107話 たべもののうらみはおおきいのでしゅ!かんけいないでしゅわね。
ぎちぎちと締め付けられた体が音を出します。
どうしましょう。
痛くて痛くて・・・涙が出るところか、笑みが浮かびますわ。
本当にこれはやばいだと。
「おやおや?あの方とやらに美しさについて教えるのでは?」
私の笑みに気付かないようですわね。
勝ち誇って私の心をじわりと抉ります。
「貴方は思ったよりも脆く・・・美しくありませんでしたねぇ」
それは分かってますの。
先程申し上げた(心の中で)ばかりでしょう?
「そう。これは美しくなどない。ああ、なんて醜い」
でしょうとも。
綺麗ですらない存在ではその表現の方があっている事でしょう。
それはちーちゃな頃から分かってますの!
「貴方の美なぞ、誰も見ない事でしょう。なんといっても、こんなにも薄汚い者の美感覚など、知りたくもないのですから」
・・・それは、嫌ですわ。
確かに私は醜く、薄汚い人間です。だからといって、私の掲げる美が否定されるのは・・・それは美に生きる私を否定する事と同義。
そしてそれは私の美の対象であるあの方とレイヴェアさんの・・・。
・・・あの方とレイヴェアさんの?
あらあらあら。あらら?
「くくく。つまりは、です。貴方の様な者に敬われるあの方とやらは、貴方の薄汚さを拡大した存在というわけですねぇ?それはそれは・・・お可哀想に?」
・・・あのひとはなにをいっているのでしょう。
わたくしをこばかにしたのかしら?
ゆるせませんわね!このうつくしきわたくしをこばかにするなんて!
きっとぐみんだから、きちんとしたきょういくをうけていないのですわ!
だからこんなうすぎたないしょみんはいやなのです。
いいえ。それいじょうに、あのひとはわたしのだぁいすきなあのかたを、きたないといいましたわ。
ぜったいにいきてかえしませんのぉ!
「ちんでくだしゃあい。わたくし、あなたがだいっきらいでしゅの」
だいっきらい。だいっきらい!
あのかたをばかにするやつなんて、みんな、みんな・・・
「ゆるさないのですわ!」
わたくし、わたくし、あのひとがおかしいとおもうのですわ。
だってだって、あのかたをぶじょくしたのですから。
あのひとおかしい、おかしいのです。
だから、がんばりますの。
あのとき、あのかたがあいつらにやったように。
あのかたのやりかたで。
あのかたのうごきで。
あのかたの・・・コロシカタで。
じぶんのからだなどどうでもいいのです。
あのかたのためになら。
ですからですから。
わたくしがあなたのまねをすることをおゆるしください。
あなたからのばつならなんでもうけるのですわ。
ゆみがひかっている?
そんなこといまはどうでもいいのです。
あのかたはこのひかっているぶきをつかっていましたし、
きっとおなじなのですわ。
「な、何が・・・」
さぁ、やっと動ける様になりましたわ。童心に帰る時間は終わりですの。
今思えば、鎖は私が魔法で出したものですから、解除すればよかったのですわね。
弓は・・・きらっきらですわ。
「さぁ、はじめましょうか」
あの方の為に。
(・・・最近出番少ないな。おかしいな。おかしいな。あれ?僕って主人公だよね?なんか仲間達が頑張って青春しているって時に・・・)
神様が聞いた誰かの心の声。