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楽園の欲祓師  作者: 翡翠ユウ
第2話 みんなの居場所

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2-28 全てを解決する方法

「俺はやるぞ。月乃(つきの)が窮地なんだ。ヘッジス・スカルが奪われる事は月乃の死を意味する。なら、俺にはやる以外の選択肢は無い」

静也(せいや)……」

「月乃。こればかりは止めても駄目だ。いくら月乃が止めろと言っても絶対にやるからな」


 静也はどこにあるかも分からない他の水晶髑髏(クリスタルスカル)の捜索を諦めるつもりはなかった。

 さらに、それによって降りかかる火の粉を振り払い、戦い抜くとこの場にいるセブンスターズの面々に意を示した。


「それにな、考えていることとというか、あくまで予想なんだが一つある」

「ほう。聞かせてもらおうか」


 この危険性を示した狩人(かぶと)が興味深そうに訊ねた。


「ヘッジス・スカルは時空をも超える力を持つ。それに他十二個と一緒に揃えるとさらに力を増すんだ。なら、全てを揃えてヘッジス・スカルの力を発動させたら、もしかしたら月乃の中からその存在ごと取り除く事が出来るんじゃないか? かつて千取(せんじゅ)が月乃の中に入れられたのなら、逆に取り出すことや消し去ることも出来るはずだ」

「確かに理論上は可能かもしれないが、その方法が他のスカルを集める事だとは限らないだろ」

「それでも、もし俺達が他のクリスタルスカルを集めるっていう作戦でいくなら、必然的にここに集まることになる。なら試してみる価値は十分にあると思うんだ」

「でも静也。このヘッジス・スカルが無くなったら私はブラックホールを出す事も、この回復力も無くなっちゃうんだよ? 少し能力のある普通の人、もしくは完全に能力を無くした凡人になっちゃうんだよ? そうしたらセブンスターズのトップではいられないよ」


 それに対して静也は、全く表情を変えずに言う。


「月乃がそう思っていても、周りは月乃をトップだと思い続けるだろうよ。それに、セブンスターズは月乃が作った組織だろ? なら月乃がいなくてどうするんだ。なぁ、みんな」


 その問に他の面々は一様に頷く。


「俺達にとって能力なんて関係無いんだよ。月乃は誰が何と言ってもセブンスターズの長だ」

「でも静也。もし消滅したとして、それと一緒に私も死んじゃうかもしれないんだよ?」

「ヘッジス・スカルはかなりの力を持っているんだ。しかも他十二個と呼応している。きっと命を保ったまま消し去ることが出来るはずだ。もし無かったとしても、俺が必ず方法を見つけてやる」

「お姉さんもよ。月乃ちゃんには感謝しているもの。命に代えても探し出してみせるわ」

「わちもです。月乃()ぇには恩があるです。それを返したいです」

「私もです。星見様に尽くすのが私の役目です」

「…わ……私……も……」

「もちろん金錠(きんじょう)もだ」


 それに対して狩人は何も言わずに肯定を示した。


「みんな……」

「そういうことだ。だから俺は他のクリスタルスカルを集めて月乃の中にあるヘッジス・スカルの消滅を目指す。みんなも同じ意見だ。それが無くなっちまえば月乃が誰からも狙われることが無くなって全て丸く収まる。それでいいだろ?」


 静也の決意はまさに全員の総意となった。


「みんな……ありがとう。私はこんな仲間に囲まれて幸せだよ。―それじゃ、私達セブンスターズは他のクリスタルスカルの捜索に全力を注ぐことにするからね。でももちろん、今まで通りGreedの殲滅は怠らずにやるからね」

「もちろんだ」

「はいです!」


 月乃はもちろん、ここにいる全員がとても嬉しそうだ。

 そこで月乃が狩人に問いかけた。


「ヘッジス・スカルがあった場所では変な事が起きていたって言ってたよね?」

「あぁ」

「なら、他のクリスタルスカルでもそういう事が起きていそうな気がするんだけど、そういうおかしなニュースとかはないの?」

「そう聞かれると思って、既に情報提供を求めている。だから真偽は別として怪しげな情報が集まると思うぞ」

「流石は狩人だね」

「ふん…… 僕はただ作業の効率化を図ったまでだ。褒められることではない」

「それでも、ありがとう」


 狩人は嬉しそうにしながらも引き続き情報提供に努めた。


「みんなも、本当にありがとう」


 月乃は感謝の思いでいっぱいだった。

 確かにヘッジス・スカルが体から消えた場合はどうなるか分からない。

 だがもしもそれで月乃が一般人になってしまったとしても、ここにいる全員は決して離れない。そしてもしも死んでしまう可能性があったとしても、それは絶対に阻止すると言ってくれたのだから。


 静也はそんな嬉しそうな幼馴染みの姿を見て、この姿と期待を裏切ってはいけないなと強く思った。そして、この景色を何としても守ってみせると心に誓ったのだった。


 その時、部活時間終了を告げる本日最後のチャイムが鳴った。

 一同が時計に目を向けると、十八時を過ぎていた。

 さらにその直後には


「…おなか……すいたです」


 小さくもしっかりとした腹の虫の声が全員の耳に入ると、それにつられて他の人達にも空腹感が押し寄せた。


「それじゃ、帰ろうか。そうだ、全部が終わったらスイパラに行こうって言ってたね」

「スイパラですと!? 行くです! 早く行くです!」

「でもこの時間よ? もう閉まっちゃうんじゃないかしら?」

「……そうだね。能徒。あそこの閉店時間は何時だっけ?」

「はい。十九時だったかと。最終入場は十八時です」

「そ、そんな……わちのおなかは……」


 項垂れる悟利(さとり)


「なら明日のお昼に行こうか。今日はそうだね、近くにファミレスがあるからそっちに行こう」

「い、行くです! でもお金無いです……」

「バイキングだよ。今日は私が出そうかな」

「絶対に行くです!」

「この人数だぞ? 大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ。迷惑をかけたお詫びにね」


 そうして一同は帰り支度を整えて早々にファミレスに向かったのだった。

 それから空腹の悟利が他の客から驚嘆の目を向けられる程に食べまくったのは言うまでもない。

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