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盧植のおそらくは居ただろう子供に転生?した系三国志の話  作者: 凡凡帆凡
年齢的に何もさせれんし時代的に出さんといけん人多過ぎて手に余る編
12/33

都での生活

ポイント・ブクマ・いいね有難うございます。


ちょいちょいランキングに入ってるしブクマとか頂けたんでメインで書いてるやつの合間に書いてキリのいいトコまで書けたら投稿しよっかなってくらいの感じの投稿で19日まで一日一話、計7話予約投稿しますので暇潰しにでも見てってくれれば幸いです。


尚、今回はメチャクチャ筆が進んでコレなので御注意ください。


てか暑過ぎて頭回らんです。

 一室にて何も持たず少年が口を開き未だ辛うじて高い声を発していた。


「孔子、泰山の側を過ぐ。婦人、墓に於いて哭する者有りて、而るに哀しげ。

 父子、式して而るに之を聴き、子路をして之に問わしめて曰く、子の哭するや壱に重ねて憂ひ有る者に似たりと。

 而ち曰く。然り。昔、我が姑、虎に於いて死せり。吾が夫また焉に死せり。今、吾が子また焉に死せり。

 父子曰く、何の為に去らんや。

 曰く苛政が無し。

 父子は曰く、小子は之を識せ。苛政は虎よりも猛なり」


 口を閉じた少年の目が相対する三十程の男の方へ向く。本を捲っていた男は其れを閉じて頷き。


「はい終了。帰って良いよ」

「ちょっと待って」

「何? 君は遊び盛りだろう。ほら、お小遣いあげるから洛陽の街でも回ってきなさい。改元で浮かれもしないなんて全く真面目なんだから。さ、行った行った」

「待って文礼先生。俺、暗唱しただけだけど。いや結構かかっちゃったけどさ。え? 終わり?」

「だって別に本書いたり註釈とかする気ないでしょ君は。それに折角の乱世に先生の武の部分を色濃く継いだんだ。治世ならともかく乱世ならそっちを活かした方が良いよ」

「いや別に率先して戦いたい訳じゃないんだけど……」

「じゃあアレだ。

 父の讎は与共して天を戴かず、兄弟の讎は兵に返らず、交友の讎は国を同じくせず。

 ってところかな?」

「いや、まぁアレはちょっと暴走してた感じなんで……。あんな事しといて言えた口じゃないですけど仇討ちを推奨し過ぎるのも……。いや、それだと仇討ちが無いと高を括る馬鹿が出るか?」

「自分の仇討ちを恥の様に言うね。それに良い悩みだ。このご時世に儒学に阿ってないのは凄い事だよ。

 良いんじゃない? 外じゃ言えないけど何事も度が過ぎたらダメになる。正に過ぎたるは猶お及ばざるが如しだね。本当に外じゃ言えないけど。

 それだけ考えてれば十分さ。さ、遊んで来なさい」

「……なんか追い出そうとしてません?」

「……そんな事ないよ?」

「その淮南子と呂氏春秋は何です? 今日は礼記の勉強でしたよね」

「……もうちょっとで完成しそうなんだよね。註釈書」

「ほぅ……」

「待って!! ここクビになったら困る!! まだまだ本を書き足りないんだ!!」

「……良いでしょう。分かりました。先生の残す書には価値がある。だから今回のみです。父上には黙っときます」

「助かるよ!」

「代わりに孫子兵法の写本をください」

「え“。せ、戦国策じゃ駄目かい?」

「先生は教師役として幾ら貰ってましたっけ」

「……あい。ホントすいません」

「いや謝るの俺じゃなくて父上でしょ」

「ゴフゥ……ッ!!」

「いや崩れ落ちないでくださいよ。そんな後ろめたいなら授業だけでもちゃんとやれば良いのに」

「だって今いいトコなんだもん……」

「子供か!」


 〓盧繁〓


 先生、めっちゃ良い先生なんだけどなぁ。文書に付いて考え出すとそれしか出来なくなる癖が酷い。限度ってモンがねぇよ。


「まぁ良いわ。つっても金は貰っちゃったけど何を楽しめってんだか。飯食うか武器買うかしかねぇぞ。曲芸も変わらねぇし」


 マジでこの時代に娯楽なんて飯がまぁギリギリ楽しめるくらいだ。いや飯も基本は微妙。

 だいたい現代と比べりゃ過去なんて大概そうだろうが弓の練習か本でも読んでた方が暇を潰せるんだよな。大赦だの改元だので祝ってる現状でさえ正直言って微妙過ぎる出し物しか無い。いやこの時代だと他にゃあローマくらいしか並ぶ国もないんだろうけどゲームとかしたいわマジで。

