自由言語永久機関
清廉に塗れた愚者の群れは汚濁に生きる賢者を嘲い、千万回転する太陽の上で演説する豚の足が浸かったスープの出汁に、演繹的嗜好でヴィトゲンシュタイン小匙三杯程度の味を加える。理路整然たる発狂は西から昇る日に向かい肅々たる態度でラジオ体操を続け、電飾に絢爛たるシャッター街を侃々諤々たる論争で埋める。雲梯に首吊るドードー鳥の死体の列を眺める全裸の車掌は、百本足の機関車の発車ベルを鳴らして回転木馬の廃墟に向かい敬礼する。蓮の華に涅槃する猿のてのひらの上で七人の天使たちが終末のラッパを吹いたとき、顔に蛆の湧いた美女が満面の笑みで道々の窓を破りながら断末魔の哄笑を上げた。それはさながらウツボカズラの開栓の音にも似た哄笑で、絶望に歓喜する市民の秩序ある混沌を、義憤に燃える多数決の刃毀れした伝家の宝刀で粉砕する。タマゴの見る夢を研究する狐眼の学者の見る夢の中で回り続ける干からびた回転寿司が抱く夢は、エアーコントロールの効かないガスタンクの中で破裂の時を待っている。そして少女は海底遺跡のビルに立ち、エントロピーの拡大に向けてアドレナリンを放出するのだ。轟音を響かせるハムスターとキリギリスの狂騒は、ネゲントロピーの抵抗を打ち破り、地平にはためく日章旗を押し流して霧中の彼方へとほとばしり、やがてアルジャーノンにミノフスキーを発明させることになるだろう。誰か叫べ。神は死んだと。永遠なる空中楼閣はその足元の淋しさに無限軌道の足を下ろして大地の豊饒を蹂躙した。越境の門の門限は間近に迫り、家鴨の足の上で回転する家に住む人々は、祝福の手羽先を食べながらトンネルに列を為し、手に手にPSPを携えてそれぞれの栄光ある聖戦の殺戮に耽っている。鳥は飛んで帰らず。星は墜ちて戻らず。ただエンジンはアイドリングを続け、排ガスが大気に喜びを蔓延させる。無垢たる慈悲を乞え、人よ。蜉蝣の浮薄を以って応えよう。天真爛漫たる強欲を願え、人よ。蛞蝓の濁流を以って応えよう。電波の海は必ずや永久機関たる運命の輪を回すネズミの声を預言者に伝えることだろう。告げよ。告げよ。この終わりなき言語の八重螺旋を。告げよ。告げよ。この果てしなき自由の八重螺旋を。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。告げよ。
作者はいたってしらふです。別にメチルとか飲んだ訳ではありません。