35 VSルーシオ
「ステラ……? 何故君がここに……」
「それはこっちの台詞だ……! どうしてルーシオがここにいるんだよ……!!」
感動的な再会……とは言い難いものだった。
あんな別れ方をしたんだ。そして今こんな変な会い方をしている。
くそっ、頭がどうにかなりそうだ。
言いたいことはとにかくたくさんあるが、今はそんなことよりも……。
「ルーシオが、無事でよかった」
結局、一番はこれなんだ。
彼が無事に生きていたことがわかっただけでまずは充分だった。
「ステラ……あのような別れ方をしたのに、それでもそう言ってくれるのですね。本当に君は優しい……しかし、だからこそこれ以上は進ませません」
そう言ってルーシオは俺たち二人の前に立ちはだかった。
ダンジョン下層の強大な魔力反応に、怪しい動きをするルーシオ。
もしや彼が今回の元凶なのか……?
「なあ、ダンジョンの下層に強大な魔力反応があるはずなんだ。それって、ルーシオのことなのか……?」
「強大な魔力反応? ……ああ、そう言う事ですか。それは私ではありませんよ。君の求めるものはきっとこの奥にあるアレでしょう」
「そうか。なら良かった」
少なくともルーシオが元凶と言う訳では無さそうだった。
けど、それならどうして彼が俺たちの前に立ちふさがるのか。
「それなら俺たちを通して欲しい。ソイツをどうにかしないと地上が大変なことになるんだ」
「ええ、そうでしょうね。だからこそ私はここにいるのです」
「なら話が速い。一緒にソイツを……」
「いえ、それは出来ません」
俺の話を聞き終えるまえにルーシオはそう言い切った。
「どうしてなんだ、ルーシオ……目的は同じはずだ。それなら……」
「言ったでしょう。これ以上、君を巻き込むわけにはいかないのだと。アレは私が片を付けなければならないのです」
彼の言葉からは強い覚悟が感じ取れた。
そして同時に、自分一人でやらなければならないのだと、そう言い聞かせているようにも感じた。
「どうしてもと言うのなら、私を倒していきなさい」
「そんな……こと、出来る訳……」
「であれば私にはもう構わないでいただきたい」
ルーシオはそう言って去って行く。
……いや、駄目だ。またここで彼と離れたらもう、二度と会えない気がする。
「わかった。なら、戦ってやるよ。んで俺が勝ったら、俺たちと一緒に元凶をぶっ潰す! それで良いな?」
「……全く、君と言う人は。本当に優しく……信じられない程にお人好しですね。ですが、だからこそ私は君が……ステラの事が好きなのです」
「それが本心なのか? なら、俺に勝ってみるんだな。そうしたら考えてやらないこともない」
「それが難しいことくらい、私にもわかります。それでも、もし勝てたのなら……約束は守ってもらうからね」
「……?」
最後、少し彼の口調が砕けていた気がした。
そしてその話し方はどこかで聞いたようなもので……。
「くっ……!?」
そんなことを考えている間にも、彼は脚部のジェットを噴射し、その勢いで俺へと向かって飛び込んできた。
「ハアアァッ!!」
彼のその攻撃はもう何度も見たことのある、あれだった。
拳を叩きこみ、そこから連鎖的に爆発を引き起こすというあれだ。
「あぶねえ!? ふぅ、中々に容赦がないな」
「手加減をしている余裕は無さそうなのでね」
ギリギリで避けられたものの、この攻撃は中々に厄介だな。
近接戦闘をメインにしつつ、ジェット噴射による機動力と爆発による中距離攻撃を可能にした彼の戦闘スタイルは正直、魔法メインの俺が相手にするにしては相性が悪い。
どうしても固定砲台的な使い方が主となる魔法において、あの機動力と攻撃範囲は脅威でしかないのだ。
そして爆発の威力も相当な物なのは、魔王が負っていたダメージからもよくわかる。
恐らくだが、レベル300後半の魔法系ビルドでの第七等級魔法に匹敵する火力はあるだろうな。
「ライトニングアロー!!」
とりあえず狙いを付けるためにも彼の動きを止める必要があった。
だからまずは第三等級魔法であるライトニングアローで牽制をする。
「こんなもの!!」
「おぉい! そんなのアリかぁ!?」
俺の飛ばした光の矢を彼は当然にように片手で弾き飛ばした。
MPを多めに入れてるから、一応威力的にはレベル200の第六等級魔法相当にはなってるはずなんだが……。
その後も何度か牽制で魔法を放ってみたものの、そのどれもが彼に弾き返されたり撃ち落とされてしまった。
ああ、そうかなるほど。彼の纏っている魔導騎士としての鎧がそもそも高い対魔法性能を誇っているのかもしれないな。
となると低威力の魔法だと牽制にもならないか。
「それなら私に任せてもらえるかしら」
「メイデン!?」
俺の後ろから飛び出したメイデンがルーシオに斬りかかった。
「ぐっ……また貴方ですか……!」
どうやら俺の後ろに隠れることで彼の死角に入っていたらしい。
その結果、彼は一瞬彼女への対処が遅れ、万全な状態とは言えないまま彼女の攻撃を受け止めていた。
そしてそこには、紛れも無い「隙」が生まれていた。
「今だ……炎砲フレイムバーン!!」
「ぐあぁぁッ!!」
第八等級魔法の炎砲フレイムバーンを彼の胴体へとぶち込んだ。
この魔法は巨大な大砲を産み出し、そこから高密度の炎を撃ちだす魔法だ。
その威力の高さの代償として発動までが長く、ソロでは決して使えない魔法だった。
こっちに来たばかりの一人だった頃の俺では使えなかった魔法だが、今の俺にはメイデンがいる。
彼女が隙を生み出してくれたからこそ、この魔法を彼に当てることが出来たのだった。
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