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暴虐......某ギャグ

ブクマ、ポイント有り難うございます。ここ迄御覧頂き有り難うございました。

「さあ!! 改めて良く来てくださったな」

「御招き頂き感謝する」


 宴席と言うには慎ましい二人の軍人が向かい合っていた。客人は盧植で身長差が為に彼に見下ろされる主は背丈こそ劣っていたが屈強さでは上回っている。人懐っこい野獣の様な凄惨で愛嬌のある笑み。


 主は西方の趣向を感じられる装いに猛々しい虎の毛皮を腰に巻く装い。防寒的な装いでは隠せぬ程の隆々として堅牢なる巌の如き剛体なる体躯。日焼けした褐色の肌には幾つもの戦傷が残る。


「此の董卓。盧先生を御招き出来た事を嬉しく思います。加えて今代の若き英雄殿も来てくれたのだ。これほど嬉しい事もない!! 徐栄にゃあ酒でも奢ってやるか」


 豪胆に言って齢十にも成らぬ子供へ拱手。


「盧子昌殿、俺ァ仲穎だ。よろしく頼む」

「御招き頂き感謝いたします。董殿」


 子供が拱手を返せば董卓は呵呵大笑、己の顔の一際大きな横真一文字の傷を指で撫で。


「流石は先生の子だ!! 俺の顔を見りゃあ君ぐらいの子は泣き出す事もあるってぇのに。さぁ飯だ飯だ!! 牛を潰してきた。好きなだけ食ってくれ」


 その言葉で食事が始まる。董卓は卒なく話題を提供していた。


「此の話は未だ寒さの残る頃だったな。

 羌族の連中が放棄した。後で昔縁のあった羌の連中に聞いたが馬の餌が無くなったからと攻めて来たんだ。こっちも奇襲を受けたもんで退くに退けず敵の機先を制する為に出撃して攻められた城に向かって一昼夜戦ったもんよ。

 だが、そこまでは良かったが窮した羌族を慌てて追ったバカがいてな。連中が敵の伏兵にやられて逆撃を受けちまった。敵より味方の邪魔の方が手間だったな。俺も両手で弓を射った程だったよ。酷い戦いだったなぁ」


 そう言うと鼎を傾け酒を呷り顔を赤らめ。


「間抜け供には責任を取らせたが、また乱が起こらんとも限らん……」


 黙って聞いていた盧植にチラリと視線を向けて。


「盧先生、涼州がキナ臭い」


 盧植は傾けていた鼎を一瞬止めたが、しかしそのまま飲み続ける。もう一石は飲んだろうがそれでも未だ。


「大きな声では言えんが朝廷に対応できるとも思えん。先生を始め対応できる者は居るが君側の奸がいては出撃も難しい。そこで先生、宦官連中の首を落として陛下への諫言と出来ないか」

「仲穎殿、待て」

「ん?」

「宦官の首を落とすのは良い。それが現状に於いて最も難しいが分かる。だが首を持って諫言というのは乱暴が過ぎるぞ」

「……そうか。まぁ仕方あるまい。悲しきは宮仕えたる此の身ってな、全く。ああ、言ってみただけだ。気にせんでくれ盧先生」


 そう言って己の鼎に酒を注ごうとしてピタリと動きを止めて片眉を上げた。


「……あ、オレ免職されてたわ。ガハハ」


 何が面白いのか満面の笑みで酒を呷る。盧親子は困った表情を無理矢理に笑顔へ変えた。


 〓盧繁〓


 笑えねぇ〜っ!! ジジババのまぁもう直ぐワシ死ぬんじゃけどなギャグと同じレベルで笑えねぇわ!! 牛肉なかったら泣いてたぜ俺。


 つーか何この状況? 何が如何なって董卓と飯食ってんの!? 父上に呼ばれたから来たけどマジふざけんな!!


 いや、まぁ予想はできる。父上も董卓も辺境の出で黄巾の乱で免職されたんだ。同族意識っていうとアレだが話しやすかったんだろ。


 それに立場的にも汝南袁家の故吏ってのもある。……これ、まさか袁家の意識確認か? いや此処まで考えると妄想の域か。


「まぁ難しい話は終わりだ盧先生。今回、子昌殿にも来て貰ったのには訳があってな?」

「息子ですか……」


 俺? てか父上、何か声のトーン3トーンくらい低くなってない? いや、3トーンがどれくらいか知らんし調べようも無いけど。


「実は俺には孫娘がいてな」


 父上の視線が少し鋭くなった……。え、そういう事ッスか? ヤダよ俺ゴリラみたいなのとかと結婚すんの。


 いや董卓ブサイクじゃ無い、どころか割合カッコいい部類だけど顔コエーもん。ムキムキマッチョマンって言うより筋肉の怪物やんけこんなん。てか董卓の一族とか絶対殺されるじゃねーか!! 


