フ◯ムゲー難しそう過ぎてやった事ないけど熱いメリイイイイイイイイイイイイイイイ!!!(2025 7 13)
後漢において双極の勢家の一つ楊家当主の葬式が終わり子供達が集っていた。そこには輪が出来ており中心には絶世の美が二つ。方や優美と言えば方や造語になるが勇美だった。
「こぉの国終わってるぅ」
「まぁ、うん……」
戯けて言う勇美に疲れた様に頷く優美。勇美は尚書盧植の子、優美は洛陽県令周異の子だった。齢十で言うのも変だが彼らは古馴染みだ。
「それにしても久しぶりだな周瑜。父上が盧溝太守だった時以来だから数年振りだ。こっちに来てるんなら教えてくれりゃあ良いのに。まぁ何せ元気そうで何よりだ」
「そっちは相変わらず元気過ぎるよ盧繁。黄巾の大将を討ったって聞いて耳を疑ったね。それより続きを教えておくれよ」
「ああ、皇甫将軍が辞めさせられて今は張司空が車騎将軍に任じられて征伐に当たってる。
段紀明の残党だってのを分かってやってんだから正気じゃねぇよ。いや異民族撃滅で名を知らしめた連中に小月氏だのの異民族が加わった軍勢だぜ? つーか賄賂拒否された竿無し共が連戦連敗とかホザいて辞めさせたが三ヶ月で何が出来るんだよ。
まぁ竿の無い腰抜けが権力闘争を仕掛けて無駄に乱が伸びただけだな」
「豪胆だねぇ」
「信用する相手の前でしか言えねぇよ。俺が腰抜けなのは知ってるだろ?」
「どの口が言ってんのさ」
優美が呆れた様に言えば勇美は片眉あげて。
「あ? 忘れたのか? いや忘れて良いんだけど。巣湖でほら、猪に腰抜かしただろ。俺」
「そうだな。忘れられる訳ないな。腰抜かしながら投げた槍で猪の頭が炸裂してたからな。夕食がちょっと豪華になったな」
「そうそう。それそれ。生姜効かせたヤツ」
「腰抜けじゃ無くて食いしん坊を名乗りなよ」
「ッハッハ! 違ぇねぇ」
子供らしくケタケタ笑う二人。そこに少年が立った。涙の跡を残した多才の十歳児。優美な少年は誰だろうかと様子見。勇美な少年は辟易とした顔で。
「哭礼でもやってろ」
涙の跡を残す少年はムッとして。
「知名、知礼、知言」
「礼と云い礼と云う。玉帛を云わんや」
「中に誠有れば外に形る」
「他山の石、以て玉を攻む可し」
優美な少年は思わず呆れた様な顔をした。友である勇美な少年が表には出さないが彼の父譲りに博識なのは知っている。それと言い争える初見の青年も大したものだ。
だが意訳すれば「黙って葬式やってろ」「礼儀って知ってる?」「礼礼ウルセェ見かけだけ野郎だな」「気持ちが有れば問題ないね」「人の振り見て我が振り直せ」である。
要は色んな出典を用いた言い争いだった。孔子の言う礼から離れきった児戯だ。若くして得た才を用いた余りにもアホなやり取り。
「で盧繁、此方の方は?」
十中八九は理解しながら問うた。友の恥を増やすものでもない。またそれなりの立場の者の恥も少ない方が良いからだ。
「ああ。今回邪魔させてもらった葬式の喪主の息子、恩人の楊司徒殿の孫で変態付き纏い野郎だ。要は弘農楊氏の次代だな、うん」
「えぇ……」
想定通りの大物過ぎる相手に対する物言いに優美はドン引きした。だが溜息を漏らすと涙の跡を残す少年へ拱手し。
「盧江舒県の周瑜、字を公瑾と申します。遠い地の者では御座いますが祖父君の威名は幾度も聞及びました。誠に以て御悔やみを申し上げる」
「御丁寧に辱く。弘農華陰の楊脩、字を徳祖に御座います。その様に申してくれるのなら祖父も黄泉の国で喜んでくれるでしょう」
