110話 綺麗な顔だけど、気持ち悪いなー。本音なのが憎らしい。
うん・・・シリアスになってきました。
「や、よくここまで来たね」
「そうだね。僕もそう思うよ」
のんびりと(している様に)交わされる言葉。
相手は俺らのように子供だった。実際年齢は知らないけどな。
で、相手に返事を返すレクヴィオが怖い。
目に見えない負のオーラが見える。いや、見えないんだけど。
なにこの差。相手の方がきらきらしてるぞ?
「で?レイはどこ」
「んー、レイなら・・・」
「ここにいますよレク」
「! レイヴェア!」
何時も以上にきらきらのレイヴェアが、そこにいた。
おお、笑顔が眩しいぜ!
流石俺の天使・・・ん?天使? あの、レイヴェアが、天使?しかも叫んだのは俺だけ?
「お、おいレクヴィオ・・・?」
しかも、だ。感動の再会の筈なのにレクヴィオの反応が薄い。
てか、何この無表情。黒いオーラとともに冷たい冷気が漂って来ているみたいな。
「くす。どうかしましたかレクヴィオ?」
レイヴェアがまた笑う。
そしてレクヴィオの表情が変わった。
「レイ・・・」
すごく、悲しそうに。悲痛そうに。苦しそうに。儚く散りそうに。消え入りそうに。涙を流しそうに。
・・・憎悪を、抑える様に。
「・・・ええと、ラスボスさん」
「ああ、エアレズといいます。どうぞよろしく」
「そう。じゃあエアレズさん。うん、そうだねよろしく。ほんとに、これからも、よろしく」
次の瞬間、空気が一片した(ように感じられた)。
「じゃあ、死のうか」
吐き出される様に放出されたレクヴィオの憎悪は、全てを支配した。
だって俺の体、恐怖で硬直してるからな。
流石レクヴィオだ。べ、別に俺が震えてるのを誤摩化している訳じゃないぞ?ほんとに。・・・ほんとに。
許さない。許さない、許さない。絶対に許せない。
よくも、よくも、よくもレイを。
ああ、何も感じられない。レイの心が感じられない。あの偽物の笑みが気持ち悪い。綺麗だけど、好きだけど、凄く不愉快だ。
一体誰?僕のたぁいせつなレイをこんなにしたのは。偽物にしたのはだれ?
早く消さないと。僕が僕でいられなくなっちゃう。
ねぇ、レイ。君の心が感じられないのがこんなにも苦しいなんて、あの時以来だよ。
あのおじさんが、僕達を、レイを苦しめた時。
僕はレイの心が感じられなかった。
それが怖くて怖くて・・・レイを感じられない自分が憎くて。
また、感じられない。
でも安心して。
君にかかっているのはただの薄っぺらい魔法だから。
そんなのすぐに術者を殺ってしまえば綺麗になくなるから。
そうすればまたレイの綺麗な笑顔が見られるんだ。
レイの心も感じる事が出来るし、なにより、僕が僕でいられる。
だからレイ?
「お願いだから・・・っ。邪魔をしないで」
分かってる。今の君は僕の声が届かない。
でも、お願い。お願いだから。
そんな奴の盾になろうとしないで!
僕の突き出された拳を抑えたレイは、にこりと笑った。
「・・・え、あ、レイ・・・れ、レク」
(クレイト王子・・・出遅れた感満載だねぇ〜)