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盧植のおそらくは居ただろう子供に転生?した系三国志の話  作者: 凡凡帆凡
年齢的に何もさせれんし時代的に出さんといけん人多過ぎて手に余る編
17/33

エピソード14のタイトル見て思ったけど人間て暑すぎるとアタマおかしくなるんだな

「どうかな子昌殿、分かって頂けたかな?」

「はい。よく分かりました。御礼申し上げます曹殿。敵の意表ついてブン殴れば良いんですね」

「うん、まぁ……。うん。そうだな。

 そういう意味では広宗の戦いは飽けば能く之を饑えしめたのが君の父君の包囲だ。そして安んずれば能く之を動かしたのが後方から兵糧を焼いた君だな。

 虚実編の実例として当に好例と言えるだろう」

「成る程、思いっきり嫌がらせしまくれば最強ですね」

「さっきから絶妙に否定しずらい……」


 洛陽の市場の端に教師と生徒がいた。小さな男が竹簡を広げて大きな少年が地面に積もる雪に地図を書く。それは曹操と盧繁である。


「ナーーーーーーッハッハッハ!! 此処に居たかい曹殿!!」

「やあ孟徳。ふむ……私が考えるに君に兵法を習うのが例の子かな?」


 そこに現れたのは偉丈夫と伊達男だ。戦傷が残る屈強な男が片眉を上げ伊達男に問う。曹操は肯定して頷いた。


「おいおい、そらぁ……!」


 偉丈夫が繁々と盧繁を眺め伊達男が足元の地図を見て納得しながら。


「ああ、私が考えるにたぶん盧尚書の御子息だね。齢十にもならず張梁を討った麒麟児、後将軍殿が目を掛ける、確か盧子昌君だったかな?」

「おお、やっぱりかい!! 俺は何進様の最精鋭の部曲を率いる呉子卿だ!! 宜しく頼むぜい!!」

「フフ。私は騎都尉。張邈、字を孟卓という者だ。困った事があったら思い出してくれ。微力を尽くそう」


 盧繁は結構偉い人達な事に驚きながら拱手を返した。


「御明察の通り尚書盧植の子、盧繁、字を子昌です。初めまして呉将軍、張騎都尉」

「流石は盧先生の御子息だ。勉学に励む所悪いが孟徳に要があってね。すまないが連れて行くよ?」

「ハッハッハ孟卓、私に確認は無しか?」

「夫人が本気で怒っているが良いのかな?」


 曹操の顔が笑顔のままサーっと色を変えた。


「すまんな若き賢者殿、コレは貸すから今日は帰らせてもらう!」


 そう切迫して言うと駆け出した。それを呉匡と張邈はヤレヤレと見やり盧繁に一礼して曹操を追って去った。盧繁は曹操から預かった竹簡を眺める。


「暇になったし写本させて貰って良いかな?」

「成る程、君が文武に精通して居るな少年」


 よく知らない相手に話しかけられるクチだが今日は特段だと考えながら振り返れば虎が居た。当に猛虎の様な人が居た。理知的な猛獣がそこに居た。


「私も君と同じ歳の息子が居るが。さて武はともかく勤勉さでは勝ちようが無いな」


 笑みと共に閉じた瞼。それをカっと開いて燦然と輝く瞳を晒してドっと炸裂する様な拱手は拳を包む軍礼。覇気と闘気を発しながら。


「区星討滅が為に議郎より長沙県令となる孫文台だ。やたらと尋人が多くて辟易として居るだろうが覚えておいてくれ。願わくば我が子と君が友となれる事を願う」


 盧繁は驚く。今、後漢は乱れ、故に英雄から梟雄まで事欠かない。己が父盧植を始め皇甫嵩、朱儁。董卓もまた今は英雄の一人だ。黄巾党の者達から張燕、宋健、王国、韓遂、辺章、張純、梟雄でいえば張譲や趙忠。


 だが最も若く勢いのある新進気鋭の英雄は此の孫文台である。

 自身が暴走の上とは言え名を知らしめたのは分かるが此処までの人物が己を尋ねるとなると畏れ多いを通り越して意味不明だ。

 その色々すっ飛ばして生じた困惑を隠せず、しかし礼儀として拱手を返し。


「御噂は予々。盧植の子。盧繁、字を子昌と申します」


 猛虎が片目を閉じ開いた目で探る様に笑い己が顎を撫でる。


「……ふむ。何故、訪ねられたか分からない、かな? いや、訪ねられるのは分かるが度が過ぎると言ったところか」


 盧繁は心を読まれちょっとビビった。そして特に考えもせず思いのまま頷く。困惑と疲労を混ぜた様な顔でだ。


「いや全くその通りです孫県令殿。

 こんな先人に多大な迷惑を掛けて暴れただけの若造に数多くの方々が態々訪ねて来てくださる。無論それは父上との縁を深めたいという思惑や乱世になった場合に備えての人材確保だと言うのは理解しています。

