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盧植のおそらくは居ただろう子供に転生?した系三国志の話  作者: 凡凡帆凡
三国志のここら辺ってギチギチ過ぎるでしょ編
25/44

シュートしたらエキサイティングすべきである

「尚書は何処か!!」


 早朝早く尚書令に中黄門が揚々と入り込んで来た。ゾロゾロと大人数で何事かと尚書として控えていた者達が訝しむ。その中で盧植が立ち上がり偉そうな宦官の前に立った。


「何用か?」


 盧植は軍人としての経歴も深く荒事には慣れている。故に名も知れぬ様な木端宦官の徒党に怯む事は無く、寧ろ兵士を数回しか見た事のない宦官達を怯ませた。先頭に立つ中黄門が背中を突かれハッとする。


「盧、盧植!!」

「左豊……殿でしたかな? 何用か」


 淡々とした問いに広宗包囲の時にやって来た小黄門だった宦官左豊は罵声を浴びせようとして盧植の眼光に怯み。


「う、ああ! 詔だ。元大尉の樊殿を司隷校尉に、少府の許殿を河南尹に任ずる。その準備をするのだ!!」

「樊徳雲殿と許公弼殿を、か」

「う、うむ。詔板は此方にある」

「ふむ……」


 突き出された其れを受け取り見れば確かに言う通りの事が記されていた。

 元大尉の樊陵は位を金で買った男である。また時勢を見るに機敏な男だ。少府許相は人物評価で有名な許氏の一族。しかし傍流であり地位は低い。

 両名とも現状に不満を抱く者である。また何進に敵対し警戒されていた。


「大将軍閣下と共議させて頂こう」


 盧植は疑いの目を隠しもせずに言う。すると左豊が喜悦と嗜虐に満ち満ちた嫌らしく悍ましい笑みを浮かべた。更には木端宦官達も笑みを浮かべて行く。


「持ってこい!!」


 左豊が嬉々として叫べば木端達が左右に分かれ何かを手渡された。そして受け取ったソレを振り返りざまに投げ付ける。投げつけられた物を驚愕の目で見ながら盧植は慌てて抱えた。


「何進は謀反し既に誅殺された!! ハーハハハハハハ!!」


 中黄門の嘲笑を呼水に木端宦官達がケタケタと笑いだす。盧植はその雑音を合切無視して何進の首を詔を記す最も上等な布で包んだ。そして品性の欠片も無い肥えた中黄門左豊へと手を伸ばして。


「ケヒャヒャヒャッ——?」


 胸倉を掴み上げた。中黄門の足が八尺を越える盧植の身の丈の差だけ上がっていく。ユックリとジックリと。

 己が首を鷲掴み腕を如何にかしようと足掻くが盧植の身体は小揺るぎもしない。木端宦官達は絶句し青ざめ動く事が出来なかった。一言も発さぬが故に黄巾の英雄の憤怒が場を満たす。

 そして怒りで火山の様に鳴動する盧植の腕が動き、その表情その相貌が木端宦官達の前に顕となる。いよいよ以って蛇どころか龍に睨まれたカエルの様にその矮躯を固めた。


「やったな貴様等ァッ!!!!!」


 怒号と共に左豊を動けずにいる木端宦官の上へ落とした。一般的な宦官どころか人間より重いソレは下敷きにされた者達を絶命させて有り余る。それは一度で済まずその場の木端宦官全てを木端の様に屠殺した。


「王河南尹殿!!!」


 右手に赤い肉塊を吊るした盧植が声を張れば此の場で最も軍事力を差配できる王允が恐怖で弾き飛ばされた様に震えて立ち上がる。


「な、何でしょうか」

「私は宦官連中が皇族の方々を害す危険がある故に一足先に行く。そして貴方は文官達を守って此処から退き、即座に此の事を太傅殿に伝えて頂きたい。兵を引き連れ命令を受けるのです」

「わ、分かった」


 王允がコクコクと頷けば盧植は肉塊を離してそれの代わりに落ちていた戟を握って走り出した。その場にいた面々はホッとため息を吐き蜂の巣を突いた様に騒ぎだす。そして一先ずは武装を始めた。


 〓盧繁〓


 隠れ家の民家で焚き火がパチパチと響く。掻き混ぜる魚を入れた羹は良い匂いだ。蒸し米ももう少しで出来上がるな。これだけなら割と良い空気なんだが。うん対面の二人メチャクチャ同じ態勢。


「もう少々お待ち下さい」


 すげぇ全く同時に二人揃って頷いた。息合ってるってレベルじゃねぇ。そんでそのまま二人並んで膝に顔埋めてんの何でよ。余りにも鏡合わせすぎるでしょ幾ら何でも。

 いやぁにしてもほんとに二人共しょげちゃってんな。最初は避難ってのを寧ろ非日常って感じで楽しそうにしてたのに。

 まぁ言っても実際に避難とかすると結構大変だし不安が多くてキツいモンだよな。俺も初めて鮮卑に襲われた時とかクソ怖かったしクソキツかったもん。前世の初避難訓練とかだとワクワクしてたけど。俺に比べりゃ二人共気丈に振る舞って料理しようとしてくれたしすげぇわ。

