立つもままならず
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今回は十話です。
暇潰しにでも見てってくれたら幸いです。
それでは良いお年を。
長安で皇帝が住まう未央宮に向かって王允が進んでいた。無骨な壮年黄琬と細身の老人士孫瑞が左右に控えており兵が続いている。司徒という立場と武力を伴って誰も止められない。
「私は陛下の元へ行きます。黄殿は弘農王の元へ。君栄殿は皇后様の元へ」
「承った」
「王允殿、黄琬殿、後ほど」
王允は真っ直ぐ進み未央宮に入った。
「陛下!!!」
皇帝の居室に入り込む。誰も居ない伽藍堂の部屋。王允は目を見開く。
「へ、陛下を探せ!!!」
その頃、劉協は。
「ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
すっげぇ走ってた。もう服がバッサバサいってる。めちゃくちゃ早い。
「協、早!!」
劉辯も走ってた。
「徐晃!! 皇后は?!」
先導する斧を持った羽林が頷く。
「既に避難しております」
王允が捜索の手を広げるが皇帝は見つからず徐栄とその軍勢、また一時的に指揮を任された白波賊と呼ばれた盧家の私兵も消えたのである。
「陛下の勅を得たかったが仕方あるまい。董卓を殺せ!!」
王允は并州勢を動かし長安の門を閉めさせ呂布の手勢の手引きにより董卓を李粛の軍勢が包囲した。
〓呂布〓
いやぁ、何とかなりそうで良かったよ。義父上の元に居るのは居心地よかったから少し惜しいがね。火遊びが過ぎた。
「何しやがるテメェ等アッ!!」
「ギィ?!」
あーあー李粛。仕損じたな? 何人か殺されたみたいだし鎧でも着てたか。
「呂布は何処だ!!!!!」
おっと……泣いた振り泣いた振り。
それにしても李粛め。怖気付いて何人の兵を殺されれば気が済むんだ全く。
兵の数を多く見せないといけないってのに。
「はぁ、行こうか赤兎」
おや……? おかしいな。あの目は……。
「義父上。私は詔により逆賊を討たねばなりません」
「ッハ!! 馬鹿犬が泣き真似をしてやがる」
ありゃりゃ。バレてた? いや、疑われていたのか。何故だろうか。
まぁ……殺してから考えよう。
「……ッ!!」
「おや義父上。思ったよりやりますね。隠し刀で受け止められるとは」
「五年前なら逃げても見せたんだがァッ!!」
おっと……!!
「全く王允がこんな馬鹿だとはな。お前も熟だぜ。ッハッハッハ!!」
「……あァ?」
「わかんねぇか、わかんねぇだろうなぁ呂布。犬コロにゃあ無理だろうよ。自分たちが何をやったか、やっちまったかを、だ」
自分が死ぬ状況で何を笑ってるんだ?
「黄泉への旅路に教えてやるよ。お前達は子昌殿に疑われてた。だから俺は最初の一撃で死んでねぇ」
……やっぱり、か。余りにも侍女達から情報が入らな過ぎた。だが、だから何だ。
「未だ分かってねぇって顔してんな、おっと」
何をニヤニヤと……。それにしぶとい。五回も殺し損ねるとは。
「教えてやるが呂布。蔡邕は陛下と共に隠れたぜ。皇甫将軍や楊彪は陛下の味方だ」
……!!!!!?
「馬鹿な!! お、王允め!! しくじったのか!!」
「ギャハハハハ!! 陛下が居ないんじゃあお前等は逆賊だ!! ヴァカが!!!!!」
〜〜ッ!!!
「オイオイ子昌殿に武力でも頭でも目でも負けてるぜ如何する呂布?」
「煩い!! 義父上、貴方を殺し陛下を見つけ逆臣を討てば良い!!」
「俺は殺せても、さて。陛下は手中に出来るかねぇ。しかも慌てん坊の王允を飼い主にしてだ」
「……ッ!!」
確かにアレを、か。拙いな。
ああ苛立たしい!!
「クソッ!! こんな事なら貂蝉に手を出すんじゃなかった!!」
「え……? えぇ……」
……。
「何ですかその顔は……」
「馬鹿だとは思ってたが。え、何だオマエ。俺の侍女に手を出したからこんな事をしでかしたってのか?」
「……煩い」
「えぇぇ……? はぁー。もう、良いわ。アホくせぇ」
な! 力を抜いた?! いや、この感触は鎧を着込んで!! ——ッ拳!!!
「ガヴゥッ?!」
な、殴られ、た?
「ッハ!! 精々苦しみな」
「ッッ!! 何だその目はァッ!!!」
この、私を!!!!! この程度の一撃も防げぬ程度の分際で!!!!!
「ッチ!! ……フゥーーー!!」
首になっても不愉快だな。ん?
「皆、恩義ある者は此の田儀に続け!! 相国様のかた——!!?」
「煩い」
何だその目は!!
ゴミ供が……!!!
ああ!! 胸糞悪い!!!!! ......。
「フン。そうやって笑っていろ。陛下を手中に収めた私達を止められる者などいないのだからな」
後は王允の仕事だ。




