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盧植のおそらくは居ただろう子供に転生?した系三国志の話  作者: 凡凡帆凡
いーまから一気に これから一気に 殴りに行こうかぁー やーやーーやー やーやーやー 編
66/80

有名なサメ映画のBGMが何故かドヴォルザークの新世界になる

「それじゃあ後の事はお願いします徐オジちゃん」

「ああ、子昌殿も気を付けてな。遠征を繰り返している。せめて此度の戦いが終わったらゆっくりと休むべきだ」

「陛下にも頼んでみます。それじゃあ」

「ああ。互いの健闘を祈って」


 涼州益州に通づる扶風郡の郡城槐里城で私的な酒宴を開いた同郷の盧繁と徐栄は鼎を掲げ呷った。

 徐栄は長く故郷に帰れていない。そもそも盧繁の故郷である琢郡よりも更に北東が故郷だった。それでも望郷の念を覚え盧繁に故郷の話を聞きたいと一席設けたのである。

 故に馬騰韓遂の討伐を済ませ袁紹と呂布の討伐へ向かう僅かな時間を盧繁は割いた。


「まぁ、何せ公孫瓚と劉虞の争いで酷い事になってました。公孫瓚の不満も劉虞の考えもわかりますが何せ双方が我を出し過ぎましたからね。兵を移動させて食料の余裕は作りましたから飢える事は無いでしょうが……」

「十二分だ。元より我らが故郷は冀州などから兵糧を運ばねば人が住めぬ地。死人が減らせたのなら何よりでしょう」


 二人はそんなツラツラと話しながら海の魚の干物をほぐした身を摘む。これは盧繁が幽州から持ってきた物で食える事以外は何の魚かも分からない上に塩の味しかしない様な些末な代物。だが幽州では密造された海塩を用いた海の魚の干物さえ馳走だった。


「懐かしい。泥臭さの無い。此の塩そのものを食べている様な味が、あの頃は馳走だった」


 徐栄はそう言って甘ったるい酒を飲む。盧繁は粥を啜り笑った。泥臭く無い魚肉は此方でも貴重だと気付いて。


「まぁ俺は食わないと死ぬんで酷い時は冬の川や湖の氷を割って魚を取りましたね。酷い時は雪の中に小魚を突っ込んで鉄の様に凍らせてから食べる事だってありましたよ。頭を落として皮を剥いで身を骨ごと薄く削いだ物を摘むんです」

「……木も安く無いですからな。しかし冬に水の中に入るとは。……味は鱠ですか」

「正にそんな感じです。それに有れば塩を付けて。懐かしいな。痛むでしょうから此方でやる勇気は有りませんが。

 まぁ地元の連中も喜んでくれましたよ。口に入れられる物が出来たって」

「それは何物にも変えられませんな」


 徐栄はそれだけしか答えなかった。幽州の冬に川へ入るのである。そこまでしなければいけない状況ともなれば酷く飢えていただろう事は察せた。風を引けばそのまま死ぬ寒さと飢えの中での話だ。また今己が飲む暖かい酒さえ幽州では貴重品と言えた。

 どうしても故郷の話は辛気臭くなる。そう言う土地だった。だが徐栄はそれで良い。それが良い。故郷とはそう言う物だった。


 盧繁が束の間の休息をとっている頃の徐州。


 美しい男が居た。絶世の美貌を持つ男が。城壁に登り怒りの形相で西を睨む。


「全て王允の所為だ」


 そこ篭る様な、しかし美しい声。神の怒りとでも言えば誰も否定できない様。呂布の忿懣が腕を伝い掌に迸り城の女牆(胸壁)を一つ砕く。


 呂布は董卓を殺した翌日から怒り狂って無い日は無かった。ハッキリ言って王允が皇帝を押さえ損ねてからは董卓の下で暴れていた頃を想起しない日は無い。加えて王允の愚かさを測りきれていなかったと言う悔恨。

