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盧植のおそらくは居ただろう子供に転生?した系三国志の話  作者: 凡凡帆凡
いとも容易く行われるエゲツない処理編
77/80

踏み外して酔いは冷めぬまま

 盧繁は屋敷で久しぶりの友を迎えた。


「久々だな周瑜!!」


 門に立ちニッコニコで言った盧繁に対して出迎えを受けた周瑜は愕然とした顔で盧繁を見上げていた。何かもう昔の少女漫画的な顔で叩きつけられた衝撃をあらわにしている。恐ろしい子って感じ。


「盧繁、大きくなり過ぎでしょ。いや子幹様も大概大きな方だったけど。大きくなったと言うより大きくなり過ぎだ。二つの意味で」

「そう言うなよ。照れるぜ。それで顔合わせさせたいってのが其方の? あと話があるとか何とか」

「ああ」


 周瑜が頷き盧繁が視線を横にずらせば壮観な同世代が盧繁の前へ一歩。


「閣下。袁後将軍麾下で校尉を勤め丹陽に駐屯しております。孫策、字を伯符と申します」

「王允の偽勅にて揚州を狙った劉繇を討ち破ったと言う。彼の孫文台殿の御子息でしたね。忠義に篤い御家臣を従えていた。

 取り敢えず中へ。周瑜、久々に饅頭食わせてやるよ。そっちだと米だろ? 伯符殿も遠慮なく」


 盧繁が気楽に言って屋敷を案内する。


「感謝致します!!」

「久々だな。南じゃ忙しくて大概粥だったし。凝った料理はいつぶりだか」


 その背に付いていきながら孫策が軍礼で拱手し周瑜が嬉しそうに声を弾ませた。


「そうだ周瑜。今度は嫁さんも連れて来いよ。確か伯符殿と一緒に橋長史の姉妹を娶ったんだろ? 俺より俺の嫁さんと顔見知りになっといた方が得だぞ。

 ま、政治的な話抜きにしても折角だからな。何も考えず喋りたい時もある。てか相談がしたい。切実に」

「身もふたもないな盧繁。まぁお前はそう言う奴だったね。今度連れてくるとしよう」

「本気で頼むわ。嫁さんへの贈り物を聞いただけで勘違いされるんだから堪らん。と言うか偶に分かってて自分への贈り物かと思ったとかいけしゃあしゃあ言ってくるのとか居るしよ。驚き過ぎて腰抜かすかと思った。

 ほんと怖いよアレ。獣や戦場より怖い。本気で関わりたくない」

「……あぁ。うん。本気で御苦労様。そう言えばそれくらいされて当然の立場か」

「めちゃくちゃビビったわ。本気でこんな事あるんだって愕然としたよね。嫁さんが追っ払ったけど」

「お前は鏡を常備しろ」

「オメーが言うな」

「ハァ……盧繁、それは余りに苦しい反論じゃないか? そもそも私は割と自覚がある。そう、父君に言われて尚まだその程度の認識の君とは違ってな!!」

「グッ……」


 孫策は思った。何だコイツらは。と。


 何がタチ悪いって普通は言ってるだけでドン引きされる様なナルシスト染みたやり取りを目の前でされてグゥの音も出ない程に納得してしまうところだろう。


 尚、孫策も結構イケメン。ワイルド。


「さて」


 そう言って盧繁が大きな卓を前に腰を下ろした。テーブルとでも言うべき物で洛陽でもまだ余りない家具だ。盧繁がソファーベット的な牀だと掃除が面倒で職人に頼んで作って貰った物である。

