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OSIOKI

 その日、司隷は思い出す。平穏の象徴であった麒麟児を見て「あ、キレたらメチャクチャやばい人だったわ。そう言えば」と。

 万軍を率い現れた盧繁は李傕郭汜の元へ使者を派遣。泡食って現れた両者の頭を鷲掴みにして長安に参上した。凄いボッコボコの二名を担いで。

 ペイっと二名を放り投げてから下馬した盧繁は皇帝の前に跪いた。


「陛下、態々の出迎えをして頂けるとは畏れ多い事。また宿営地の確保、深く感謝申し上げます」

「え、あ、うん。あ、いや。うむ。えっと、ソレは?」

「董殿が賊に討たれてから数年間もの間です。随分と燥いでたらしいんでシメました。

 それで陛下。申し上げ難いのですが願いたい事が多々御座います。如何か」


 出迎えに現れた皇帝は目をパチパチさせてから顔面がブドウの様に腫れ上がった二名を見てから周囲を見てから盧繁の手を取り立たせて見上げ。


「……今、か?」

「……確かに」


 外である。長話をする場では無い。通り封鎖してるし。


「後でお願いします」

「ああ、うん。うむ。分かった。取り敢えずよく来てくれた盧繁。待っていたぞ」

「お待たせ致しました陛下」


 それから宮中に招かれた盧繁は懐かしい面々と再開できなかった。


「皇甫将軍と朱将軍は亡くなってしまったんですか……」

「ああ、病でな」

「全く蔡の義父殿が御存命なのが唯一の救いですね。白波の大賢の爺様も亡くなって……」

「その世代の方々が亡くなるな。陸続と賢者英雄が黄泉へと旅立つ」

「……両将軍が居ない状況で軍権はどの様に?」

「今は皇甫将軍の息子の皇甫固に任せている。明日からは喪に服す事をになるがな」


 盧繁は首を傾げた。宮廷の庭の庵にて対面する皇帝は可笑しそうに笑う。皇甫固には無理をさせたと思いながら。


「では徐中郎将。ああ、いや今は下軍大将軍でしたか。徐将軍を?」

「いや違う」

「なら段中郎将ですか」

「それも違う」

「蔡の養父殿……?」

「盧繁もわかる通り忙しい」

「まさか楊大尉ですか?」

「いや流石に無理だろう」

「であれば張驃騎将軍がお戻りに?」

「いや、荊州の抑えは外せん。それに任じるのは大将軍だ。車騎将軍や衛将軍では無い」


 盧繁はツーと一筋の汗を垂らした。劉協は悪戯を成功させた様な。彼と半分血の繋がった兄に似た表情で笑い。


「皆が納得する。大将軍が一人居る。幽州の兵も、涼州の兵も、朝廷の兵も。そして政を担う者もな。皆が納得し妥協出来て誰も文句が言えない男が」

「……ソイツ。若すぎませんか。もしかして」

「まぁ、そうだな。だが此の際だ。それに凡そ同じ年月で皇帝などと大それた座に座る朕も居る」

「いや、それは陛下故でしょう」

「十九で驃騎将軍になり二十一で大司馬になった霍去病と言う先例もある」

「それは列侯と並び立っていましたから。また大将軍は陛下の縁者でなければ」

「それは悪習だ」


 劉協はニッコリと。


「盧繁」

「……ハ」

「分かっているだろう。頼むぞ」

「……ウッス」


 盧繁とて分かる。自身の現状の有用性。これは個人というより婚姻関係的利便性を。

 主に嫁さんの家が派閥と言うには至っていないが朝廷の重鎮と縁を持つのだ。また盧家の儒家と言う立場もある意味ちょうど良い。何だかんだ言っても儒が根幹の世の中であれば存在自体がある種の大義名分である。

 要は盧家の子供だから突飛な事はしない、したとしたらせざる負えないのだろうと思って貰えるのだ。また嫁さんを通じて意図の確認や静止も出来るという。


「分かってくれて何よりだ盧繁。ハイこれ」


 そう言って劉協はポンと小袋を突き出す。盧繁が両の掌を慌てて出せばポンと置かれ袋の割にメチャクチャ重い。厚いはずの布越しにヒンヤリとしていた。


「……金印紫綬ですか」


 此処に二十歳の大将軍が誕生しちゃった。


 〓盧繁〓


 袁家の人達の屋敷と董家の人の屋敷と、呂家はどうしようも無いか。蔡家は義父殿が居るから大丈夫だな。結構時間食うぞ。


「でも此処は儀礼に則らねぇと。文礼先生も今回は乗り気だから良いとして。えーと礼記、礼記は、ここだ」


 あーめんどくせぇなコレ。

 儀礼は大事だが。ったく。諄いんだよな儀式全般。占い何回やんだよコレ。問名とか婚約の時点で実質終わらせてっけど儒家としてやんなきゃだし。

 あーもー納徴の品考えよ。これで悩む方が百億倍マシだわ。


 頌姫殿は良いとこの出だし、参宿殿も貧乏って訳じゃない。文姫殿は書家の才能があって玲姫殿が一番困るわ。雁の簪と反物で揃えて後は鏡とかか? バランスむっず。


 取り敢えず正室は頌姫殿。参宿殿、文姫殿、玲姫殿は側室ってのは折り込み済みだし決まってたから良いとして。露骨に差を付け過ぎないように、でも正室と側室の格は確りしとかないとアレだし。あー、馬夫人の手紙も見とくか。


「えぇとコレだな。

 あー、女誑しクソッタレ父上曰く……相変わらずメチャクソ言うな馬夫人。

 じゃなくて、えーと格付けは男が明確に示すべきで、ただ側室にも贈り物とかで機嫌を取っておく事。尚、側室に贈り物を渡し過ぎると正室が焦るので明確に格の落ちるもの、出来れば消え物が望ましい。

 自分以外に嫁が居て気にしない者も居るが気にする者の方が多いから損はない、ね。ハイハイ……うん……ッスー」


 まぁウチの嫁さん(予定)は嫉妬とか露骨じゃねぇっぽいし……。いや隠してるってか気を遣ってる可能性もあるか……。


「……なんか胃が痛くなってきた」


 て言うか実例が生々しいよ全体的に。てか何でこんなに朝廷のドッロドロの愛憎劇知ってんのこの人。あ、そもそもバリバリに中枢の人だったわ馬夫人の縁者。


 ……ウゲェ。ほんと桓帝の後宮ガチでクソ過ぎるって。怖いよマジで。何コレ。

 桓帝もアレだが抜本は竇武が悪くね? 梁氏がどうなったか見えてねぇのかコイツ。いや抑え込めると思ってたんだろうがウッソだろオイ。


 うへぇ……。


 昼ドラかよ。


 いや見た事ねぇし覚えてねぇけど。


「こうならない様に気をつけよ……」

ここまで御覧いただき有り難うございました。


今年も宜しくお願い致します。

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