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盧植のおそらくは居ただろう子供に転生?した系三国志の話  作者: 凡凡帆凡
いとも容易く行われるエゲツない処理編
75/80

朝廷曰く、んな意外要素要らんねん 劉表曰くせやかて盧繁

 劉璋などの首が長安に晒された。劉焉がポックリ死んだ為にグッチョングッチョンになった益州は徐栄の進軍に合わせて朝廷に帰順したのである。また法家の功績は大で成都陥落も特に法正の尽力は大きかった。


 徐栄を驃騎将軍兼益州牧、法衍を尚書、法正を偏将軍に任じそれぞれに褒美を取らせて益州から荊州へ睨みを効かせる様に通達。


 更に袁術にも荊州へ圧力をかける様に通達して四方から蹂躙する事にした。饅頭食ってる間に賈詡が考えた策である。策っていうか数の平押しだ。


 で。


「では陛下」


 盧繁が剣を捧げる。バカでかい戦車の上に立つ劉協へ。皇帝は剣を天に掲げ。


「進軍!!!」


 長安に軍鼓と角笛が轟き軍歌が広がる中で盧繁は戦車には乗らず皇帝の傍に控えていた。やってる事は馬の先導をする馬丁だがそれぐらいで漸く釣り合いが取れるという賈詡の進言である。これでちょうど皇帝の株も盧繁の株も落ちないと直言ってか助言に従った形。

 何故わざわざこんな事をと言われれば盧繁の要望で皇帝をたてる為だ。今回の親征の最も大事な皇帝やるやん感を出す為のちょっとしたパフォーマンスと言える。盧繁的に董承でなくとも覚えるだろう不満を抑えるのが必要だと認識していたのだ。


「さて盧繁。配慮された身で言うのも憚るべきだが言わせてくれ。進軍とはこんなに大変なのか」


 劉協は洛陽を出発した辺りで言った。今は戦車から馬車に移っている。顔は思いっきりゲッソリしてた。天下一の馬車に乗っているが距離と道。正味こればかりはしゃーない。

 盧繁は喪に服す前から比べると随分と逞しくなった劉協へ苦笑いを浮かべ。


「まぁこんなもんですよ陛下。いっそ自分で歩くか馬に乗った方が楽なくらいで。陛下もそうしてみては如何です?」

「そうしようか。幸い盧繁に言われて走る様にはしていた。馬車に揺られるよりは良い」

「でしょうね。それに随分と走れそうだ。顔が引き締まっていらっしゃる。乗馬もなさっていると聞きましたが?」

「ああ。盧繁どころか羽林にも及ばんがな。早くて良い」

「ハハハ! 陛下が羽林の方々程に上手くなられたら護衛が大変な事になりますよ。何騎の騎馬が必要になるか」

「それはいかんな。馬は良く食べる。程々にしておこう」


 こんな感じで親征軍は荊州南陽郡は宛城へと入った。此処は病死した驃騎将軍張済が駐屯していた城であり、今は張済の跡を継いだ張繡が駐屯している。そんな訳で完全に朝廷の統制下にある最南端の地であった。


「すみません張将軍。喪に服すところだったのに……」

「いえいえ。こればかりは。族父の遺言でもありますので」


 皇帝の出迎えと将兵への慰労が終わったら盧繁が引き継ぎを行う。それは軍政もそうだが事前に通しておいた寝返りなど謀略的な話であり皇帝の威光で降りましたって言う演出の下地だった。何するかって降る所と安全なところの情報共有。


「……これ結構な数が降伏選択してますね張将軍」

「まぁ皇帝と比べたら宗室など」

「確かにそりゃそうだ。文字通り天地の差ですよね。特に劉表の荊州奪取は強引だったと聞きますし」

「あ、しかし張虎や陳生は元々は賊ですので。しかも割とその気質が抜けぬままだった印象が御座います。それ故に此方に寝返った所も大きいかと」

「成る程。留意しておきます。張将軍」


 盧繁はそう言うと少し考えて。


「全力の鍛錬とか見せ付けとこうかな。五斗米道はそれで上手くいったらしいし……」


 張繍は数年前に見た朝廷の練兵場の端に放置されている左右の拳の跡の残る巨岩を思い出していた。因みに張繍は知らない事だが盧繁が長安に帰ってから少しして砕け散ってる。何か良い感じに割れたので軽く整えた上で石闕(何か石の飾り物)に使われた。盧繁作デカくて絶妙に邪魔な長安っぽい何か。