 ……火も付けられねぇ魚も触れねぇで現状になっちゃったけど。


「さぁ頌姫殿、参宿殿。瑣末ながら飯が出来ましたよ。状況が状況ですので御勘弁を」

「あ、有難う御座います子昌様」

「あ、配膳くらいは……」

「まぁまぁ御気になさらず。人数を減らす為とは言え従者さえ付けられなかったのは此方の落ち度です。事が起これば太傅様と董殿が直ぐに——」


 あん? 二人に見える様に振り返り口の前に指を立てる。何の物音だ。


 火を消し斧を握り戸の前に控える。戸を少し開ければ兵馬、いやアレは敗残兵だな。洛陽の方からって事は大将軍さん殺されたのか?


 二人の方を見れば酷く震えて身を寄せ合っていた。足音を立てない様に側に寄る。


「御案じ下さいますな。アレくらいなら俺一人で如何とでもなります。ですがどうか隠れて動かぬ様に。敵か味方か確認して参りますから」


 声を抑えて言う。震えてっけど頷いてくれたな良し。いや良くねぇわ。

 表の戸を閂で塞いで裏の扉から出る。隠れ家と別の所から来たって体で斧は敢えて担いで見せて。敗残兵の前に出れば浮ついた感じになったな。

 斧見えねーのかコイツら。いや俺一人だから如何とでもなると思ってんのか。まぁ一人とかならそらそう考えるわ。


「そこの者よ。参れ」


 あ? ンだあの細いのは……。


「至尊の方に尽くす名誉をくれてやる。一先ず我等と尊き方に食事を以って参れ」

「テメ張譲だな」

「は?」


 取り敢えず下から顎にグー。5メートルくらい上にブチ飛ぶ。あと適当に斧振ってりゃ死んだ。


 落ちてる張譲を蹴り上げる。


「ゴボォ?!」

「陛下何処だよ」

「な、なにゴボォ?!」

「陛下何処だよ」

「貴様、私をゴボォ?!」

「陛下何処だよ」

「ふ、ふざけるな」


 ……未だわかんねぇか。三回蹴ったぞ。


「な、はな!! 離せ!! 私は中常侍張譲だぞ!! 貴様如き下賤な者如きが触れて良い存在では無い!! おい!! お前の一族を殺す事さえ容易いのだ!! 離せ——え?」


 黄河って広いよなぁ……。持つとこを足から頭に変える。良い深さだわここ。


「き、貴様ふざけ——ゴボボボッ」


 自分の手首まで突っ込む。お、息止めたか。どんだけ持つかな。あ、大きな気泡だな。


「ヴォあ?! ふざけ——ゴボボボッ」

「あ“な”ぜ——ゴボボボッ」

「金を——ゴボボボッ」


 以外と強情だなぁ……。


「分か——ゴボボボ」

「小平津の北——ゴボボボッ」

「駅馬の厩の中に両——ゴボボボッ」


 いや厩て。陛下厩放置て。マジかコイツ。


「小平津の北の駅馬に居るんだな?」

「ゲッホッボッホ!! ガヒュああ!! ああ、そうだ!!!」

「じゃあ次は状況を教えろ」

「ぐ、宮中に賊が火をかけ押し入りおった」

「ほぉん……」

「その避難の為に陛下を御守りしお連れしたのだ。貴様の父親も賊の一人だぞ!! 死にたく無ければ——ゴボボボッ」


 元気だなコイツ。


「テメェあんまナメてっとこのままにすんぞマジで」


 あん? ……何だこの壺。


 あ、ヤベ。


 沈めすぎたかな?


「ッカヒューヒュー……」

「意外と頑丈……。因みに此の壺なんだ?」

「つ、壺?! 何処に!!!!!」

「うお煩っ?! 俺の足元見てみろ。此のちっさいのだ」

「わ、私の宝!!!」


 ……宝? 宦官の宝……? この小さ……。


「うわキッタネ!!」

「あ“あ”!!!」


 コイツのチン◯かい!! 吃驚し過ぎて蹴飛ばしちゃったよ!! あー吃驚した。


 ポチャン……。


 ぽちゃん? あ。


「あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”!!」

「何か……流石にゴメン」


 黄河の前で張譲が四つん這いなっとる。いや頭掴んでるからアレだけど。何か紐に繋がれた痩せ犬が届かねぇ餌前に必死こいてるって感じ。まぁンな光景見た事ねぇが。


「あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”——!!」


 うお、力強……。

 いや離す程じゃ無いけど。倍くらい力入っとる。いや入水自殺でもする気かて。そりゃ末期は変わんねぇが。

 さて、うーん。


「——あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“ガッ?! は、離せ!! 私の!! 私の宝!! 殺しても良い!! 宝を!! イヤダアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」


 一先ずコイツの帯で両腕縛って。

 てか先に黙らせねぇと気が滅入るな。そこら辺の兵士の服でも口に突っ込んどこ。足引っ張られてんのに喋り続けんのマジかよ。

 直ぐ河に行こうとしやがってコイツ。


「ムグーーーー!! ムググーーー!!」


 駅馬までなら月驥と星驥なら一走りだな。


「お待たせ致しま——うお」


 左右から衝撃。てか超震えとる!! 時間かけ過ぎた!!


