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盧植のおそらくは居ただろう子供に転生?した系三国志の話  作者: 凡凡帆凡
いーまから一気に これから一気に 殴りに行こうかぁー やーやーーやー やーやーやー 編
70/80

おとしまえ〜おとしまえ〜おとしまえ体操

「遊び過ぎたか」


 呂布は自省する。曹操軍を中心に朝廷の軍勢を蹂躙し、敢えて呂布から降伏を申し出た。その返答を待っていたのだ。

 これは矛盾した行いの様に見える。だが朝廷に対する攻撃を控え徐州虐殺を行った曹操に攻撃を絞る事で、自身を敵にする手間を知らしめ以て脅威と共に降伏を許容し易い空気を朝廷に生じさせようとしたのだ。強かな呂布の狙いだった。

 要は呂布を敵にするよりは味方にしようと朝廷に思わせる積もりで、また盧繁が娘と離縁していない事から期待して待っていたが。


「まさか囲まれるとはね……。子昌は軍略も出来るらしい」


 やれやれと。


「こうなっては。まぁ、ね」


 奉天画戟を握り城壁の定位置に立つ。ある種今の呂布が求める物がある。いや、あの日以来と言うべき事が。


 小沛城から軍使が出る。


 一方の盧繁は麾下の騎馬隊に休息を指示していた。それ自体は賈詡が万事上手くやってくれていた為に手早く済ませられるが状況を聞いて呂布の逆撃に備える必要もあった。故に自身も船から降ろされた飼い葉を運びながらだ。


『休ませる馬は確り食べさせてやれ!! その兵も休むんだ!! 敵は強いぞ!!』

「閣下」

「如何しました賈さん」

「敵軍より使いが」

「分かりました」


 盧繁はキョロキョロと遠くにいる於夫羅を探し見つけて。


『オフラハーン! すまないが後を頼む!』

『分かった!』

「行きましょう賈さん」


 盧繁が陣屋に入り上座に座れば諸将が腰を下ろす。そして使者が訪れた。魏続である。


 粒々とした体躯と肉体の割に若く見える壮年の男性へ盧繁は好相を崩し。


「おお、これは。義母殿はお元気ですか」

「は。厳のやつは元気にしております。姫様の方は?」

「身体の方は何とも。しかし気に病んでます。何故あの様な事を、と」

「それは耳が痛い」

「小言になってしまいましたね伯栄殿。用件を伺いましょう」

「呂布の奴は婿殿と一騎討ちを望んでいる」

「バカな!!!」


 声を荒げたのは盧繁では無い。それは賈詡であった。だが同時に諸将も同じ。

 この世の何処に兵数で勝り敵を追い詰めた軍の総大将を危険に晒そうと言うバカが居るのかと言う話だ。盧繁が危ないとか考えている訳では無いと言うか、寧ろやって貰った方が話早いなくらいに思ってるけど。

 普通に、常識的に、至極当然に考えて何をクソほざきナメとんのかって反応だ。


「愚かは百も承知」


 そして魏続も同調して何なら呆れ果てた様に溜息を漏らす。そして呂布だけでなく正面にも同じ顔を向けた。賈詡は即座に振り返る。


「なりませんぞ閣下!!!」


 陣幕内すべてから正気を疑う様な顔を向けられた盧繁は申し訳なさそうに苦笑いを浮かべて。


「あんなのでも妻の父で養父です。また覚悟は出来てるでしょう。最後の望みくらいは叶えてやろうと思います


 盧繁は小沛城の方へ視線を向け仕方のない幼児を相手にする様に答えて見せた。


「閣下!!!」


 賈詡は困った様な叱責を。しかし盧繁の穏やかな笑顔の額に青筋がビキっている事に気付いてしまう。加えて拳をミチミチ言わせてる事も。


 盧繁がそんな笑顔のまま。


「あと、普通にブン殴りたい」

「……あっ。ッスー。そう、ッすねぇ」


 思わず賈詡らしからぬ三下の様な答え方をしてしまった。尚、答えられたのはその賈詡だけである。だから正気では起こり得ない事が起きた。


 小沛城の南城壁に呂布軍の将兵が集い、それを覆う様に朝廷の軍勢が並ぶ。籠城も包囲も放棄した二つの軍が鯨波をぶつけ合い太鼓を鳴らす。余興と言うにも愚かしく獲物を握り旗を掲げて。