「孫娘は沈魚落雁どころか沈山落天と言うべき程の愛らしさで目に入れたいくらい可愛くてな」


 ……爺バカだぁ。


「しかも利口で健気で徳行に秀でている戦死した嫡男が唯一残した我が至宝だ。そして可愛い。そんな孫娘に話題の英雄を一眼見たいと言われてな。だから相手してやってくれんか子昌殿」

「えーと。私などでよければ」

「そうか!! 良し!! おい!! 直ぐに白ちゃんを呼べ!! 一刻も早くだ!!!」


 メチャクチャ嬉しそうな顔をした後にエゲツない形相で奴僕を走らせたけど何、アレ。俺がやられたら全力で漏らすぞ。バカ怖いわ。


「白で御座います」


 ちょっとして随分と可愛い声。微妙に上擦ってるけど。


「おお白ちゃん!! 噂の英雄殿だぞ!! ささ」


 董卓が呼ぶが、さてどんな顔かな。まぁガキだからそう変な顔じゃ無いだろうけど——。


「盧先生、子昌殿。この子が我が子続の娘だ。今年で七歳になる。ささ、白ちゃん」

「只今御紹介に預かりました白、字を参宿で御座います」


 ちっちゃいけど既に割と美人!!? 董卓の孫娘とか嘘だろ!!! 似てるとこ何処?!


 いや年齢的なアレもあるにせよ美人は美人でも綺麗系じゃなくてバチくそ可愛い系なんですけど!! 


 董卓の御孫さんだろ??! 百歩譲ってもワイルド系美人であれよ!! んで所作完璧なのマジで何!


 あ、ダメだ。俺のツッコミ魂が抑えられん。変なこと言う前に父上ヘル、プ。あダメだ驚き過ぎて下手すると顎外れてるわアレ。


 クッソ!! もう自分で何とかするしかねぇ!!


 鎮まれ俺のツッコミ魂!!


「御丁寧に有難う御座います参宿殿。私が盧繁、字を子昌と申します。御期待に添えれたかは分かりませんが」

「そんな! いえ、その。子昌様は思っていた以上に精悍で、美しくあられて……」

「その様に仰られては照れてしまいます。参宿殿はその年で随分と確りなさっている。驚嘆するばかりです」

「あ、その。有難う御座います。でも御爺様が気にかけて下さいますし曾御祖母様や承叔父上様、皆様が様々な事を教えてくださいますから。その、皆様のお陰なのです!」


 必死か。良い子か。可愛いか!


「それは良い御一族を持たれましたね」

「はい!」


 ぐわああああああああああああああ!! 普通に良い子おおお!! 董卓の一族なのにィイイイ!!!


 あと何か照れてて可愛いいいいい!! ジャンガリアンハムスターとかチンチラみてぇな保護欲ううううううう!! 董卓の爺バカも分かっちゃうぞチクショオオオオオオオ!!


 ……ん? うお?! 董卓が天に召されかけとる!!?


 口から、何か白い湯気、もしかして魂?!!


 ……このまま逝った方が幸せなんじゃねーかな。じゃねーや!! ちゃうちゃうちゃう!


「……子昌様、如何なされました?」

「その、祖父君の御様子が……」

「え? お、御爺様?! 起きてください!!」


 あ、湯気が口の中に引っ込んだ。アレどういうギミック?


「む、どうした白ちゃん」

「御爺様、今白目を剥いてらして……。御身体の調子が悪いのですか?」

「ん? いや、そんな訳ないぞ。寧ろ頗る良い程だ。それに未だ未だこんなところで倒れている暇は無い。白ちゃんや、付いて来た連中が食いっぱぐれないようにせねばならんからな。さぁ子昌殿と話して来なさい」

「……大丈夫なのですね?」

「勿論だ。この祖父が白ちゃんに嘘をついたことがあるか?」

「御座いません」

「そうだろう。さぁ行って来なさい」

「はい」


 ……本当にこれが魔王になるのか?

董続・伯永

オリキャラ。董白の簪をしていない年齢を五歳以下だと簪云々では無く付添人云々になりんじゃ無いかと思い、五歳から十歳前半と考えると司馬朗と同年代の息子だと微妙過ぎて急遽急造した。戦って死んだ想定。でもウィキペディアだと董白の産年176以降って書いてたヤバい。


董承・仲遠(171〜189)

ほぼオリキャラ。司馬朗と同年代の息子。何か董太后の一族の董承が董卓の親族だって話があった様な気がしたんでほぼ同時期の同姓同名って事でこの名前にした。でも確か董承が捜索されたのって董卓の死後だった気がするんで親族に同姓同名は居ても死んだ息子じゃない気がして来た。


董白・参宿(?〜192)

字は不明なんで何か星のアレから取った。董卓の孫娘。

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語一族じゃなくて御一族ですか?
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