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盧植のおそらくは居ただろう子供に転生?した系三国志の話  作者: 凡凡帆凡
わからんならいっそ設定を弄ったれってした所為で余計わからんくなる事あるくない? 編
35/80

リミット

 盧繁は屋敷で一人で考えていた。手紙や竹簡が並びまた頭の中では諸人から聞いた話を思い返している。考えるのは敵と身内が何をしたいのか。


「やっぱり襄賁候(劉虞)を擁立しようとしたか……?」


 だがふと気配がして部屋の入り口を見れば許嫁と言うか実態として嫁である袁雅が覗きこんでいていた。


「……? どうしました頌姫殿」

「あ、えっと。失礼致します子昌様。父上からの御手紙が届きました。それを届けに」

「それは有難う御座います頌姫殿。どうも顔が赤い様ですが大丈夫ですか? まだまだ寒いのですから」


 盧繁は自分の羽織っていた毛皮を羽織らせてオデコに手を当てる。相当なイケメンと相当な関係性が無いとブチ殺されるような事を平然とやっていた。そして顔の赤さを増した袁雅の手を取り椅子に座らせる。


「空気も乾燥しています。白湯ですがどうぞ」


 盧繁はそう言って鼎を渡し代わりに袁雅から手紙を受け取り広げ牀に腰掛ける。


「……コレが本当なら勢いだけで動いてない?」


 盧繁はドン退きした。待望の袁術から届いた御手紙の内容に。えぇ……って。

 厳密に言えば袁術が仕方なく反董卓連合として立った証拠になり得る手紙にして反董卓連合こと山東の諸将の内情を記した密書にだ。

 良く言えば新進気鋭だろうか。有り体に言えば何も考えずに取り敢えず起業したヤベー連中の様な内情。更に続く袁術の現状。


「ん? 王叡を文台殿が殺した、か。じゃぁ後将軍殿は、コッチに来るわけじゃ……無い? え、何で?」


 内情内通に続いて続く近況報告を読んで盧繁はこんがらがった表情を浮かべる。

 メッチャ有名な敵を知り己を知れば百戦しても結構なんとかなるでってのがあるが、当然の様に董卓や将軍達は密偵を出していた。盧繁とて洛陽の街で食料を得る害獣狩りで得た市井の縁や異民族の隊商との縁を用いて独自に探りを入れていたのである。

 それは軍事に拘うのであれば最低限の嗜みに相当する物であった。


 そんな訳で荊州刺史王叡は山東の諸将に合流する気だった事は誰もが公然の事実と理解していたのである。

 とどのつまり漢朝群臣の認識では董卓の、延いては漢朝の敵を孫堅が討った。なので孫堅は味方であり彼の補佐の為に劉表を荊州へ送ったのである。袁術からもその褒美として豫州刺史やら破虜将軍への推挙の使者を送ると書いてあった。

 だがその王叡を討った孫堅が漢朝に味方するのかと言えばそんな事は無く、更には劉表まで反董卓連合に合流したと言う。


「意味わから……あ?」


 盧繁は読み進め非常に微妙ながら、納得した酷く気不味そうな顔になった。端的に言えばそもそも論であるが漢王朝が嫌われてるっぽい。後漢の統治機構というのは正に末期であり諸々に対応出来てないのだ。


 早い話が税金払ってんだから異民族と賊徒なんとかせぇやっていう。パンとサーカスどころか身の安全さえ危うい。そもそも黄巾賊で終わりではないのだ。

 なんなら「もうテメェら(漢王朝)のことなんざ知るかボケ」とか「寧ろブッ殺してやろうかあ“あ”ン?」とか。まぁ兎にも角にも中央に対する不満が広がっていた。

 此の時代は極論だが上も下も気に入らなければクビである。職業的なクビという解雇ではなく胴と頭がサヨナラバイバイな物理的この世から解雇だ。だから多数派である地元民を無視は出来ない。


