2.リビングで
………
「それで華、お腹のほうはどう?」
「んっ…、予定日は過ぎているからな、いつ産まれてもおかしくないだろう。」
「そう、ところで、龍くんにはまだ伝えないの?お腹の子のこと。」
「産まれた時のサプライズだ、わたしたちの子が双子なことは。」
「色々大変になるんだし、伝えておいたほうがいいと思うんだけど…。華がそう決めたのなら聞かないわよね。」
「もちろんだ!それに龍の箪笥には男の子だろうと女の子だろうと3歳くらいまでの洋服が詰め込まれている。いつ編んでいるのかもわたしにも分からないくらいだぞ。それにあの龍だからな、わたしたちの子供が何人いようとあいつは同じだろうよ。」
「確かにあの龍之介君のことだ。あまねく愛情を与える、まるで聖母のようだろう。」
「…龍が聖母ならわたしはなんなんだ?」
「「番犬?」」
「二人とも喧嘩を売っているならその葡萄は高くつくぞ?」
「ほれみろ、今の姿は自分のなわばりを守る動物のようだ。」
「そうか、わかった。ならば、こいつは…こうだ!バクッ」
「あぁ!私のマスカットがぁ!!」
「ほらほら、二人とも落ち着きなさいな。お父さんもそこまでは思ってないはずよ。」
「母さんもさっき番犬って言った!」
「ふふっ、じゃあ私の葡萄もどうぞ。二人のことだから心配していないけど、何かあれば頼ってよね?」
「…むぐ。あぁ頼りにし…て…。」
「どうした?華子。」
「…腹が…これ…産まれ…。」
「母さん!タオル準備して龍之介君に連絡!華子、病院へ連れて行くから車に行こう。」
「そうね。華、保険証と母子手帳はいつもの場所よね?龍くんには連絡しておくから先にお父さんと行きなさい。」
「くっ、ふぅ…すまん…。」
「例なら後でいい、車まで歩けるか?」
「私も準備して追いかけるわ。いい?華。あなたはあなたと子供のことを優先しなさい。」
「…っあぁ…。もちっ…ろんだ…。わたしはこの子たちのっ…ママだからなっ!」
「さすが俺たちの娘だ。誇らしいぞ。」