「……連中の前で岩を殴られるのでしょうか?」

「いえ、普通に練兵させようかなって。三万の歩兵と一万の騎兵なら威圧出来るでしょう」

「それは、ですな。腰を抜かすかと」

「それと南方は疫病が怖いんで兵の住む場所と厠を何とかしないと。牛馬の糞尿も北みたいにしてると大変な事になる」

「よくご存知で」

「父上が蘆江太守でしたから南方の事は多少知ってるんです」

「成る程。それで兵を少なく。まぁ一面に三万も居れば十分でしょうが」

「ええ。徐中軍大将軍にも言っときましたが兵の休ませ方さえも気を付けないと。

 先ず風通し良くしないと大変な事になる。あとは水が腐りやすいですし魚を鱠にして食うと絶対に腹を下すでしょう。暑さ故に汗もかきやすいんで出来れば服を洗い、せめて水浴びはさせた方がいい。

 まぁ、やらないよりはって話ですがね」


 張繍が目を見開き視線を彷徨わせ溜息。


「……此処に駐屯する前に聞いておきたかった」


 今度は盧繁が目を見開いた。


「……張驃騎将軍の病ってもしかして」

「ええ寒傷です。確かに幾度も生魚を食べておりました。水浴びなど余りしませんし」


 盧繁は眉間を抑える。状況的に仕方ない。だが知識さえなく駐屯していたし、させていたと言うのは後味が悪かった。

 盧繁の認識としては張済は自ずから汝南に駐屯したので承知の上だと思っていたのだ。


「陛下に上奏しておきます。疫病で有能な将兵を減らす事になるのは受け入れられない」

「族父も報われます」


 張繍の帰還と合わせて陣地構築と練兵準備が始まった。


 〓張遼〓


「ハァアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 茶番だな。


 木の棒が迫っている。それは分かる。僅か三つ数えるばかりならば受け止めれた。


 いや、受け止める事しかできない。押し飛ばされて閣下が遠のいていく。力だけなら奉先殿と同等か超えていた自信もあったが。


「ック!!!」


 足が地に着いて尚も止まらない。加減されてコレだ。地を抉った二条の後が遠く伸びる。


 何と楽しい茶番だろうか。


 気が付けば閣下が目の前に。見える。酷く加減をされている!! 情けない!!!


「ヌ、あああああああああああああああ!!」


 両脚に力を込め前へ!! 棒を振れ!! せめて!!


 まに、あわ——!!!


「流石です雲長殿。だけど」


 緑の背。だが聞こえるのは閣下の声。関殿に助けられたか!! 次の瞬間には関殿の大きな背が消える。今!!


 飛びかかり突き出す。


「流石は文遠殿!!!」


 しかしその渾身の一突きはいとも容易く片手で止められた。が、いい!! 数秒稼げれば十二分!!!


「行こうぞ許緒!!」

「あいさァッ!!」


 典武孟校尉と許都尉が揃って棒を振り下ろすがそれも片手で突き上げた棒で閣下は受け止めてしまった。


 棒がへし折れそうだが、その前に!!


「燕人張飛これに在り!!!!!」


 背後からの一撃!! これで!!!


「なッ」


 私の棒を捻り、弾かれる!! 拙い!!!


「よいしょオ!!!!!」


 閣下の僅かに切迫した気合一喝。


「ガフ!!?」

「うお!!?」

「ぬあ!!?」


 典武孟校尉と許都尉の驚嘆の声。


「未だだァッ!!!」

「流石です翼徳殿!!!」

「負けて、ン“ギッ、らんねぇ……。でがすよ」

「でがすよ?」


 張従事の声。突き返され蒼天しか見えぬ事が口惜しい。クッ……ゥ。


 振り返れ!


 棒を突き刺せ!!


 張従事が時を稼いでいる間に!!!


