皇帝曰く、絶許 廷臣曰く、マジ絶許 兵民曰く、ガチ絶許
改めて明けましておめでとうございます。
感想・ポイント・ブクマ・いいね・ランキング・誤字報告有り難うございます。めちゃくちゃブクマ増えてて凄く嬉しいです。完結させた話から来て頂いた方もいらっしゃる感じでしょうか。居たらありがとうございます。
今回は十話ほど投稿します。
本年も暇潰しにでも見てってくれたら幸いです。
一月丸々用いた連日の婚姻儀式を終えた盧繁は蜜月を楽しむ余裕も無かった。非常に無理をして家庭の時間を作ってはいたが、しかし重要な成すべき事が過多だったのだ。特に大将軍としての人事は腰を据えて関係各所との折衝が必要だった。
「大将軍府なぁ……。アホ面倒い。つーか韓信とかどうやって人集めたんだよ。当時は大将軍じゃなくて上将軍だけど」
盧家の人材は有るには有るが単純に数が足らない。また政治的にも気を遣わないのは論外。盧繁は特に派閥的な漏れが無いか見ていく。朝廷に派閥全体のバランスと配慮の意思伝達が重要だった。
「袁懿達殿か丁彦思殿は、いや丁彦思殿は忙しいか。袁家派閥は入れないと政治的にも家庭的にも拙い。
逆に涼州の賈文和さんは絶対に欲しいな。参軍か従事中郎、いや軍師でも良い。あと立場的に并州勢の元締めの張文遠殿もだな。
まぁ長史はどう考えても文礼先生で、あ。あのアホもどっかに入れとかねぇと……。
皇甫蹢進殿も呼んで、いや皇甫将軍の軍を預かってるか。適当な人を派遣してもらわないとな。
他は周瑜とか来てくんねぇかな? 周嘉謀殿に聞いてみよっと。ダメそうなら朱将軍のトコは張子並殿に聞いてみるか」
と、頭を悩ませ折衝に駆け回り。
軍師 賈詡 涼州派閥
長史 高誘 幽州派閥
司馬 射堅 朝廷派閥
司馬 張遼 并州派閥
従事中郎 袁優 袁家派閥
従事中郎 閻柔 北異派閥
従事中郎 沮授 冀州派閥
従事中郎 王粲 儒学派閥
参軍 楊脩 楊家派閥
参軍 李儒 涼州派閥
参軍 徐晃 白波派閥
参軍 張燕 黒山派閥
参軍 周忠 官僚派閥
参軍 袁珍 袁家派閥
で、こうなった。盧繁としてはツッコミ所が酷い自覚が有る。だがこうせざる終えない。こうせざる終えないというかこれでひとまず終えるしか無い。何故なら。
「では王宏、劉璋、馬騰、韓遂の討伐の軍議を始める!!」
若くとも皇帝という風情が迸る劉協が文武百官が揃う大広間で声を張った。これは事前に盧繁や将軍達と協議の上での事で有る。廷臣たる文武百官も待ち望んだ時に浸っていた。
王允こそ血祭りにあげたが王宏率いる残党が涼州に逃げ込んだ。そこで涼州に引渡しを要請したが拒否された上で色々あって定期的にチョッカイかけて来てたので皆が殺意マシマシ特盛りの決意固め。李傕郭汜の内乱が終わり盧繁が帰って来たから逆賊処理出来るってなってそらもうノリノリだった。
尚、盧繁は喪に服してたから現状をよく分かってない。分かってないが殺す必要は普通に有るからまぁ良いかと納得している。要は遠征するから派閥の均衡より純然たる戦力を主眼にした人事。遠征が失敗したら并州勢の首が危ないし冀州勢の立場は無くなる。
「盧繁!!」
ともかく珍しく殺気だった劉協が声を張れば盧繁が軍礼と共に一歩前に出た。
「は! では最も肝要な朝廷の防備は皇甫後将軍と牛五官中郎将の二名。加えて洛陽以東に駐屯して頂く樊右将軍、張鎮東将軍の二名にお任せしたく思います」
呼ばれた者達が頷く。これは既定路線だ。もう事前に色々決めて盧繁が説明と折衝してるので周知徹底ってだけである。
一応列挙すれば皇甫酈、牛亶、樊稠、張済の四名だ。
「徐中軍大将軍、段寧輯将軍、鮮于健忠将軍、張右中郎将、張平難中郎将、李撫軍中郎将、張寧国中郎将、張中郎将は涼州益州の平定を手伝って下さい」
