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盧植のおそらくは居ただろう子供に転生?した系三国志の話  作者: 凡凡帆凡
個人的に三国志演義で一番テンション上がるのって虎牢関の戦い編
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人中至高対三英兄弟

 〓曹操〓


 ああ何と、なんと美しい。武人として半端者の私には何合打ち合ったか理解するのが精々だが。ああ言葉に出来ん。


 決然として血湧けど将兵怯懦せん。ただ見る事さえ凡夫には敵わず。

 我が心根に響く気炎止まらず。両雄ただ奮い奔放として悠々。

 此の奮う心如何に為すべきか。此の剣握る手を如何にすべきか。


 ……全く我ながら何と惨めで悍しく低劣愚鈍な詩文だ。呂布、関羽。あれほどの豪傑を前に歌う詩文として貧相にすぎる。自分の詩文とは思えんな。余りに無粋だった。


「——操!! 曹操!!」

「っ……。ああ、すまない。何だ孟卓」

「とんでもない事になった。君は此処まで考えて居たのかい?」


 む……。それ以上は拙い。っと、ちゃんと周囲を確認したな。気付いたか。流石だ。


「此のままいけば此の地は政治的に重要な土地になる。そうすれば煮え切らない本初も動かざるをえなくなるだろう。とすれば私達が名を挙げる機会は否が応でも来る」


 ……いや、結果的に思惑通りだがこうなるとは思ってなかったんだが。

 と言うか冷静になれば何だアレ。人間じゃないだろアレ。ホントすげぇなアレ。部下に欲しい。


「なぁ孟徳。何故あんなのが居ると教えてくれなかったんだい?」

「……待ってくれ孟卓。私はそもそもこう迄なるとは思って居なかった。厳密に言えば関門で止まり小競り合いが長引く程度だと思って居たんだ。

 一個人の武では無く董卓の攻めの軍略によって此の地で決戦が起こると踏んでいた。最も恐れていたのは朱将軍か盧太保が関門を守って董卓が西涼騎兵を率いて迂回する事だ。と言うかあの呂布と言う男に付いて知ってる事なんて無いしな。

 と言うかあんな化け物が居たら進軍なんて進言しないぞ。私は死にたく無い」


 孟卓め。何だその本当かどうか問うような顔は。口より物を語ってるじゃあ無いか。


「なぁ孟卓。アレを見て考えろ。アレだぞ」


 まだ続く一騎打ちへ指を指せば孟卓は釣られて視線を向けた。冷や汗すごいぞコイツ。


「確かに。知ってたら避けるな。アレは」

「だろう? それにしても惜しいな。呂布の馬とは言わずとももう少し真っ当な馬に乗っていれば……」

「ああ、関羽の馬は疲れている。アレではそう長く戦えない。直にバテるぞ、む」


 アレは雲長殿と共に居た。


「兄貴!! 馬を休ませろ!! 代われ!!」

「張飛!!」


 ほう。今の戦いを見てああも勇猛に進むか。


「燕人張飛此処に有り!! 卑しき三姓の家奴め!! 俺が相手——っ!!!」


 み、見えなかった。あの張飛とか言う男。品性も知性も感じないがよく受け止めた物だ。武においては侮れんな。


「燕の猥雑なる匹夫よ。今、私に何と言った? すまないが聞こえなかったのでね」

「三姓の家奴と言ったんだ!! 卑しい奴隷のくせに聞き漏らすな!! その上この俺を匹夫だと!!!?」


 き、拮抗させるか。凄まじいな。地が砕けるような一撃だぞ。


「ああ、すまないね。何て言ったかな?

 私は小人の声が聞き取り難いんだ。ほら小人の小声は雑音にしかならないじゃあないか。君の様に醜いと聞くのも一苦労だ。

 私は寛大だ。もう一度聞いてあげよう。胖人張飛」

「誰がデブじゃゴラアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 ……なんか。なんだ? アレ。ガキか。やってる事は尋常では無いのに。


「死ね家奴!!!」

「その程度か匹夫!!!」


 にしても凄いな。あれほど打ち合えるとは。天下には未だ未だ才が埋まっている。


「ッチ!! 姓を変えて地位を得た割にはやるじゃねぇか奸賊が!!」

「そう言うお前は口だけのようだねぇフフフ」


 ……ガキかな? コイツら。一合一合が此処まで響く様な重撃を放ちながら交わす言葉じゃないだろ。あ、体制を崩した!!


「隙を見せたな匹夫!!」

「ッチ!!」


 む!


「義弟はやらせん!!」


 割り込みか。雲長殿の義兄の。アレは劉備だったか?


「邪魔だァ雑兵!!!」

「兄上!!」


 雲長殿も行ったか!!


「気をつけろよ大兄!!」


 三対一。これで二人で呂布を釘付けにして入れ替わり立ち替わり突撃をする事が出来る。流石の呂布とて対応出来まい。


 ….…いや。アレでも若干押す程度か。呂布、何と言う男か。と言うかアレは人間か?


 いや実際に呂布は受ける事しか出来ない。それに対して三兄弟は劉備を基本に弟達が距離を取って十二分な助走を付けた上で、即ち馬の速度を合わせて一撃を放っている。


 ……いやアレに対応できちゃダメだろ人として。そこは死ぬべきだろ。人として。


「ッチ!! 小蝿の様に鬱陶しい!! 興が削がれた!!」

「クッ……!!」


 劉備が突き飛ばされたな。張飛が離れ雲長殿が振りかぶる一瞬の隙を突いたか。アレは立てんぞ。


「兄者!!」

「大兄!!」


 三人で辛うじて押して居たのだ。背は向けられんか。さて。


「誰か!! 劉県令を回収してやれ!! 突き落とされた男だ」

「はは!」


 余興はこれで終いだな。呂布も得物を担いでしまっている。誰も手が出せん。


「君達は全くチンタラと纏わりついて鬱陶しいったらな無いな。

 特に関羽。お前にはガッカリだよ。もう少し出来ると思ったがね。せめて名馬とは言わないが良馬を授けてくれる君主を探すんだな。そうすればもう少し楽しかったのに。

 あと匹夫は殺す。其処の出しゃばってきた雑魚もだ。覚悟しておけ」


 凄まじい戦いだったな。一騎討ちから始まり三対一の……ん?


 待て。何故連中は関門を用いず一騎討ちなど演じたんだ? 一兵も使わずに。


 あ。


「孟卓。拙い」

「どうした?」

「関に注目し過ぎた」

「……まさ、か」

「大声で言うなよ。やられた。急ごう」

「ああ、そうだね。分かった。地形を考えれば汴水だと思うが孟徳は?」

「同感だ。本気で拙い」

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