 次代を考えねばならない後将軍は辛うじて分かる。ですが今正に油の乗った貴方までいらっしゃれば困惑もします。曹殿は何故かやたらと気に入ってくれたのですが……」

「成る程、答えを知るが、其れを答えとは気付かないか。

 私も袁後将軍殿と変わらんさ。どれほど続くかはさておき乱世になるのは、もう避けられんと皆が悟っている。だからこそ分かりやすく英雄豪傑と成り得る君との縁を求めているのだ。あわよくば縁を紡ぎせめて恩を売りたいというのが衆目の一致する所だろう。

 鬱陶しいだろうが気を付ける事だ。特に董卓という奴にはな。女で道を踏み外した英雄は万と居るぞ」


 盧繁は董卓と既に仲が悪い事に驚いた。そして危険視している事にもだ。何せ本気の心配を向けられたのである。

 正直それを否定出来るほどの付き合いは無かった。初めての出会いから三年程経つが涼州の反乱鎮圧に行ったきりだ。その実際に会った一見の印象は悪く無いのだが知識が英雄の懸念を肯定してしまう。

 それは余り宜しく無いとは思うが、しかし知識の内容が内容だ。だから無難に。


「覚えておきます孫県令殿。また荊州での御武運をお祈りします。また御子息と共にお尋ね下さい」

「そうしよう!! 暫しさらばだ!!」


 盧繁の拱手を背に英雄が南に向かう。


 〓盧繁〓


 あーもー最近マジでヤバいわ。曹操に孫堅て頭おかしくなるって。曹操に孫子兵法習うとかは嬉しいけど戦乱近いんだろうなぁ……。


 マジで地震だの日食だので大臣が代わるのは時代的にしゃーない。けど蜂起する連中多過ぎるし如何なることやら過ぎるって。やってる事が後手後手の対処療法だしよ。


 アレだ。3食ポテチで飲み物全部ジュースみたいな。死ぬわ。


 ……マジでポテチとジュース欲しぃ。


 ……せめてジャポニカ米が食べたい。


 ……卵かけ御飯とか無性に食いたい。


「繁。上の空だな」

「あ、父上……。いえ、どうと言う事も無い考えを巡らせていました。私には如何する事も出来ない事です」

「……此度の事、やはり気に入らんか」

「……え?」

「……ん?」


 いや父上。息合わせて首傾げんで下さいよ。何の話っすか。


「……繁よ。お前は袁家の諍いに巻き込まれたく無いのではないのか? 袁公路との顔合わせが嫌なのでは?」


 ……あ。そういう事か。


「いやまぁそこは良いですよ。呉将軍殿の顔を潰すのは嫌ですし頌姫殿も此の一年間時折お会してますが良い子ですから。正直もう諦めました。

 それに折衝校尉がどんな人か顔を合わせた事も無いんで判断出来ません。まぁこんだけ悪い噂が流れてる時点で人品か能力かは不安ですが成る様にしか成らんでしょう。

 とは言え後将軍殿がいらっしゃいますし、何なら最悪は周瑜を頼って盧江に逃げます。最悪の場合でも何故か虎賁中郎将殿とは縁が薄ら出来てしまいましたから」

「……! 繁。まさかお前が曹孟徳と面会していたのは」


 ん? なんで曹殿?