 盧繁に相対する形で周瑜と孫策は既に座らされており彼らの前には料理が並んでいた。盧繁は従者達に礼を言ってからおしぼりで手を拭って。


「伯符殿。ウチの食事は俺の所為で凝ってはいても珍しい物は少ないです。けど結構美味いんで食べてください。話はその後で」

「は! 頂きます!」

「周瑜。お前はアレな。酥あんぞ。酥」

「懐かしいな」

「だろ。美味い果物持ってきてくれたししっかり食ってくれよ。じゃ、乾杯」

「「乾杯」」


 孫策が豪胆に喰らい周瑜が上品に食べ盧繁が饅頭ポポポポーンて口に放り込む。食い方ほぼ星の◯ービィ。そんな食事を酥を食べ茶を飲む事で終えて盧繁は一息。


「では伯符殿。御用件を伺います」


 孫策が腹に力を込め盧繁に頭を下げた。


「手合わせを願いたく思います」

「……手合わせ? 構いませんよ」


 盧繁は首を傾げる。その程度の事なら普通に言ってくれれば普通に受ける事だ。むしろ打ち合える相手を求めてさえいたのだから。

 一方で孫策は戦意に燃えていた。事ある毎に周瑜にお前その程度で調子に乗るなと言われまくっていたのだ。最近では狩猟に行く度に護衛をつけられ始め流石に鬱陶しい。

 あと普通に雑魚扱い(してない)され続けるのは癪だった。強いのは聞いた事がある。何なら打ち倒して周瑜の小言を封殺しドヤァしたかったのだ。


 だが、もちろん周瑜には狙いがあった。


 普通に不用心な友を心配していたのだ。確かに孫策は強い。が、強いだけだ。周瑜に言わせれば中途半端に強く驕っている。その認識は盧繁の所為で物差し狂ってるが、しかし暗殺は強ければ防げる物では無いののだ。だからそう言った普通の敗北は求めていない。

 今の盧繁がどれだけ強くなったか知らないが完膚なきまでボコボコにされれば少しは落ち着くだろうと思ったのだ。スゲェ心配してる義姉が不憫なのもあった。


「よし!! じゃあ早速、腹ごなしにやりましょうか!!」


 その日、盧繁の屋敷から天を突く様な水柱が延びて昇った。長安の人々は「ああ、いつものね」と気にも留めない。そして孫策は必ず護衛を伴うようになった。


 〓袁紹〓


「酒を注げ」


 震える。ああ、止まらん。酒を!


「閣下、それ以上は……」

「郭図……今だけだ。この喫緊の現状。酒を飲んででも正気を保たねば」


 私は何処から間違えた。いや今は違う。そうでは無い。


「来年に盧繁が征伐を行うと言う。それまでに何かしなければ」


 臣下達が狼狽を見せる。ああ、何とも情けない。私の臣下は僅かばかり。この小さな部屋の壁を埋めることさえできないのか。

 顔良文醜さえおらず。ただ郭図と許攸。逢紀と審配。それに甥子が居るだけだ。


「閣下。直言をお許しください。何も出来ませぬぞ。兵を繋ぎ止め兵糧を得る。それで精一杯で御座います」

「分かっている審配。だが、だ。何もせぬ訳にはいかんのだ」


 そうだ。反撃も悉く樊稠に潰された。さらに敵は増えている。冀州だけだった筈が幽州や徐州からも軍勢が現れ始めた!!


「ハッハッハ!! 審配殿。いや正南。臆病風に吹かれたか!!」

「黙れ許攸。密使の首を屋敷に投げ込まれた分際で。この審正南を臆病者だと? 片腹痛いわ」

「……ッ!! 閣下。攻勢で御座います。今や我らは篭れば死ぬ。樊稠を避け敵の拠点を襲い続けるが最上かと。孫子にも敵の守らざるを突くと申します」

「待たれい許攸。この逢紀が鑑みるに時既に遅いわ。閣下、幽州へと。北方、右岸の蹋頓の元で身を隠すべきかと存じます。趨勢は決しました」


 ……皆が黙ったな。逢紀の策が最も現実的と分かっているのだろう。私とてそう思う。


 ……。


「酒を」


 あぁ、美味い。今の私にはこれしか無い。粗雑な酒だ。だが美味い。洛陽の酒が恋しい。もっと、もっと、もっと。あー、あ?


「何だ郭図」

「郭図進言致します。援軍の無い籠城。敢えてそれをなすべきかと」

「お前はバカか」

「同感で御座います。ですが閣下は籠城を行うべきかと。その合間に御子息を南方に」

「……無理だ。既に平原さえ統制が出来ていないのだぞ。誰が息子らの道中の身を守れると言うのだ」

「しかし御一族が助かる手立ては他に御座いますまい」


 それは正しい。ああ……。だが。


「酒を」

橋蕤・子垂

字は適当。袁術の家臣。

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