2-2 生徒会への挑戦者
「おや? 誰かと思えば生徒会ご一行様じゃないか」
「才木君。何か用かな?」
生徒会室を出た一行は、校門へ向かう途中でその男に会った。
彼は才木秀生というらしく、この時期になると度々生徒会に絡んでくる奴だ。
「何か用? 決まっているだろう? そろそろ中間テストだ。生徒会ともあろう人達が毎回この僕に負けているんでね、少しは励ましてやろうと思って来てやったのさ」
「うん、ありがとう。みんな、帰るよ」
「ちょっちょっ」
月乃は特に特に何かを思うでもなく、その言葉を冷淡且つ華麗に受け流して再び歩きだそうとする。
「逃げるのか? 生徒会。それとも、生徒会長の星見月乃は僕の圧倒的な実力を前に腰を抜かす臆病クソ女なのか?」
「あぁ? 今なんて言った?」
その言葉には静也が反応し、その体の奥からは沸々と欲が湧き上がってくる感覚を得ていた。
そしてそのまま才木に詰め寄ろうとした時、月乃が制止した。
「で。本当は何の用? 才木君」
仕方なくといった調子で月乃が才木に問いかけると、彼はにっと笑う。
「素晴らしい提案を持ってきたんだ。この僕を生徒会に入れてくれないか? 優秀な僕ならこの学校をもっと良く出来る。この圧倒的な頭脳で素晴らしい学校にしてみせるさ」
「うーん。却下だね。生徒会は頭さえ良ければいいわけじゃないし、適任者がこの前入ったばかりだから役職の椅子は空いてないの」
才木は自らをプレゼンするように言うが、対して月乃のテンションというか声のトーンは変わらない。
「ほほう。それがその無波静也ってわけか。聞くところによると、そいつは平均点しか出せないただの凡人だそうじゃないか。そんなのよりも僕にしておいた方がよっぽど有意義だと思うがね」
「思いあがるな輩。僕達生徒会は星見が自らで選んで揃えた精鋭だ。この形が最適なのだ」
「金錠狩人。幼い頃から自らで財を成し、今ではその歳で貿易会社の社長と株トレーダーを兼任する経営と金融の秀才。でも学校の勉強は出来ないポンコツ」
「んだと?」
「テストでは学力が全てだ。結果が全てだ。その結果の前では弱者など意見する事すら許されない。逆を言えば、強者は何を言い、求めてもいいのだよ。もう一度聞こう。僕を生徒会に入れる気はないか?」
自らの学力を説く才木は、まるで成績というものに憑りつかれた悪魔のようだった。
無論そんな異様な様子に反応しない生徒会、いや、セブンスターズではなかった。なので月乃が条件を提示した。
「……それじゃこういうのはどう? 次の中間テストで才木君が私達生徒会二年生の誰か一人にでも五教科の合計点で勝てたら入れてあげる。でももし負けたら、その時は金輪際生徒会に入りたいなんて言わない事。それと、一つだけ何でも言う事を聞いてもらうからね。それでいい?」
「二年? 一年もだ。学年なんて関係ない。結果のみが全てを語るのだから」
「いいよ。その代わり、才木君が負けたら必ず条件を飲んでもらうからね?」
「臨むところだ」
そう言うと才木は去って行った。
「なぁ月乃。あんなこと言って良かったのか?」
「……まずいことになったね。売り言葉に買い言葉っていうんだっけ? 良くないね」
「あわわわ……大変ですぅぅ……」
「きひひひ……いざとなったら……みんなの為に……消す…」
「それは駄目かな。みんなも気付いたと思うけど、多分才木はGreedになる可能性があるの。生徒会として、セブンスターズとして見過ごせないよ。ということで、静也、能徒。しっかりとお願いね」
「承知しました。必ずや生徒会に勝利を」
それを聞いた静也は、横にいた能徒にふと目を向けた。
表情こそ読めないが、それでも彼女は言葉の通り生徒会を勝利に導く決心をしたようだ。
「やっぱりやるしかないみたいだな」
と静也はやれやれといった様子を見せるが、さっき月乃を臆病クソ女呼ばわりしてきた才木を許すわけにはいかないので覚悟を決めたのだった。




