111話 役立たずは帰れ帰れ! ・・・ああん? すんませんっ
レクヴィオは涙を零しながらも強い意志を宿して戦い、レイヴェアは意思を持ちながらも操られる様に戦う。
その戦いは凄まじく、同時にとても悲しい戦いだと思う。
「さて。邪魔者は消えた事だし、始めようか」
ラスボス——エアレズが悪そうな笑みで言う。
「お、まえっ。レイヴェアに何をした!」
流石のレイヴェアもあんな戦い方をレクヴィオとする筈がない。
そもそもレイヴェアが敵の為に戦うなんて天使じゃないんだしありえない!勿論レイヴェアは俺の天使だが、それとこれとは話は違う。
「ええ、酷いな〜。僕が何をしたっていうのさ」
「いや、どう考えてもお前が原因だろ。というより、お前以外に誰がいる」
「誰って・・・ほら、彼とか」
「は?彼?」
「そうそう。レイヴェアのストーカーさんで、レイ様至上主義で、何気に強い・・・」
・・・おい。まさかそれは。
「おう。呼んだ?」
「呼んでない。ひっこんでいろ」
ち・・・ソラか。
いや、エアレズのいう『彼』はそういう意味じゃないのは分かっている。んだが・・・無性にむかつくな。
でも、何気に強いっていうのは嘘だろ流石に。
「何故お前がここにいる。自分が自分で居る為に行くと——」
「だからここにいるんだよ。お前、思考回路運転してるか?まぁ、坊ちゃんだからな。仕様がないか」
「なっ! ソラ、お前ソラのくせに生意気過ぎないか!?」
なんなんだこのソラは! 「人間だが」 知ってるわ!
何故かこいつの話し方がすごくレイヴェアやレウヴィオに似ている。
正確には、核心をつくのが上手い?なんだその嫌なのは。
兎に角、俺はこんなソラは知らない!
「・・・あーあ、だからお前らは嫌いなんだよ俺は」
「っ何を」
「だから俺は、レイヴェアがいればいいんだ」
は? 確かにそれには同意だが・・・。
「あー・・・ほんっとむかつく。あんたさぁー、ああエアレズだっけ?ほんと、何してくれてんの?折角俺もレイヴェアさんといれる仲になってたってのにさぁ。障害はレクヴィオだけで十分だっつの。へんなとこで頑固な王子様も増えるし。しかも?あんたがレイヴェアさんに変な事してくれたおかげで、俺とレイヴェアさんの感動の再会は台無し。ありえねー。俺の時間を返せ。てかレイヴェアさんを返せ」
・・・ほんとにこいつはあのソラか?
もしかして俺はもの凄い勘違いをしてるんじゃないのか?(当たってます)
よし、落ち着こう。ソラのイメージを纏め直そう。
まず、初対面。
無視されてた。貶されてた。陥れられていた。空気扱い。弄られていた。
・・・うん。悪かったなソラ。
「役立たずは引っ込んでろ」
・・・あぁん?
「・・・先にいってくれて構わないですわよ?」
「いやいやそんなあられもない格好されてちゃぁ」
「何を言って・・・っ!うせるのですわこの変態がぁぁぁぁ!!」
「ぐぼぇぇ!?」
「この、私の弓を受けるといいですわぁぁ!」
「ちょwそれは駄目だろ!最終奥義を出すなぁぁ!」
「失せろぉぉぉぉ!」
・・・その後、ルイスを見た者はいないという。
「生きてる!生きてるからっ」