「まぁコレばっかりはなぁ……」


 最後まで手紙を読んでふと盧繁は不安そうな顔で自分を見上げる袁雅に気付き笑う。いつの間に横に腰掛けたのだろうとは思いつつ。


「流石は後将軍殿です。全く勤勉な事にもう少し情報を探るとの事。コレだけで随分と情報を齎してくれたというのに。

 まぁ戦力自体はありますし、任地も一先ずは抑えられそうだと書いていますよ」


 手紙を振る様にして言えば袁雅は安堵の吐息を漏らして笑い。


「それは良かったです」


 そう返した。


 盧繁は意図的に事実を伏せた。袁術は敵になるという事実を。その誰が見ても安堵を覚える笑顔の裏で足掴んで振り回すリストに王叡から劉表に変えながら。


「使者の方が帰ったら共に話を伺いましょう。御壮健だったとは言え手紙が随分と遅かったのも事実。まぁ任地へ向かえば忙しいのは当然ですが」

「そうですね!」


 董卓の命令によって選定された使者は五名。

 大鴻臚の韓融、字を元長。少府の陰脩、字を元基。執金吾の胡母班字を季皮。将作大匠の呉脩、字を並佩。越騎校尉の王(土王)、字を子塊である。

 韓融、陰脩が荊州南陽。胡母班、呉脩、王(土王)が司州河内。


 彼等の内で帰ってきたのは韓融だけだった。


 〓盧繁〓


「徐オジちゃん!!」

「おお子昌殿ハッハッハ」


 いえーい獅子オジちゃん軍礼してハイターッチ。ってやってる場合じゃねぇか。まぁ人目はねぇけど政治の話だ。


「ンン“徐中郎将。早速仕事の話ですが荊州に行った陰脩、これは矢張り内通者だった様です。韓大鴻臚は違った様ですが……」

「成る程。では陰元基を除く三名は無実と考えても? 既に殺されて敵も味方も無いですが」

「分かりません。ただ確かに胡母季皮殿は妹婿子の王匡に殺されました。共に殺された呉並佩と王子塊は兎も角、彼は潔白だったと考えています。

 それと帰ってきた韓大鴻臚は荀慈明との繋がりが強い。私としては疑ってみていたのですが話を聞きに行ったところ、彼は董殿の考えに賛同はしていないですが朝廷には忠実そうでした。

 何大将軍の麾下にいた参謀団を、厳密に言えば荀攸という男。此の人物を私は疑っているのですが……」

「まぁ、禁中に入り込んだ謀略家達ともなれば疑いも持たれるか」

「此の際、鄭泰や何顒もせめて免職出来れば良かったのですが……」

「無理でしょう。何大将軍の将達が黙っておりますまい。それに名の知れた方達だ」


 そうだよなぁ。袁紹のトコに行った胡母班、呉脩、王壊。コイツらは説得に失敗した。

 なんで反董卓連合に参加した連中を推挙してて特に袁紹を弁護してた鄭泰、何顒、周毖、伍瓊は咎めるべきなんだが。いかんせん連中の名声と声望が高い所為で周毖と伍瓊を処罰して終いになっちまったんだよなぁ。

 元大将軍府の連中が故郷に帰ったり延いては董殿に反感を抱くとヤバい。戦力どころか国力が人口と直接的すぎるんだよ此の時代。


 まぁしゃあねぇわな。それよか、だ。


「それで徐中郎将。戦の準備の方は如何なりました? 敵勢は凡そ洗えましたが」

「それが少し遅れそうだと。想定以上に民の後送に時間がかかると申しております。どころか梁県へ移動を手伝いに行かねばなりません」

「……機を逸したな」

「同感です、が。これも悪くはありますまい。敵の兵糧が少ないのは確かな様子です。であれば政略的にはともかく戦略的には正しい」

「ですね。如何にかして二、三人の首を取りたいところですが……」

「おお、その意気です。共に尽力いたしましょう」

「はい!」


 先手を打てなかったのはしゃーねー。が、どっかで万日に備えて大手柄を挙げる手立てはねぇかな……。

呉脩・並佩

字は適当。袁紹のトコに説得に向かった一人。将作大匠。


(土王)・子塊

字は適当。名はカイで打つことができない漢字なので意味はアレだけど形の似てる字を入れた。本当は壞の土偏を王にしてる字。袁紹のトコに説得に向かった一人。越騎校尉。


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