「ゼァ!!!!!」


 地に棒と足! 三条残して漸くか!! 見上げれば閣下が張従事に膝をつかせていた。


 怪物だ。閣下は既に怪物。人の枠を超えておられる。


「閣下御覚悟ォッ!!!」

「背後を突くなら静かに!」


 しまっ……!!!


「グ、あ」


 打たれて全てが消える。音も痛みも感覚も。だが!! 未だ!!


 [ジャーン!!!!!]


 銅鑼の音。


「時間、か……」


 ああ、勝てなかった……。


「いやぁ楽しかった!! 戦ってくれた方には後で酒を送ります!! とても楽しかった」


 閣下がそう言って我等を一人一人立たせてくれる。


「「「「「感謝いたします」」」」」


 閣下は熱気に包まれた将兵たちへ視線を向ける。


「さぁ!! 諸将!! 諸兵!! 陛下が居られる!! 彼等の様な勇者が居る!! 恐るな!! ただ前へ!! 樊城を貫き城陽に籠る劉表を討つ!!!!!」


 鯨波が天地を覆う!!! 何と勇壮で血肉湧き立つ事か!!! 言い含められていなければ私とて咆哮をあげそうだ。


 この迸る熱気を劉表は受け止められようか!


「か、閣下!!」

「ん? 如何しました王従事」


 この状況に水を差すとは何事だ。王粲と言ったかな? 相当な事があったのだろうが。


「あの、劉表が降伏してきました……」


 ……え?


「……え。はい? あの、すいません。ちょっと聞き漏らしたかも知れません。何て?」

「あの、閣下。凄い言い難いんですけど劉表が降伏してきました。祖父の弟子で顔を見た事があるのですが。先ず間違いないかと思います。ずいぶん老け込んでおりましたが......」

「えぇ……っと、えー? ドウシヨ。コレ」


 ……戦意の向かいどころが。


「……と言うか何故」


 閣下の言う通りだ。逆賊と言われて当然のことをしておきながら全く。劉表の腰抜けめ。


「万が一を考えてちょっと多めに四方から総勢六万で攻め寄せただけだのに……」


 ……いや。そうか。兵数差が酷かったな。


 賈軍師が凄い顔してる……。


 うーん……。


 しかし此の戦意を如何しようか。


 私達はともかく兵の戦意が暴発すると拙い。


「閣下。宜しいでしょうか」

「如何しました文遠さん」

「有り体に申しまして此の熱気では将兵が何を為すか分かりません」

「ですよねぇ……」


 閣下は陣を見る。白けた空気もある。だがそれ以上に何かを求める空気。何かをしたいと言うか。うぅむ、何とも言い表し難い戦意が渦巻いているな。


「陛下の午前って事で競わせるか。勝敗を予測立てて……。あー、賈さん。酒と竹簡とかって手配できませんか」

「難しくはございません」

「じゃあ陛下に弓馬の勇壮さを見せるって事で弓と騎馬で競わせ賭博をさせます。

 全軍から弓馬の名手を集めて弓の正確さと馬の速さを競わせ、将兵は伍隊で誰が勝つかを掛けさせ、そうですね一等の者と当てた隊には酒を一斗で。また兵が望めば伍隊で別途に五銭を限度として掛けさせましょう。人気の高い名手と名馬名弓は倍率を下げる形で。

 まぁ喫緊の策ですが賈さんから見て如何でしょうか。勝敗のつくことをさせれば少しは落ち着かせられますかね?」

「やらぬよりは良いでしょう。ただ賭博では人聞きが悪いので武の誉と奨励を目的として発布してみては? 陛下の御前という意味も御座いましょう」

「それは良い。でも、つくづく兵士って賭博好きですよねぇ……。あ、えーと神事、神事好きですよね」


 ふむ……楽しそうだな。だが最早これでは戦と言うか祭りだ。我等は何をしに来たやら。


「羽林は徐公明かな。ウチからはオフラハーンに聞いてみよ。それか俺が出るか」

「やめよいたほうがよろしいかと」

「え、ダメですか賈さん」

「ダメです」


 俺もそー思う。


「文遠さんも并州勢として出てみます?」

「是非」

「よし。ちょっと計画練るか。高先生とか呼んで!!」


 うーん。これは気が抜けんな。良い催しだ。

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