 何なら曲芸に関してはマジ危なっかしくて見てられん。何、剣山綱渡りって。バカだろ。


「傲りは長ず可らず。欲は従にす可らず」


 だいたい外出るとアホ見られるんだよな。てか市場まで行くとやたらと話しかけられるくらいなら良いが力試しだのが始まりやがる。いや力はある方だけど。


「玉、琢かざれば器を成さず。人、学ばざれば道を知らず」


 見世物ってか見世者になるんだよなどっちかってーと。この前なんか遂に旅人からお捻りか何かの小銭貰っちゃったしよ。


「学びて然る後に足らざるを知り、教えて然る後に困しむを知る」

「煩ぇよさっきから」


 振り返れば予想通り同い年のバカがいた。メチャクチャ頭が良いがエゲツないバカだ。大尉の人が言ってた人の孫で楊東郡太守の弘農楊家の本流の倅のバカ。


「だって子昌が無視するんだ。仕方がないじゃないか」

「俺が塾から出てから何処にいたか言ってみろや。背後取ってほくそ笑んでた癖に。気持ち悪いわ」

「……何でわかったの」


 ブラフに引っかかりやがったなクソガキが。

 てか何回目だよ俺の背後取ろうとすんの。毎回毎回通行人に見られてんの気付けよ。どう見ても良いとこのボンボンが物陰に隠れてりゃそらみんな見るわ。

 ホント頭は良いが未だアホだなコイツ。


「さぁな。変態付き纏い野郎が。帰れ」


 何笑ってんだ帰れ。俺は武器見るんだよ。テメェ俺の斧おっことしてたろ。


「悲しいかな老若男女が僕に阿る。累世大尉の楊家と繋がりを持つ為にだ。君は何故そうしないんだい?」

「え、お前なに? 阿られたいの?」

「……やめて欲しいね」

「そもそも初対面でおちょくって来た奴に阿る訳ねーだろ。お前の爺さんが父上の擁護してくれた大尉殿じゃ無けりゃ普通にブン殴ってるぞ。何が子曰く父母唯其の疾之を憂うを知ってるかだボケ」

「父母在せば遠く遊ばず。間違った事を言ったかな?」

「悪戯に正論なんぞ吐くんじゃねぇ。しかも初対面の俺の心情と家業を理解した上でホザく辺り尚タチが悪りぃわ。だいたい何が英雄殿だテメェ」

「フフフ」


 ……コイツマジデ。いや落ち着け俺。このテンションの先が黄巾の乱ヒャッハーだ。


 考えてみりゃあコイツもこんな時代の名家に生まれちまった。そう、だから関わりたくもねぇ碌でもねぇのに付き纏われてんだろ。俺とは違って純然たるガキだってのに。


 ……まぁ、鼻っ柱はヘシ折るか。コイツの為にも。うん、良い大義名分だ。ヨシ。


「おい変態付き纏い野郎。俺が一つだけ忠告してやる。確かにお前は名家で他者に比べりゃ身の安全は段違いだ。だが何をしても安全じゃねぇ。そりゃ勘違いってもんだ」

「……? 当然じゃないか。名家は僻みを受ける者だよ。また利用しようとされるのは常だ」

「そりゃ士大夫の話な。違う。

 お前の今の振る舞いは獣の前で全裸で寝っ転がってる様なモンだ。それが許されて来たんだろうが俺が嫌だから止めろと言うのにヘラヘラ笑って続けるってのはそういう事だ。庶民どころか奴婢に殺されかねんぞ

 己の欲せざる所、人に施す勿れ、だ」

「ハハハ君は自分が獣だとでも?」

「人が獣と差異があるとでも?」


 何をギョッとしてやがる。


「良いか? 人の感情には壺みたいに限界ってモンがある。そんで気安いと無配慮をお前は履き違えてんだよ。今でこそガキだから仕方ねぇで済むが」


 近場に立て掛けてあった槍を一本掴みヘシ折る。半分になったそれを重ね折る、また重ねて折る、重ね折って掌を見せてやった。初めてガキらしい顔になったなオイ。


「成る程、才能はあるんだろう。成る程、謙虚なんだろう。だが阿るのが嫌だと言いながら吐く言動は配慮、いや相手への。俺へ不快な思いをさせ我慢を強いている」


 置いてある剣を握り鞘ごと圧し折る。


「性善説、性悪説どっちでも良いが正しく在る努力を怠るなって話だ。其の邪魔をする様に人の感情の壺へ不快な汚水を垂れれば相手の壺は張ちきれて獣になる。お前が獣にしちまうんだよ」


 青銅の盾をヒン曲げる。


「獣は立場も社会も関係ねぇ。お前みたいに人を獣に変えて殺された人間なんて枚挙に暇がねぇだろう。刺客列伝の連中みたいな行儀の良い連中ばかりじゃねぇぞ。特に今みたいな乱世ならな」


 ……あんま響いてねぇな。と言うか普通に武具ヘシ折った事に引いてるだろこれ。うん、やっちゃったぜ。


 どうしよ。違ぇんだよな。こーゆーんじゃねぇんだ。と言うか所業がガキだな我ながら。


 言って聞かせられねぇからってパワーで分からせるのは違うじゃん。何かこう、普通にダメじゃね?


「……店主さん。申し訳ない。ダメにした物の代金です」


 あダメだ。店主もドン引きしてる。終わったわ。話の区切りにしようと思ったけどダメだわコレ。あ、も知らね。


 この後メチャクチャ父上に怒られた。

高誘・文礼

字は適当。たぶん盧植の弟子。字は論語かなんかの孔子先生マジ最高ッスよ的なアレから借用。高とか誘が出てくる文ねーかなーって軽い気持ちで探したらコレしか無かった。高の字も誘の字も有るしエエかくらいのノリ。

顔淵喟然歎曰。仰之弥高、鑚之弥堅、瞻之在前、忽焉在後。

夫子循循然善誘人、博我以文、約我以礼。欲罷不能、既竭吾才。

如有所立卓爾、雖欲従之末由也已。

これの孔子先生めっちゃ良い感じに教えてくれるっス。文で教えくれるし礼を教えてくれるんスよ(?)のトコから。

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