表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MMOやり込みおっさん、異世界に転移したらハイエルフの美少女になっていたので心機一転、第二の人生を謳歌するようです。  作者: 遠野紫
終章『アヴァロンヘイムと悪魔の軍勢』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/81

69 メイデンとナコンダの過去

 メイデンが話してくれた内容によると、まずあの大司教ナコンダは向こうでも吸血鬼であるとのことだった。

 薄々そんな気はしていたが、やっぱりそうだったか。


「ナコンダは数少ない同族だから、昔は仲が良かったのだけれど……ある時、自らを教祖として宗教を立ち上げたのよ。彼女自身も相当な異常者だったのだけれど、それに伴って狂信者も増えていってね。放っておけば吸血鬼全体の扱いが悪くなる程だったわ。それこそ人間が討伐隊を出すことも多々あった。だから……私が何度も壊滅させてきたの」


 ナコンダがメイデンをあれほどまでに恨んでいるのはそう言う理由があってのことか。

 確かに、何度も何度も壊滅させられてたんじゃ恨んでも仕方のないことかもしれない……もっともメイデンの言葉通りならばただの逆恨みのようなものだが。


「最近はMMOでも信者集めをしていたらしいけど、それがまさかネワオンだったなんてね。やっぱり私とナコンダは運命で紐付けられているのかもしれないわ。……けれど、それもここでおしまいね。吸血鬼への対抗策が潤沢なこの世界でこれだけの事をしちゃったんだもの。彼女は完全に消滅させられるでしょうね」


 そう言うメイデンは安堵の表情を浮かべていた。重荷が降りたかのような、そんな雰囲気だ。

 それだけ彼女にとってナコンダとの付き合いは長く、それでいて度し難いものがあったのだろう。


「お二方、少々よろしいでしょうか」


 その時、扉の向こう側から俺たちを案内してくれた護衛の人の声が聞こえてきた。


「お二方の関係者と思われる方がいらしたのですが……」


「ステラ、メイデン、そこにいるのですね」


「ルキオラ……?」


 どうやら一緒にルキオラもいるようだった。

 その後、扉が開き彼女が部屋の中へと入って来た。


 彼女の話によれば、俺たちが護衛の人に案内されていたのを連行されたと勘違いしてこの教会へと乗り込もうとしていたところで彼に会ったらしい。

 それで俺たちのことを聞き出したら一応は客人としての扱いだったと言う事を知り、パーティメンバーの一人であることを伝えてここに案内してもらったのだとか。


「お知り合いの方でしたか。それでは私はこれで」


 護衛の人が部屋から出て行く。

 するとルキオラは鎧を解除して少女の姿へと変わった。


「二人共無事で良かった……あたし、もう少しで教会に乗り込むところだったよ」


「悪かったよ。突然のことで連絡も出来なくてな」


「でも本当にタイミングが良かったわね。聖女の本拠地に殴り込むだなんて、どう足掻いても死刑は免れないわよ」


 メイデンは笑いながらそう言うが、正直洒落になっていない。

 そう考えると本当に危うかったんだな……。


「そうだメイデン、さっきのこと……ルキオラにも話してもらって良いか」


 メイデンが吸血鬼であることに加え、ナコンダと彼女の関係性……。

 今後一緒に活動することを考えると、彼女もそれらを知っておいた方が良いだろう。

 

「構わないわよ。きっと彼女なら受け入れてくれるでしょうし」


 メイデンは自身のことや大司教であるナコンダとの色々をルキオラに話した。

 それを聞いたルキオラは悲しそうな表情のままメイデンを強く抱きしめたのだった。


「ごめんなさいメイデン、気付いてあげられなくって」


「気にしなくていいのよ。それに貴方なら受け入れてくれるとは思っていたけれど、まさかこんなに私の事を思ってくれているなんてね」


「当然だよ……私たち、仲間なんだから」


 とても絵になる光景が目の前に広がっている。

 そんなことを考えていいような状況ではないし、とてもシリアスな話をしているのは理解しているが、それでも美少女が抱き合って仲間愛を確かめあっているこの光景はまさしく芸術のそれだった。


 それからしばらくの間、俺たちが広い部屋には不釣り合いな程に縮こまって待っていると、聖女が教会に戻ってきたのか外が賑やかになっていた。

 大司教及びその部下の調査が大体終わったようだな。


 その後、再び護衛の人が部屋へとやってきてまた別の部屋へと俺たちを案内した。

 そこには重苦しい雰囲気を纏う聖女もいて、明らかな異常事態だと言うのは見るだけでわかった。


「調査に時間がかかってしまい申し訳ございません。何しろ証拠となるものが多く、全てを集めるだけでも相当な時間を取られてしまったのです。ですがご安心ください。これであなた方にお話を聞くまでもなく、大司教の不正が証明できそうです」


「それは何よりです。それに、時間の方も気になさらないでください。私たちを問答無用で牢獄に入れることも出来ただろうに、聖女様はそれをせずに私たちを客人として扱ってくれました。むしろこちらが感謝しないといけないくらいですから」


 状況が状況だ。疑わしきは罰せよで俺たちを牢獄にぶち込むことだって彼女には出来たはずなんだ。

 それをしないで、あくまで情報を持つ客人と言う扱いにしてくれたわけで……聖女の器の広さに感謝しないといけないな。

 ただ、ここまで来て何もしないと言うのもあれなので、俺たちはプレイヤーに関する情報を除いた全てを彼女に伝えた。


 流石に異世界がどうとかプレイヤーとか勇者がどうたらみたいなのは今の彼女、及びこの聖王都を混乱させるだけだろう。

 何よりもメイデンのキャラクターとしての種族であるグレーターヴァンパイアが問題だ。吸血鬼であることが知られて大司教と今でも関わりがあると思われるのは不味いのだ。


 幸いにも俺は魔王殺しの二つ名を持っている。この世界基準では相当な実力者であるナコンダを無力化した異常な強さも、俺が魔王殺しの英雄だから……と伝えれば受け入れて貰えた。

 いくら国が離れていようが魔王殺しの噂自体はこの聖王都にも流れている。

 その正体については聖女も詳しくは知らなかったようだが、俺の話を彼女はこれまた聞き入れてくれたのだった。


 同時に、もはや想像も出来ない程の器の広さが彼女にはあるのだと、改めて認識することとなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