優美が秤となりながら勇美と涙の跡を残す少年の三人が話をする。勇美な少年が人を嫌う様を珍しく思いながら優美な少年は洛陽の状況を収集した。最も繁栄した天下の中心たる魔境雒陽を警戒しての事だ。
またそれを理解している二人も方や友として教え、方や最低限の付き合いとして状況を教えた。主に宦官の嫌われぶりと朝廷への諦念に頻発する乱への恐怖。若くして優れた同年代の三人は現状の危うさを共有した。
「案ずるな少年達よ!!!」
〓盧繁〓
うわ……声デカ。
……これアレだな。
振り返りゃ正解。
「お久しぶりです伯圭殿」
俺の拱手にドっパァッと掌へ拳を叩きつけ。
「うむ!! 久しい!! 元気そうで何よりだ盧繁!!」
いや相変わらず声デケぇな。溌剌で屈強の声デカ兄さん公孫瓚さん。サンサンサン相変わらず過ぎる。
そして相変わらず偉大っぽい雰囲気で人好きのする笑顔。
ドンと胸を叩く。銅鑼かな? いや銅鑼ってかもうドラミングだけど。
「涼州の乱に付いては!! 張車騎将軍殿より此の!! 公孫伯圭にこそ声が掛かった!! 万民の悲願を背負い!! 来年には西方を平らげ!! 天下を安んずる所存だ!!」
「心強い限りです」
「ハッハッハ!! ウム!! 此の無駄にデカい声で!! 態々この人数多ある場で大言壮語を吐いた!! 一刻も早く戦支度を整えねばならん!! 繁!! 俺の大声、忘れてくれるな!! 今は亡き後漢の光!! 段紀明将軍閣下の様に胡賊の討滅を成さねば嘲弄されねばならんからな!!」
「……御武運を」
「ああ!! 失礼する!!」
この人の拱手耳いてぇよ。
……ハァー。悪い人って言うと微妙に違うがなぁ。そーな、やり過ぎる人って感じだよなぁマジで。無茶しなきゃ良いが。
うわ二人してスゲぇ顔してやがる。
「アレが盧繁の言ってた涿郡の公孫県令か。数十騎で数百の鮮卑族を撃滅して周辺の異民族を震え上がらせたとは聞いたけど……」
「ああ、まぁ周瑜の予想は合ってる。あの人はちょっと脳味噌まで筋肉なところがあって苛烈って感じだ。いや頭は良いんだけど加減を知らないんだよ」
マジで異民族ブチコロマシーン過ぎるんだよな……。
「勇にして禮無きを悪む。果敢にして塞がる者を悪む。かな?」
「俺は嫌うまでは言ってねぇよ。寧ろ徼めて以て知と為す者を悪むぞ」
……何でこのストーカー嬉しそうなんだよ。
周瑜が溜息吐いてんぞ俺とテメーのせいで、
「何というか、随分宦官と関わり売官で位を買い良人を殺して晩節を汚した段紀明が光か。いや異民族の討伐なら右に出る者が無いけど憧れるには少々、かな」
あぁ、周瑜もそう言う感じか。まぁこればっかりはしゃーないな。俺だって危ない感じするもん。
ただなぁ……。
「そう言わんでくれや周瑜。確かに過剰なんだが幽州は異民族との争いが絶えないんだよ。異民族に強いってのは憧れる理由に十分なっちまうんだ。
親類縁者が拐われたり殺されたりって事も儘あるし、知り合いが被害を被ったって言うなら皆そうだ。それこそ物を盗まれた事がない家なんて先ず無いからな。
もちろん鮮卑匈奴の全員が敵って訳じゃ無いが、まぁああなるのも仕方ないっちゃあ仕方ないんだよ。そっちも武陵蛮とかあるだろ?」
「あー、成る程ね。腑に落ちる話だ」
異民族の問題はなぁ……結構根が深くなるからなぁ……。
「夷狄は威徳を用いて帰伏させる物。彼の方の様な威もまた肝要であり、徳の優れた方と合わせれば万全でしょう。そう、君子これに居れば何の陋しきか之有らん。
我等は彼等の奮戦の上に平穏が有るのを忘れぬ様にせねば」
……このストーカー異民族に襲われた事無さそうだな。