 門より出る者がある。


 呂布、奉先。血染の如き馬に跨り黄金の鎧に黒い奉天画戟。人中を超越して神々しく。


 軍より出る者がある。


 盧繁、子昌。天輪の如き馬に跨り無骨な鎧に重く長大な斧。人外の力を増し雄々しく。


 天は割れる。曇天と蒼天。両雄の合間を境として。呂布の上では雷が底篭り盧繁の上には陽光が降り注ぐ。鯨波と太鼓の音が止んだ。


「婿殿よ!! 久しいじゃないか!! 元気そうで何より、魏続から聞いたが娘の事を聞かせてくれ!!」

「もうずっと父の不忠を嘆き一族の身を案じていますよ!!」

「だろうね!! 悪い事をしたと、そう伝えてくれるかい!!」

「自分で伝えはしないのですか!!」

「ハハハ!! 捕まれと!! それじゃあつまらないじゃないか!! 思えば婿殿には気を抜いていたとは言え勝ててないんだ!!

 私は今、生まれて初めて何かに挑む!! その気付きを得て歓喜に震えている!! こうも心踊る事とは思わなかったさ!!

 それを味あわずに幕引きじゃあ此の呂布の最後には相応しくないだろう!!?」

「何そのめちゃクソ迷惑な拘り!!」

「ハッハ!! これでも最強を欲しいままにしていたからね!!」


 盧繁は呟く。どうしようもない幾つもの感情を乗せて。溜息混じり。


「ガキが……」


 呂布は聞こえなかった様で静寂に笑み。


「さて!! 行くぞ婿殿!!!!!」


 轟と、剛と、豪と。城どころか天地が揺れて南に向かって赤と黄色の閃光が迸る。


 雷鳴が地から天に昇った。遅れて空気が球体のまま膨張し地を割いて音を飲み干す。


 その中心には大斧と画戟の刃が交差し涼しい顔の盧繁と人馬の勢いを止められた呂布。


「本気だぞ!! 私は!!」


 呂布は満面の笑みに冷汗を一筋垂らしながら吼えて得物を振るう。


 それは文字通り瞬く間の連撃。


 刃同士の押合いで敢えて力を抜いた事で弾き飛ばされた画戟をその勢いを乗せて手首と指先だけで操り画戟の鉾先を叩きつける。


 剛撃たるそれを弾かれれば腕諸共に手を添えて軌道を変え石突をカチ上げるように顎を狙うが首を傾げてかわされた。


 画戟をそのまま回して続けて放った刺突を受け止められれば斧。


「ッ赤兎!!!」


 ドっと。否、弩っと赤兎馬が弾かれた様に進めば頭頂から爪先まで風が落ちてくる。


 呂布は察した。それは盧繁の一振り。ただ力任せに斧を上から下に下ろしただけの物。


 天そのものが落ちて来たと言われた方が納得できる様な風圧を置き去りに離脱した。


「ッチ……」


 舌打ち盧繁の表情が歪む。日驥がパカパカと弧から円を描き始めた呂布に背を取られない様に向きを変えた。重い手斧が握られ輝く。


 遠くで呂布が此方を窺っている。視線を外す様なマネはしない。赤兎馬の描く円が崩れて呂布の身が傾く。


 グンと此方に向かって速度を上げる。奉天画戟が天へ月牙を向けて鉾先を此方へ向け、地を鳴らし地を砕き馬蹄を大地に刻みながら。それ目掛けてッボと手斧を投げた。


 ギャイン、と。


 画戟が削れる。


 が、止まらない。


 だが、一瞬。極僅かに速度が落ちた。盧繁は大きく斧を振りかぶり。


 一閃。


 呂布の月牙を繋ぐ支えが斧のぶつかり大きく呂布と盧繁を超えて放射状に霧を生じさせて赤兎馬の上から呂布を消した。


 盧繁は日驥から軽やかに降りて歩く。


 呂布は地面と並行して真っ直ぐ飛ぶ。


「グ、くっ……」


 笑みは崩さず神々しさも失わず。


