11話 悪夢の魔女よ・・・。光臨しないで頂きたい。
7歳になりました。
6歳は色々ありました。
魔法の特訓でぼろぼろのずたずたにされたり、魔力の使い過ぎで何度も結構な熱を出したり、メシスさんの無意識の精神攻撃に愕然としたり・・・。
いい思い出にはなれない思いでばかりですね。
そんな僕達は気付けばディオ兄様とメシスさん、そして意外に強いネルメさんによってしごかれ、基本的な魔法は大体使えるようになりました。
6歳で習得するのは異例らしいです。そんな僕達の相手をしていた兄様達も十分な異常な方達です。何で僕達の周りには異常な人達しか居ないんでしょう?
そういう僕は転生者だからもっとずっと異常なんでしょうけど。
ただ、僕の未だに続く病弱っぷりはありえません。本当に神の愛し子かよ、って抗議したくなるほどに。
くそう。神め。
そんな僕はただ今寝込み中です。
こんなんばっか。
「・・・大丈夫ですか?」
「うにゅ・・・ネリュメさぁん」
「ネルメです。噛まないでください」
ええ!?そこそんなに食いつくとこですか?
「・・・レク、は・・・?」
「レク様はメシスとお戯れ中です」
ああなるほど。遊ばれているんですね。ドンマイレク。
僕が寝込んでいる時は決まってレクは体術の特訓です。
体の弱い僕の代わりらしいです。
体、弱くてよかった~・・・。そこには至極感謝。
「にぎゃーーー!!」
お、レクの悲鳴。
一体どんな地獄を見ているのかや・・・。
おお恐ろしかぁ~。
「フフフフ・・・。その程度ですかレク様」
・・・このセリフ、誰なのか言わなくても分かるよね?
ごめんなさい。僕の思考回路にはあの人の名前は組み込まれていません。というより、頭が拒否ってますね。それはどうしようもない事なんです。
「・・・レイ様」
「? なぁにネルメさん」
「・・・奥様と旦那様は、お2人がどんな事にも強くなる事をお望みです」
・・・やな予感。
「レク様は体術・・・なら、レイ様は・・・」
ごくり・・・。
「幻術の訓練をしましょう・・・」
・・・知ってます?ネルメのメイドになる前の二つ名。
《悪夢の魔女》。噂によれば、その自慢の幻系魔法で10数人もの人達を廃人にしたとか・・・。
しかも、例えどんな相手だろうと全身全力の幻でもてなす――通称《魔女様》。
つまりは、僕は死ぬ気で生きないと駄目だという事ですね。
レク。僕の悲鳴はきっと恐れに彩られた美しい闇の色をしているでしょう。
それではレク。僕は《死》というものを味わいに逝く事にしましょう。
・・・冗談であって欲しかった。
謎に包まれたネルメについて少し判明した瞬間でした・・・。
し、知りたくなんかなかったんだからねっ!
それがどうしようもない事実だとしても!
「・・・誰にいい訳しているんですかレイ様」
「じぶんのこころに」