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蒼天元立 回天當立 歳在天子 天下大吉

 衝水湖畔に軍勢がひしめいていた。敢えて城外に陣幕を引いた軍勢は軍議を開いている。賊徒と異民族の構成部隊だ。


「じゃあ飛燕さんは軽装歩兵の柔軟性を生かして各所の救援で。麴殿は要として敵を押さえて頂きます。その左右は鮮于従事と田さんに抑えて頂く。

 戦いが始まったら閻司馬が敵の後背を貫いてください」


 盧繁が地図上の駒をひょいひょい動かしながら凡その各隊の動きを指示する。要は歩兵で壁を作り騎兵で貫くありふれた戦い、常道に全員が頷き了承していった。最後に盧繁が大斧を担ぎ。


「俺は適当に突っ込みます」


 そう言って立ち上がった。盧繁軍は突如として公孫瓚と袁紹の戦場に現れ麴義以下の軍勢を降伏させて公孫瓚を殴り飛ばした事に端緒を発す。公孫瓚を逆賊として捕らえ幽州の各地に逆賊として死ぬか朝廷を救いに行くか問う使者を出して出来上がった。

 盧繁の兵、黒山賊、劉虞の残党、降伏させた袁紹と公孫瓚の兵、それらを率いて軍として成立させている。

 そして各所へ袁紹の不義と不忠を知らしめ南下したのだ。天下騒乱の原初、叔父が死ぬと分かって朝廷に反逆した暴挙。それらを以て逆賊の処理であると豪語して。


「くぁせふじこ?!!!!!???????」


 と、声にならない悲鳴を思わず上げた袁紹は即座に行動を開始。自身が軍勢を率いて進軍したのである。した、と言うかせざるを得なかった。


 盧繁の行動が始まると共に朝廷、厳密に言えば朝廷内で内乱を行なっている李傕郭汜、この両者が一切の交渉を絶ったのだ。

 しかも皇帝劉協の名の元で袁紹討滅の勅使が各所へ派遣されるオマケ付きで。

 そんなん誰も味方しない。と言うか内憂を抱えるハメになった。だから手勢と未だ内憂になっていない兵を集めて早く盧繁を倒す必要がある。


 尚、袁紹軍純戦力凡そ二万にして盧繁軍五万となっており袁紹は死ぬ覚悟で盧繁軍と対峙していた。


 〓袁紹〓


 敵は二段構えの歩兵による横陣、左右に異民族の騎兵。此方は守りに徹するしか無い。衝水湖の水運が敵についた。


「顔良、文醜!!」

「ハハッ!! 顔良此処に」

「おうさ!! 何だい大将」


 声一つ。此の覇気よ。状況は劣勢、だが誰が勝てようか。此の我が爪牙に!!


「厳しい戦になる。王匡の尻拭いをした河内での戦いの比では無いだろう。だからこそ頼めるか」

「二人がかりなら、まぁ何とかなるかもな」


 ……文醜が断言せんか。


「呂布であれば二人がかりならば押さえて見せましょう。それ以上と言う噂が真なれば命を賭して」

「済まぬ」


 負けられん。


「軍使を出せ!! 陳林!!」


 乗るか、あの小さな賢者。いや麒麟児が。これだけの兵を集めて馬鹿な真似を。いや天運を信じよう。


「軍使にございます!!」


 頼む陳林、お前の弁舌で!!


 ——っ。


「何?」


 息、が。重い。か、怪物。勇にして雄なる化け物。アレが、あの?

 何だあの巨躯は。盧子幹とて大柄だった。だがアレは巨人では無いか。

 面影は大いにあるが、いや。集中しろ!!


「陳林、字を孔璋と申します。盧子昌様」

「……」

「……此度の事は不幸な行き違いと言うもの。如何か矛を納めていただけませ——」


 ……轟音!!? 粉塵?! ち、陳林は、倒れている!! 地面に手斧が突き刺さって、いつの間に斧を投げた。


「オメーこっちの出した鮮于従事伝いの使者ガン無視したろうがタコォッ!! 次ふざけた事言ったらド頭に叩き込むぞコラァッ!!」


 ち、知性のかけらもない。あの盧植の子が。


「だいたい何年テメェ等の所業でどんだけ迷惑被ったと思ってやがるボケ!!! 

 流民だの野盗だのがバカスカ来るせいで喪に服してんのか炊き出ししてんのか分からんかったわ!!!!! 俺喪中だから碌に飯食えねぇのにだぞ!!!!!?

 いい加減にしろって何度も使者送ったろうがダボハゼがァッ!!!!!!!」


 ……いや、聞ける訳ないだろうに。公孫瓚が矛を納めなかったのだぞ。


「公孫瓚もオメー等も同罪だァッブッコロシテヤンヨ!!!!!!」


 ——。


「ま、またれよ!!」


 ち、陳林!! 何というか胆力か!!


「あ“?」

「し、子昌殿の怒りは尤も。だが、せめて……せめて……」


 頑張れ!! 陳林頑張れ!!


「一騎打ちにて決着を!!」

「あ?」


 ど、どうだ。郭汜と呂布は行ったぞ。……無理な気がしてきた。


 いや! だがこれに賭けるしか。


「それに勝って俺に何の利が?」

「冀州の統治!!」

「それは朝廷の仕事だ。それに反乱するってんなら。今の俺には丁度いいぞ」

「……な、何を」

「オメー等のおかげでズッと耐えて溜まった鬱憤晴らすわ。反逆者で」


 こ、こんな。ああ、もっと理性的な者だと思っていた……。天下に立つべきは俺だけか。


「だが!! その前にお前等に対する鬱憤を此処で晴らしてやるわ!!!!! それこそ反乱なんざ起こせねぇ程に蹂躙し心ヘシ折ってなァッ!!!!!」

「で、あればこそ!!! 一騎打ちを!! 恨みは、恨みは反乱を!! 此の数の恨みを受ける事は御座いますまい!!

 貧にして恨む事無きは難し!! 儒の大家たる盧家であれば御理解頂けましょう!!」

「……ッチ。旧悪を念わずが出来る程に冷静じゃねぇぞ俺は。恨みに対しては直を以て報いてやる」


 良し!! よし!!


「顔良、文醜!!」

「では閣下。これにて」

「あばよ」


 ……済まない。

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