「お待たせ致しました頌姫殿、参宿殿」

「いえ! 御無事で何よりです子昌様。本当に……」

「頌姫様も! 私も! 信じておりました。嬉しゅう御座います」


 ……くるわぁ。心底ンな事言われたらくるわぁマジで。これ肩とか抱いて大丈夫かな? 

 どうしよ。うん、嫌がられたらガチで謝ろ。立ち直れんかもしれんけど。

 えぇい、ままよ!!


「有難う御座います。信頼を裏切らなかった事に安堵しました。ところで張譲を捕まえてしまったのですが如何しましょうか」

「え?」


 初めて聞いたな頌姫殿の気の抜けた声。めちゃくちゃポカンとしてる。


「それと陛下を迎えに行きましょう」


 あぁ二人共絶句しちゃった。


「失礼する!! 誰か居られぬか!!」


 うお?! 扉がバンバン叩かれる。


「誰か!!」


 ……今度は何よ。ったく。


「この様な時分に何様で——」

「直言を許す。私は陳留王である。どうか此処で何があったか教えてくれ」


 いや、何で? 服がマジで殿下なんだけどマジモンの殿下っぽいな。マジで何で!!


「えぇ、っとハイ。え?」

「そうなるのは分かるが教えて欲しい。今は一体如何なっているのかを。張譲と言う老人を見ていないか?」


 ギュルルルルル。


 何の音? あ、あー。しゃーないだろうに顔赤らめちゃってまぁ。


「取り敢えず中へどうぞ。多少食える物もあるんで」

「そ、そうか。その、陛下に食事を出して貰えるか。有難う! 褒美はきっと取らせる!」

「御気になさらず。私は尚書盧子幹の子、盧繁、字を子昌と申す者です。まさか故郷への途上にお会いするとは」

「ああ英雄盧子幹の。なるほど感謝する。すまない!! 兄上!! 兄上!!」


 殿下が振り返って呼べば物陰から兵士の死体をビクビク見ながら近いてくるのは陛下。


 意味わかんねぇよ。何この状況。は?


「協!!」

「兄上、この者が食事をとらせてくれると! 盧植の子、盧繁と申す者です!!」

「そ、そうか!! うむ!! くるしゅう無いぞ!!」


 俺と同い年くらいのクッソイケメンな陛下と俺の5歳くらい下の穏やかな感じの殿下。弟を矢面に立たすのはどうよ。いや立場がアレだけど。


「頌姫殿、参宿殿。その、とんでもない客人が来ました」

「そ、そうですね」

「アワ、アワワワ」


 取り敢えず二人に言ってから陛下と殿下を迎え入れ——。


「何だ。女人がいたの……キミ達かわうぃ〜ね〜。私の——」


 あ“?


「——ぴ」

「殿下。陛下は何方に? あとこの無礼な影武者は殺しても?」

「あ、ま、待って欲しい。兄上!! 唐の義姉上に申し上げますよ!!」

「協、ホントやめて……。あの、盧繁よ。妹とかでは無いのか」

「二人共に婚約者です」

「あのホントすいませんっした」


 あぁん……?


「ろ、盧繁殿!! 許してくれ!! 兄上は御優しい方なのだ!! 軽佻で威厳など欠片も無いがそれでも私を気遣ってくれた数少ない御方!! 義姉上が締め上げてくれる故どうか!!」


 ……。


「ッチ。しゃーねぇなァ……」

「アレ? 協、朕って皇帝だよね? めちゃくちゃ言ってない? もうちょっと優しく言ってくれても良くない? そんで締め上げられるの……?」

「兄上!! 人の婚約者に横恋慕など天が怒りますよ!!」

「いや、結構好みだったんだもん……」


 ……。


「……っすぞ」

「陳謝、朕、陳謝」

「兄上……そんな奴僕みたいに傅いて……」

「協、助けて。ホント怖いこの人。めちゃくちゃ目が怖い」

「……その、盧繁殿。お願いだ。申し訳なく思う。しかしこんなのでも一応は皇帝なのだ。何と言うか、外聞が悪い。誰かに見られでもしたら私達が何と言っても類が及ぶ。それは御身に止まらん」


 ……。


「分かりました殿下。しかし陛下には笑えぬ時点では冗談では無いと良くよく伝えて頂きたい。そこの飛蝗影武者にも」

「いや、あの、一応ホントに朕が皇て、い。スイマセン本当、二度とやんないんで睨まないでください」

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― 新着の感想 ―
この方向に来ましたか、これは良い流れ
この場面を父上知ったら魂消るでしょうね。
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