115話 いや、まぁ・・・うん。
「ぶっちゃけて言うと、王家って禁忌に近い世界支配装置を持ってるんだよ」
「ぶっちゃけちゃった!?」
エアレズのさらりとした言葉にいち早く反応を入れたのは・・・ち、生きてやがったか、のソラ君。
あれ?動けないんじゃなかった・・・ああ、やっぱりまだ這いつくばってたか。お似合いだよ。
「うぅ・・・くそぅ。俺だって、俺だって・・・」
俺だって?
「レイヴェアさんの愛さえあれば勝てたのにっ」
慟哭(笑)。
「絶対にないから安心してよソラ君。君は負けている方がいいよ」
「それはキャラ上か!? それともお前の願望かレクヴィオ!」
それが本来の姿であり、真実だからだよ(きりっ。
それよりも、『様』はどうしたのかな。ちゃあんとそういう教育をした筈なんだけど・・・。この一晩で何かあったのかな?
「・・・おおう?謎の寒気が」
「僕の君への想いだよ」
「災難だねぇソラ君?」
「なにこの組み合わせ!なんの違和感もねぇよ!てかその立ち位置はレイヴェアさんのもんだぁ!」
「ああ、僕ですか」
「喋れたんだ!?」
あれがにっこり笑って、ソラがすっと目を細める。
「・・・昨日は、喋んなかった」
「ふふ。それは侵入者の駆除をすることを優先したからですよ」
つまり、昨日「俺が俺で居る為に」レイを助けに行ったソラ君は、そのレイに駆除されたと。
救われない勇者様だね。
まぁ、そのレイは偽物だからね。そこまで落ち込む必要はないってのは本人も分かって・・・あ、ソラ君の瞳が潤んでる。ああ、やっぱりソラ君はああじゃないと。
「ま、兎に角。その世界支配装置みたいなものが僕の欲する物だよ。名を——」
「——『ランルの御霊』、じゃな」
「そ。君ら王様に代々受け継がれる存在だってね?強大過ぎる力故に町を無にした力。魂を滅ぼすから付けられた『|魂『みたま』の名・・・世界の厄災」
ごくり。誰かが喉を鳴らす。
てか・・・
「世界の厄災て・・・ぷっ」
「はいちょっとそこ、黙ろうね?」
何それ。なに?うけねらってる?世界て、大雑把な。そんな物がそのおっきな扉の向こう側にあるって?それで?クレイト王子様はその扉を開ける鍵ってわけ。へぇ。で、レイヴェアはその為の人質&戦力として捕獲と。世界を支配する為のすんごい装置・・・。
もっと凄いものだと思ってたのに・・・。いや、特に例は上げないけどさ。
「いや、ほんとに・・・」
わざわざそんな物の為に僕らを巻き込んで、
ねじ曲げて、
怒らせて・・・。
僕とレイヴェアを引き離して。
——なめてんの?
そもそも世界の厄災なんて、君の隣で笑ってるじゃないか。
にこにこにこと。
あんな、僕の知らないレイヴェアは、要らないのに。
・・・まぁ、レイは秘密多いんだけど。
女は謎が多いほど魅力的とかいうけど・・・レイは、うん。人に寄っては不気味なんだろうなぁ。
「はいっ!というわけでエアレズさんの隣でにこにこにこと笑う世界の厄災(レクヴィオ命名)の僕でございます。今の僕はとても素直です。どんな命令でも聞きますともええご主人様ぁぁ!貴方の全てをこの僕様がぁぁぁ!」
「あ、あれ? こ、コントロールがぁぁぁ!?」
自力で復活(嘘だけど)。