余りにも張の比率が高いが徐栄、段煨、鮮于輔、張超、張燕、李蒙、張郃、張遼で有る。張超は朱儁麾下で別部司馬だった張超だ。
要は幽州勢纏め役、涼州勢纏め役、北方勢纏め役、朝廷勢纏め役、黒山賊纏め役、涼州勢別派閥、冀州勢纏め役、并州勢纏め役という感じ。まぁ要は凡そ大将軍府の延長である。
この陣容は北方がカチキレ盧繁により平穏を取り戻し、何なら異民族は何アレ怖ってなってるから出来る事であり、同時に北方から連れて来た兵達の飯、幾ら首都でも数万の軍勢にタダ飯食わせるのが無理だからだ。戦争で耕作放棄した地に駐屯し人海戦術で田畑を再生させる予定を組み立てていた。白波賊で既に実証済みであり官僚派閥の人間も居るから大規模に。
要は盧繁は電撃就任の後に電撃侵攻をする羽目になったのだった。いや別に嫌ってわけでは無いのだが大将軍就任から人事策定を経て作戦構築とか言うバカみたいな事を任された訳で。皇帝は勿論だが文武百官もエグい協力的かつ急かすような空気さえあり。
「王宏はともかく劉焉と馬騰は何したん......」
困惑はしていた。
〓馬騰〓
「……詰んだな」
「はンなッセ!!」
情けない話だ。こうも見立てが狂うとは。全くままならん。
「そうだな。さて、どう降伏すべきか。寿成殿はソレ以外に土産を思い付くかのう?」
「降伏など許さんぞ蛮族共!!」
韓遂め、この狡猾老獪な狐。いったい何を考えている。私の首も送る気か?
「……宗健の首。直ぐに思い付くのはこの程度です。韓の大老」
「足らぬ事が分かっておる様で何よりじゃ。後は益州の先陣よな」
「ふざけるな!!」
煩いな。
「我等が、ですか? いえ、言いたい事は重々承知しております。ですが合理的に鑑みて隘道隘路たる山中を進み関門を突破せねばなりません。その様な戦を最も苦手とする騎兵が主力である我等が先陣を進み兵糧を出す価値を見出しましょうか」
「合理は良い。良いが情理が足らんな寿成殿。いや情理と言うより体裁というべきかの」
「益州と掎角の計を!!」
ああもう煩い!!
「が、ゴう!! ま、待で!! 馬騰貴様!! この恥し、ガ!?」
「それを踏まえて申し出れば朝廷は我等の降伏を無視し得ないというのですか?」
「然り」
……ハァ。やっと静かになった。
「敵は、大老。あの盧繁です。黄巾の一角を年少にして手づから殺し、匈奴を加えた白波を堰き止め、義挙した山東の諸将を破り、手遊びの様に黒山を崩し、瞬く間に公孫瓚と袁紹を撃破した。
体裁程度の事を考える価値など御座いますまい。身一つあれば盤面をひっくり返せるのですから」
「此処涼州ではそれで良いがな寿成殿。しかし魔境たる朝廷宮中ではそうもいかんのよ。体裁外聞が欠ければ一重二重の手が伸びて足を掴まれる。足元のソレを見てみろ」
「コレが何か?」
王宏、この疫病神が一体何だというのだ。
「今でこそ、その様だ。しかしてその阿呆の戯言は朝廷で発されればそれなりの意味を持ったのだ。鉾は鉾でも舌鋒を持って戦う場が朝廷よ。
舌鋒とは世間と空気を味方にして振るう。体裁は何よりも肝要。腕っぷしで此処まで来れるのは寿成殿の様な一廉の者のみよ」
「ッチ……。一廉と言うよりは孝廉ですか。分かりますが」
あの馴れ合いと名族供の茶番。
「んん。気持ちは分かるがな。アレもアレで当初は価値があった。まぁ、それは良い。先ずは価値を見せねば」
韓遂が良い顔で笑う。そうだ。そうでなければ。
そうだ。どうでも良い。面倒な事を考えるのは好みでは無いんだ私は。
「「戦の時間だ」」
……さて、高名なる盧繁。尋常では無いと聞く。だが俺や息子と何方が上かな。
皇甫酈・蹢進
字は適当。皇甫嵩の甥。
樊稠・子濃
字は適当。董卓の家臣。




