
あら。クレイト君が扉に押し付けられちゃいましたわ。
そして、ぴかりと眩しく輝き——
「・・・あか、ない?」
呆然とエアレズさんが呟きます。光っただけなうえに、拒絶するように弾かれましたわ。
「ど、どういう事っ!?ただ接触させればいいって、そう聞いてたのに!聞いてないよ、聞いてないよこんな事!!」
今までの余裕が見事に崩れて、まるで子供のように駄駄を捏ねる悪い子。
王様が焦りながらもにやりと笑っているわ。悪役ねぇ。
「ざ、残念だったな!我が息子は『鍵』ではないわ!」
「っじゃあ、誰が鍵だって言うのさ!」
「誰が教えてやるものか!だがこれで貴様の野望は崩れたの!」
今までに無い焦りを見せるエアレズさんに勝ちを確信したの。
だってエアレズさんは扉を開ける最も重要な鍵の在処を知らない。
それに加えてこっちは多勢。卑怯?いえいえそんなもの、言いふらす様な人がいなければいいのですよ☆
さて、後はのんびりと駄駄を捏ねて戯れている2人を回収して——
「『鍵』はこの2人ですよ?」
「・・・え?」
何故、貴方は私の愛しの2人を捕縛しているのですか?
何故、私の後ろに居た人達が血だらけなのですか?
何故、貴方は——
「・・・ディオネス、ちゃん?」
「なんでしょう母様?」
何故、笑っているのかしら?
おおお。
なんか・・・急展開?
どんどんシリアスにはいっていきます(時々ギャグいり)。。。