 どんな馬鹿であってもあの状況であれば董卓残党の対処を考える。董卓軍の数を鑑みれば残党への対処と言う当然のそれをしていなかった王允の見識の狭さ。それに加えて幸運にも降伏を申し出た残党涼州勢の降伏を許さないと言う暴挙。


 軽々と董卓の侍女に手を出し不愉快な同僚を謀殺した事が露呈した為に折角であればと皇帝という政治的な最強の札を得て婿に勝ろうと王允の話に乗った己を恨む。


「王允め。何が国家の安寧こそが願いだ。董卓の下に立つのが気に食わないだけだろうに」


 呂布は分かっていた。王允は己と同じ穴の狢であると。とどのつまり誰かの風下に立つのが許せないのだ。


 呂布ならば武で、王允なら政で。


「さて、だが」


 だが同じ狢であっても呂布は自身の限界を知っていた。と言うか盧繁が規格外すぎて自身の長所で抗えるか分からなかったのだ。寧ろ武では部が悪く軍略においては難しいだろうと考えてさえいる。

 呂布は軽挙を重ねた事を悔いた。悔いて、しかし笑う。一転して神の様に。


「まぁ、もう失うものなど無い。であれば白黒ハッキリ付けるくらいはさせて貰おうか」


 勢いでアホかまして東の端まで流れた男とは思えない清々しさと神々しさと覇気だった。


 〓曹操〓


 あー……もうヤダ。


「荀彧」

「は」

「今の本当かな?」

「……先ず間違いないかと。事実、二つの印綬は御座います。何より肝要な兵糧も、また」

「ああ。十万石の兵糧と兗州牧、中郎将の印綬な……」


 洛陽は荒れ果てた筈だ。しかし司隷全体で見ると随分と余裕があるのだな。

 実際に避難していた者が子昌殿の帰還を聞いて陸続と帰って行く。白波賊を始めとした賊徒と異民族を用いて屯田を指示していたとは聞くが。

 漢朝の命運は未だ尽きていないのかもな。まぁ軍事力と食い物があれば人は落ち着くと言う事をよく分かっている。流石は盧子幹先生の御子息だ。


「しかし恐ろしい期待ですな。アレの怒りに触れれば如何なるか。

 捕えられた公孫瓚は車裂きとなりましたがアレの願いを聞き入れ、一族は奴僕と言う形で許されたとの事です。

 また李傕と郭汜も諍いの根源こそ斬刑に処されましたが両名は馬騰韓遂および劉焉の撃退の功を酌量され髠刑と謹慎で許された。

 百々のつまり本人の思考は如何あれ皇帝さえ動かす舌を持ったと言う事になる。そんな男の言葉は本人の意図など無視して周りを動かしましょう」


 ……だよねぇ。


「孟徳殿。急がねば師の面目が無くなります。どうか下命ください」


 荀彧が切実に言うのも仕方ない。確かに俺が逆賊として扱われていないのは子昌殿の師と言う立場故の気遣いだ。であれば機嫌を損ねる訳にもいかんと考えて当然か。

 と言うか荀攸の所為で荀彧が子昌殿に睨まれた所為でやり難いな。


「そうだな。だが、兵五万て。騎馬一万て。場所の選定も出来んだろ。

 水利の事も考えねば……。と、言うか騎馬一万なんぞ歩兵の十倍の物資と土地がいるぞ。物資はともかく、どうすれば」

「それに関しては休耕中でも分けてくれれば良いと使者殿が」


 田畑を蹄で押し堅める気か?


「……民に殺されかねんな。だが、やらねば」

「それに関しては匈奴の牛馬を貸し出す用意があると」

「む! それを早く言ってくれ。であれば何とかなるな」

「は、後は劉備を如何致しましょうか」

「ああ、困るな。子昌殿の知り合いと言うが。さて」


 まぁ、一先ず顔を見るべきだな。あの関羽も居るし。……後は、うーん。


 ……。


 関羽居るし。


「では、劉玄徳殿の出迎えの準備も頼む」

「承りました」


 関羽元気かなー。

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― 新着の感想 ―
大事なことなので2度言ったのがとても良いw
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