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6 冒険者組合

 次の日、俺は冒険者組合なる組織の元を訪れていた。

 と言うのも、結局俺はこの世界がネワオンであると言う事以外全くわからないのだ。

 この世界で生きていくのならとにかく少しでも多くの情報が欲しい。

 そのためにも情報収集が急務であった。


 ……で、だ。こういう時、一番頼りになるのは役場だろう。

 この村の規模だとあまり大きな施設も無いし、頼りになるのは役場くらいのものだ。

 だが残念なことに、この街には役場が無かった。


 そこで俺は思い出したのである。

 そう言えばゲーム内では役場は各種組合的な組織と併合されていたんだったか……と。

 冒険者組合だったり、各種商会だったり、その他諸々……その街で一番大きな所が役場としての機能を有していた。


 で、この村で一番大きいのは……あろうことか冒険者組合だ。

 それもそうだろう。ここはかなり辺鄙な場所だし、商会なんかが拠点を置くような所ではない。

 だが魔物はいる。それを討伐することを生業にする冒険者も当然いる。

 であれば冒険者に仕事を斡旋する組織も当然存在する。


 ……てな感じで、無理のない感じの設定でほぼ全ての街に冒険者組合は存在していて、規模の小さい村だとそのまま役場の役割も持っている訳である。

 なので……気乗りしないものの、俺は冒険者組合に来ざるを得ない状況だったということだ。


 なんで気乗りしないのかって?

 よく考えてもみてくれ。この手のファンタジーな世界で冒険者と言えば、荒くれ者のごろつきってイメージだ。

 どう考えたって怖い。そう、怖いんだ。気性が荒くて倫理観が終わっている奴が刃物を持っているって考えたらあまりにも危険が危なすぎる。


 しかしここまで来て何も得ずに帰ることなど出来ない……この世界でまでそんな惨めでいたくはない。

 いや、考えていても仕方がない。よし、俺はやるぞ!


「ふぅ……行くぞ!」


 覚悟を決め、扉を開ける。

 するとそこにはゲーム内で見たような光景が広がっていた。

 

「おぉ……」


 それはもう、とにかく「おぉ」としか言えないものだった。

 今までは画面の向こう側だったそれが、今目の前にあるのだ。

 ザ・ファンタジーと言った装備をした者たちをこうして間近で見られるのは流石に感動するしかない。

 さっきまでの恐怖心なんてもうどこかへ行ってしまった。それくらい凄い光景なんだよこれは。


 それに思っていた程、荒くれ者の集まりという訳でもないらしい。

 結構若い人も多いし、ごろつきチンピラみたいな感じの奴はほとんどいない。

 それに役場の機能を有しているだけあって警備も厳重。まさに老若男女、いつでもおいでと言った様子だった。


 そう言う訳なので若干の想定外はあったものの、ひとまず受付嬢に色々と聞いてみることにした。

 すると、衝撃の事実が判明した。


 まずこの世界がネワオンの世界……アヴァロンヘイムであることは間違いなさそうだった。

 世界観に関しても俺が知るものとおおよそ一致している。

 少なくともここがネワオンの世界であることの裏付けが取れたのは大きい。

 だが決定的に違うものが一つある。これが重要だ。


 ……時代が、違い過ぎるのだ。

 ゲーム内でのメインストーリー時点で、アヴァロンヘイムは魔法歴700年となっていた。

 だが今は魔法歴1280年らしい。ゲーム内の時代と500年以上も離れている。

 恐らくゲームの記憶とこの世界の諸々が微妙に一致しないのはこれが原因なんだろう。


 とは言え、それがわかっただけでも大きいしこの世界についても大体わかった。

 少なくとも気合入れてここまで来た甲斐はあったってもんだ。


 ……後は帰るだけ。そう、帰るだけなんだ。

 目的は達した。もうここにいる必要はないんだ。

 だが、そんな簡単に帰れるのか?

 見ろ、この光景を。鎧にローブに、中にはちょっぴりえっちな軽装戦士だっている。

 

 魔物と戦うなんて、俺には無理だと思っていた。

 けれど、ロマン溢れるこの光景を前にしては考えも変わってしまうものだ。

 幸い、今の俺には戦う力がある。10年以上かけて作り上げたこのステラというキャラはネワオン内で間違いなく最強と言って良い存在だった。


 ならばこそ、今の俺は立ち上がるべきだ。

 この異世界で、本物のアヴァロンヘイムで、最強の英雄になるのだと。

 この世界を満喫するんだろ?

 ならそれが一番楽しいに決まっている。


 だから、やるべきことは一つ。

 ……そう、冒険者登録だ。

本作をお読みいただき誠にありがとうございます!

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