「……袁虎賁中郎将殿均衡を保つ為、では無いのだな。その顔は。吃驚って文字が浮かぶ様な顔しおって」

「ああ! いや、その手があった……!! いや、その手を打ててるのか!!」

「うーむ。本当に狙ってやっていた訳では無かったのか。逆に凄いな」

「いや文礼先生も忙しそうだし俺も鍛錬くらいしかする事が無いんですよ。

 何故か曹殿は気にかけてくださいますし、曹殿も今暇なんで孫子兵法の註釈とかやってるんですが、それを読ませて頂いたらまぁ上手いの何の。

 ありゃ此の儘なら人の世が続く限り伝わる出来の兵法書に成りますよ」

「……そうか。……お前は既に戦乱に備えているのだな」

「……不本意ですがね」


 お、車が止まったな。


「着いたか。行くぞ繁」

「はい父上」


 何回見ても袁家の屋敷クソデケーな。


「良くいらしてくれたな。子幹殿、子昌殿」


 本当この立場で自らで迎えるってマジ如才ねぇよな後将軍殿……。


「お出迎え深甚に御座います次陽殿」


 おっと、俺も拱手拱手っと。


「さぁさ中へ! 誰か、温かい茶の用意だ! それと糖!」


 糖ってマジか石蜜かよ!! キャンディとか産まれて初めて食うぞオイ!! つーか召使さんも普通に頷いてるし汝南袁家マジか。


「庭の小亭にだぞ。それと術のやつも読んでおけ。頼むぞ。さぁさ、ささ御二方、此方へ」


 ん? 足音だな。廊下の奥からか。


「子昌様!!」


 あら頌姫殿マジ元気。んでやっぱ惚れてくれてんのねマジで。なんか申し訳ねぇよなぁ。


 小走りで駆け寄ってくる頌姫殿は昔見た隣ん地の芝犬の子犬みたいでカワイイ。


 ンな嬉しそうに見上げられたら照れちゃうよね。


 照れん方がおかしいって。


「頌姫殿、半月ぶりですね」

「一日千秋の想いでお会い出来るのを待っておりました!」


 はい弩ストレートな好意マジ照れるぅ。火照ってしゃーないわこんなん!! 我ながら絆されたかね。


「……それは面映い。ん? あ、この前市場で買った首飾り、着けて下さいましたか。有難うございます」

「はい……その、子昌様に頂いた物ですし。宝物です」


 はい照れ顔。はいカワイイ。はいヤバい。


「初々しいのう子幹殿」

「そうですな。ところで次陽殿、糖を頂く前に申し訳ないが塩を一摘み頂けませぬか。何故か、口が既に甘い」

「確かに儂もちょっと欲しい」


 ……あ、いかん固まってる場合じゃねぇ。置いてかれちまう。


「あー、その、お邪魔してます頌姫殿。私などと顔を合わせたいと仰って下さった父君はどの様な?」

「……私達には良い人ですわ。でも、でも大丈夫です! 私も頑張りますから!! 頑張りましょう!!」


 ……待ってドユコト? え、なんか頑張る必要があんの? 父上と後将軍殿と袁術が話し合ってお終いじゃないの?


 此の時代の俺らくらいの身分だと婚約だの結婚だのに俺らの意思とか頑張る要素とか無くない?


 いや、稀には在るけど……え? この時代に娘さんを僕に下さいムーブすんの? いや必要なら全然やるけど、えマジ?


「さて、アレが術だ。子昌殿」


 後将軍が掌を向ける先を見れば雪に染まった梅園の中の池の辺りに建つ小亭に一人の男が座ってた。神経質そうな不満顔に鼎を持ってきて口をつけ傾けるが何かスゲぇコッチ見てくる……。エグい睨んでくるけど。


 いやマジで如何いう顔? 盧家との縁を望んだのは袁家側だろ? 初めて会う俺に既に不満を持ってるって何……? 


 虎賁中郎将、は一回しか会ってねぇし。曹殿との関係かね。


「貴様が私の娘を垂らし込んだスケコマシか」


 はい?


「父上!! 子昌様をスケコマシなどと!! どうかおやめ下さいまし!!」


 うお、吃驚した。頌姫殿が語気強く喋るの初めて聞いたわ。


「〜〜〜〜〜ッ!! 笄礼もしておらん娘をタラシ込み此の私から離す策謀を巡らせる悪漢めぇ……ッ!!」

「父上様!!!」

「ック!!」


 ウッソだろ。袁術、割と子煩悩なのか……。


「術よ。娘達に貴人の真似事をさせていると聞いたぞ? 聞けば貴人の敷物に加え重しにまで金を使うなど陛下の妾にでもしたいのか」

「陛下が望むのなら考え無くは無いですな。敷物に関しては何が問題なのです。寒いと言うのですから良い物を買い与えたのみの事。体調を崩すよりも良いでしょう」

「そうでは無い。せめて外に流れぬ様にせよ。外聞を気にしろと言っている」

「それが何だというのです。どうせ謀略を垂れ流す事のみは冴えた何顒めが言いふらして居るのでしょう。あの大徳たる方を粗略にし悪辣な輩を好み学友の苦境の横で肥える輩が」

「義郎殿の事をそのように言うな。彼に助けられた者は多いのだ。まぁ好みの分かれる者ではあるが……」


 あの……婚約の話は? 父上、は糖を舐めてるな。いや俺も頌姫殿も舐めてっけど。


「美味しいですね子昌様」

「ですね頌姫殿。流石は石密です。果物や麦の飴よりも甘い。目が覚める様です」

「ふふふ」


 ワンコみたいに戯れ付いて……。


「貴ッッ様ァ……余りにも近かろうがァッ」


 いや近付いたの俺じゃねぇんですけど。反応に困る……。


「父上……?」

「雅よ! コレの何が良いのだ!

 ちょっと孝徳に溢れ、やたら見てくれが整って、若くして勇猛で、盧先生の息子と言うだけ……だけ……だけ……。

 ぬうううううううううう!!」

「あー……では術よ。じゃあ、もう決定で良いな? 婚約という事で」

「なりませぬ叔父上!! その、えーと……。まだ若いのですぞ!!」

「婚姻では無く婚約だと言っているだろう。自分で羅列して断る理由を無くし何も言えないのなら諦めろ。娘はいつかは家を出るものだぞ」

「あああああああああああああああああ!!」


 ……意外と面白い人だな公路さん。

呉匡・子卿

呉匡は何進の家臣で部曲将、呉子卿は袁紹の奔走の友の一人で同一人物か不明。なんか同じ姓で名前と字のわかんないのが居たんで合体させた。似た様な時期だしまぁエエかってくらいのノリで。


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