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「金錠は獲得欲求と分析の能力を持ってて、小牧は―」
「悟利でいいです! わちも名前でいいです!」
「そうか。悟利は食欲を持ってるけど能力は分からない。唯と愛伽とツキノの欲は分からないけど、それぞれ魅了と非認知と不死。能徒はバリアみたいな能力を持ってるけど、欲は分からないな。良ければでいいんだけど、これから一緒にやっていくわけだからみんなの欲とか能力を知りたいな。もちろん俺自身のも。どうなんだ? ツキノ」
「そうだね……うーん……」
と言ってツキノは一度全員を見渡すと、何かを察したように続けて口を開く。
「まぁ、おいおいってところかな。でもセイヤの欲と能力は教えてあげるね。欲は排除欲求で、能力は感覚選択だよ」
「排除? 感覚選択?」
「うん。簡単に言うと、自分が消したいと思ったものは徹底的に排除したくなるっていう欲求だよ。その証拠に、セイヤは気に入らない人を今まで何人も消してきたでしょ?」
「言い方はともかくとして、確かにそうだ。で、感覚選択ってのは?」
「それはね、五感と痛覚の内どれを敏感にするか、逆に感じなくさせるかを選ぶ事が出来るの。あと、少し練習すればその感覚を研ぎ澄ませて他の人の感覚を自分と共有させる事も出来るんだよ。あえて言うなら共感ってやつかな」
「話だけ聞いてると凄そうだな」
「凄いってものじゃないよ。痛みを感じなくなるって事は確かにデメリットもあるけど、戦闘で怯まなくなって隙が減る分優位に立てるんだよ。あと他の感覚だって上手く使えば十分に強力なんだよ」
セイヤは我ながらその能力に驚くが、欲に関してはそこまで驚きを示さなかった。むしろ、納得といった様子である。
「それにしても、どうしてツキノは俺の欲だけじゃなくて能力まで知ってるんだ?」
「何年一緒にいると思ってるの? っていうのは冗談。私達の方で時間をかけて観察して調べてたの。すごいでしょ」
「そうだな。流石はツキノだ」
長い前髪によって表情は分からなかったが、なぜかツキノが頭を撫でられたがっているように感じたので、そのまま撫でてやるセイヤ。
「ちなみに今セイヤが私を撫でたのは無意識に私と感覚の共有をしたんだよ? 今は無意識でも、練習すればいつかは意識的に出来るようになるからね」
「そっか」
話が一旦途切れる、
すると能徒がツキノに何やら耳打ちをすると、ツキノは口元をむっとこわばらせた。
「えっと。それじゃ、みんな。楽しいパンケーキ……じゃない、セイヤの歓迎会兼親睦会はそろそろお開きになるよ」
「俺の歓迎会も込みだったの?」
「うん。先に言っちゃうとセイヤの事だから遠慮しちゃうかなって思って」
セイヤは改めて周りを見ると、一人を除いて歓迎してくれているように笑顔を向けてくれていた。
一人というのは無論金錠である。
しかし、ツキノ曰く照れ隠しなのだという。
「みんな。ありがとう。何て言ったらいいか分からないけど、俺、凄く嬉しいよ。これからはみんなの為に頑張るよ」
「そうですぅっ! わち達は同じ釜の飯を食った仲なのですぅっ!」
「ふへへ……仲間…みんな……仲間…」
「お姉さんも嬉しいわぁ」
「ふん。勝手しろ。僕は何でもいい」
「狩人も本当は嬉しいくせに」
「う、うるさい。僕は別に嬉しくはない。勘違いするな」
「歓迎します。無波様」
各々がセイヤを歓迎した。
これにて今日から無波静也は欲に支配された人々を狩るセブンスターズであり、星条院高校の生徒会の一員となった。