 しかし呂布は苦悶の声を上げながら画戟を地に突き刺して一条の線を残しながら速度を何とか落として棒高跳びの様に着地した。


 それで漸く止まる事ができ、立って。


 目の前に盧繁。


「速い、な」

「取り敢えず俺の分」


 破城槌。それ以上の衝撃が呂布の腹を襲う。黄金の鎧に拳の跡。


 呂布はそのまま大の字に小沛城の門に大の字で叩きつけられた。


 ズルズルと落ちる呂布にテクテクと無思慮に近付いて行く盧繁。


「あと玲姫殿の分と、臣民の分と、涼州勢の分と、陛下の分と、董殿の分があるんで死なないで下さいね」


 フォンフォンと大斧を無造作に振り回し逆の腕の拳を見せつけながら呂布へ淡々と近付いていく。


「侮って……くれ、る」


 呂布が立ち上がり無造作に近付く盧繁目掛けて画戟を振りかぶり消えた。


 そこには裏拳を放っただろう盧繁だけが残っており遅れてド、と音が響いて水切りの石コロの様に呂布が飛跳ねる。


 盧繁の拳からは白煙が薄らと立ち昇っており奥の横顔がゆっくり正面に。


「これは玲姫殿の分」


 盧繁が倒れる様に身を落とし走り出した。


 〓呂布〓


 っ……また!! ……飛ばされた!! バカ力め!!


 地を跳ねる衝撃など痛くも痒くも無いが、クソ。腹と横腹の感覚がない!! いやそんな事より。


 地に戟を突き刺さねば止まれない!!


「ぬあ!!!」


 折れては困る。突き刺して慎重に体を捻って勢いを逸らし。よし!!


「全く!! 鳥になった様な——」


 ……危ない!! 拳の一振りで風が過ぎて行く!! 毎度毎度何だこれは!!


「ッチ避けましたか」

「ああ婿殿。私の直感は中々だろう」

「ですね。そろそろ攻めさせて頂きますよ。あと四発あるんで」

「やらせるか!!」


 考えるな!! 唯早く!!!


「ゼァ!!!」


 耳が劈く。止められ——。


「ごゔぉ……」


 蹴、り……か。顎を、頭、ガ、ぁ。


「あ、顔は避ける気だったのに……。取り敢えず臣民の分。さて」


 ……ッグゥッ。叩きつけられ……に、逃げられん!!


「ゴヴ……」


 蹴るつもりか! ック、う、動け!!! おのれ!!!!!


「涼州勢の分」

「ごう……!!!!!」

「陛下の分」

「があ……!!!!!」


 しつように、はら、ばかり……!!


 腑が!!


「んで」


 踏み込みで地を砕いただと!!!?


「これが董殿の、董殿とその一族の分」


 ——————。


「ッ?!!」


 蒼天が、貫く。


 どこまで、蹴り上げられた?


 止まれん!!


「ガあ“?!」


 衝撃。城、壁か。叩きつけられたのか。土塊が、鬱陶しい。クソ!!


「……グ、ああ。痛」


 ……影。来たか。立、てん。


「さて、義父殿。一先ず愚か者の癇癪に付き合って頂き感謝します。落とし前として、まぁ貴方の強さ故に大半蹴りましたが。ブン殴って種の筋は通しました」


 ……。


「これからは義理の息子として、武人として貴方を討ちます」


 ……ふざけ、た……事を。


「フ、フフ。孝徳の厚い、息子を持った、ね」

魏続・伯栄

字は適当。呂布の嫁さんの同族。


魏厳・柔温

名前は演義の厳氏から。字は厳と逆の意味を適当につけた。呂布の正妻。

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― 新着の感想 ―
やだ、この主人公、ブ□リー化してるwww
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