表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
盧植のおそらくは居ただろう子供に転生?した系三国志の話  作者: 凡凡帆凡
いーまから一気に これから一気に 殴りに行こうかぁー やーやーーやー やーやーやー 編
69/80

前哨戦

 小沛城城壁に呂布が佇み陸続と続く敵軍の行進と陣容を高所から見物していた。


「……誘ってるな。アレは」


 呂布は不快感を露わにして吐き捨てた。敵勢は甚だ多いと聞いたし事実として曹操以外の兵も居るが、しかし見るからに曹操の総戦力より多少増えた程度である。であれば遊兵というか迂回部隊が居て当然。

 それは敵が呂布を恐れ侮が無いと言うのに、その程度の兵しか置かなかない現状が証拠。


「けど。ああ、それだけじゃあ、無いね」


 漠然とした感覚だけの警鐘。呂布は馬鹿では無い。違和感を睨む。


「敵は包囲を進めている。あの程度なら蹴散らすのは簡単だ。けど、撤退をした方が良いと思える違和感となるとおかしいね……」


 秀麗な眉が寄り眉間に皺。


「私が撤退。獅子身中の虫かな? いや、それをする意味がない」


 董卓より余程に裏切られる理由ある奴が何か言った。そう何とも鏡を見せたくなる様な疑問を浮かべ首を傾げる。


「だが青州兵の精兵は刈っておきたいな……」


 呂布は直感ではなく確信を持って盧繁が居ない事を察していた。それは兵の動きと馬の少なさから来る物である。であれば敵に特段の脅威など感じず後を考えて掃除をするのも良いと思えたのだ。

 呂布は愚かではない。ただ楽観が過ぎる。楽観的でも如何にかなる強さがあった。


 今までは。


「盧繁、か」


 苦虫を噛み潰した様に言う。それは戦う事を恐れてでは無い。寧ろ呂布が戦えるなら無問題だ。


「私はともかく将兵は如何しようも無い、か」


 そう。呂布は個として人中至強。だが将として戦うなら兵は欠かせない。

 例えば城から動いて盧繁に奇襲を受けたとして自身一人なら如何とでもなるが手足とも言える将兵は死ぬ。

 人に見える物は視界に写る物だけ。それと同じで最も警戒する盧繁は戦場の霧に潜んでいた。故に。


「動きづらいね」


 それは徐州を得ると共に呂布が得た慎重さから出た言葉だった。


「まぁ……取り敢えず遊んでから考えようか」


 しかしそんな慎重さなど呂布の強さの前には高が知れる。故に何も考えず気儘に言って呂布は画戟を担ぎ城壁から飛び降りた。ト、と硬くも小さな城の正門の前。

 笑う呂布の背で門が開き草食動物とは思えない吐息と覇気を発して赤兎馬が出る。


「さぁ、遊ぼう赤兎」


 ドっと赤兎馬に跨った呂布が消えて青州兵の雑草を割り進み屍の道を作った。


 〓陳宮〓


 俺は!! 一つを知り天下無双を知った気になっていた蛙であった!! それだけの男だったのだな……。


「御出迎え感謝します陳公台殿」


 門を潜る姿それ一つ! 何たる雄か。何たる勇か!! 勇者とは、英雄とは!! こう言う方をこそ言うのだ!!!


 刮目せよ陳宮!! 我が双眸よ!! 天地身命を賭して英雄を!!!


「アレ? 聞こえなかった? ……あの、えーと。公台殿?」

「ッハ!!」


 いかん!! 魅せられていた!! 陳宮一生の不覚!!


「申し訳御座いませぬ!!! 閣下!!!」

「あ、いやいや。そんな気を使わ、ほんと跪くとかやめてホント。何でみんなそうなるんホント!!」


 おお、この様な愚か者を抱えて下さるか!!


「それで陳公台殿。詳しく聞きたいのですが徐州は呂布に心腹していないのですか? 道中の城が余りにも呆気なく開城したもんですから」

「……それは閣下故でしょうな」

「……?」


 あ、これ本気で分かって無いな。まぁ人は己を見る事は出来ぬ。英雄とてそれは変わらんだろう。


「黄巾、白波、黒山、公孫瓚、袁紹、馬騰と韓遂。これらは閣下が撃滅した反逆者に御座います」


 無論、反董卓を掲げた我らも。


「これだけの者達をいとも容易く打ち倒した閣下の敵となれる者などそうはおりませぬ。故に言上仕りたいのは曹操の扱いに対する注意で御座います。

 無論、私と奴の因縁を思えばまた中庸とは言えませんが、どうか」

「聞きましょう。徐州虐殺については聞いています。しかしその肌感は分かりようが無い」

「感謝いたします。曹操に対する徐州の怨恨は深い。それだけの事を致しました。

 此の陳宮が愚行致すにおそらく小沛に奴を置いているのも徐州へ深入りさせぬ為、また徐州兵の意識を小沛に向け以て呂布の目を引く為で御座いましょう。

 即ち閣下は理解している。または助言なさる賢臣がいらっしゃる事とお見受けする次第で御座います。如何でしょうか?」

「陳公台殿の想定は正しい。賈軍師が助言して下さいました」

「安堵いたしました。しかし今の問答を見るに徐州の者達が閣下を畏怖すると同時に曹操の後ろ盾と見られている視点を持っていないのでは無いかと此の陳宮、愚考した次第に御座います」

「師匠、曹兗州牧への怨恨が俺や朝廷に向かって炸裂する可能性を見た訳ですか」

「正に」


 さしもの閣下も困ったか。当然だ。寧ろ良く眉間を抑える程度で済むものだ。呂布ならば暴れかねん。


「分かりました忠告感謝します。こりゃ休息は短くして小沛へ急いだほうが良いな。小沛で決着を付けられないと手間だ」


 おお! 裏切り者の言葉を忠言と言って下さるか!!


「じゃあ一旦、下邳の事は任せます。俺はこのまま小沛へ向かうので」

「な! 承った!!」


 何と迅速な対応か!! 名将。此の方は此の陳宮の眼に幾つの才を見せて下さるのか!!


『下邳は落ちた!! 転身だ!!』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 呂布、自分の武に絶対的な自信はあるんだけど、戸愚呂弟の言葉を借りるならば 「今のおまえに足りないものがある。危機感だ。」 「おまえもしかしてまだ、自分が死なないとでも思ってるん…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