113話 レーイーちゃん。あっそびーましょ。今回も僕のターン☆
暗い…ですね。最初の方。
レイ、レイ、レイ。
痛い、痛いよ。どうしてかな?すっごく心が痛いんだ。
体の傷も、レイから与えられたものなら痛く無い筈なのに。
ほんとどうしてかな?
大好きだったレイの笑顔が凄く——しい。
レイから吐き出される言葉も、張り付く様な感じがして——しい。
僕と同じ蒼と碧の瞳も、同じだと思うだけでとても——しい。
ああ、この気持ち・・・。
どうすれば無くなるの?
その仮面を剥ぎ取れば?その声を無くせば?その瞳の光を無くせば?
そうしたら、今のレイを見なくてすむのかな?
今のレイを無くせば、いつものレイに戻ってくれるのかな?
それとも、僕が居なくなるべきなのかな?
ねぇ、レイ。
僕は、君を殺せばどうなると思う?
僕はね、きっと僕は君と一緒に死んじゃうんだと思うんだ。
あ、でもそうしたら、ずっと一緒に居られるって事かなぁ。
黒い黒い感情が僕を染上げて、レイは嗤う。
ああ、ほんと——忌々しいなぁ。
「そこまでだよレイ♪」
その声でレイは一瞬で僕の前から消える。
むぅ。
僕の声じゃ反応してくれない癖に、とか拗ねてみたり。あはは〜・・・ふぅ。
「・・・ほんと、何してんだろ僕」
危うく、レイを殺っちゃうところだったじゃないか。
馬鹿か僕は。レイより馬鹿なのは自覚はしてるよ。
なんたってレイは3歳にして計算とか完璧だったんだから!
・・・んー、それって天才のレベルじゃないよねぇ。
どう考えても異常。うん、レイは異常なんだ。よって僕は馬鹿じゃない。(←十分異常です)
ふと見れば、エアレズ(だったかな)の足下には無様に這いつくばる男が2人。
ざまぁみろ。格好付けて勇み込んだり、単独で行動するからこうなるんだ。
まぁ、人の事が言えないと自覚はしているけどね。僕だから許されるんだよ、ソラ君、王子様。
エアレズがソラを蹴り飛ばし(笑)王子様を掴んで引きずって行く(笑)。
連れて行った場所にあるのは・・・
「扉?」
大きな、巨人が二人くらいがつめ合って、屈めば通れるであろう扉があった。
大き過ぎるから逆に気付けなかったわけで。僕が無能なわけじゃないんだよ。
無能なのはあそこで引きずられている王子様なんだから。
「・・・ふぅん?ってことは、だ。その王子様はこの無駄な大きさの扉の『鍵』って事かな?」
「流石理解が早いね義兄様」
「うん。絶対殺してやるよお前。手始めに、死のうか?」
「やだな〜。ちょっとした冗談だよ〜☆」
「手が滑ったらごめんね☆」
きゃはきゃはとはしゃぎ合う。
これぞ青春!成る程、レイの言っていた『1人の女の子を取り合う』これこそが青春なんだね!
絶対嘘なんだろうけどさっ。
「くすくす。これで、やっと手に入るんだ。やっと、やっとね」
何が手に入るかは知らないけど、レイは手放して貰わないとね。
もうどうでもいいや。
兎に角、エアレズがその何かに気をとられているうちにレイを——
「レク君!駄目よ!その男を止めて!」
・・・母様?
ええと・・・なぜいらっしゃるのでしょうか母上様様。
え、まさか父様も?え?
誰か付いて来てるなぁとか思ってたけど、あの腹黒メシスさんだけじゃなかったの?
そんな思考を他所に母様の声に自動反応した体は、真っすぐとエアレズに殴り掛かり——またもやレイに止められる。
「駄目ですよレク。邪魔しちゃあ」
お揃いだった筈のレイの指輪は全くの別物になっていて、ぱきりとひびが入った。
そして僕は、沸き出す魔力に吹き飛ばされた。
・・・えぇ〜。そこは受け止めて下さいよ母様。
僕をさっと避けた母様に軽く殺意が湧いたのは必然なんだよきっと。
〜レクとかが敵んとこに侵入しようとしてた時とか〜
「おやおや全く・・・思惑通りに侵入する気のようですね」
「い、いいかお前達!こっそりだ、こっそり後を付けるのだぞ!」
「もう〜ルハイトったら心配性なんだから〜」
「・・・本当に心配してるなら、手伝えばよろしいのに」
(ん?今メシスさんの殺気を感じたっ?え、いるの?そこにいるの?ちょ、なにそれ聞いてない。てことは僕達の侵入って想定済みだったわけですかそうですか。・・・ちっ)