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「生徒会活動を始めるよ」
ツキノの一声により全員に覇気が宿る。
「みんなで出るの久しぶりねぇ」
「ふへへ……みんなで行く…嬉し……ふふへへ」
姉ヶ崎は相変わらずおっとりとした様子で微笑む。
隣にいる深見は長い黒髪の隙間から怪しい目を覗かせ、にやぁと白い歯を少しだけ見せて不気味に笑っている。
その対象的な様子を前に、活動の難易度が分からなくなるセイヤ。
「能徒。Greedの情報は?」
「はい。ここから北へ3kmほど行った廃工場にいるようです。数はおよそ50~100。その中に司令塔の男が1人いると聞いております」
「ありがとう。それじゃ今回の作戦だけど」
「ちょっと待って。Greedってなんだ?」
ツキノが続きを話そうとした時、セイヤは会話について行くために一旦話を止めた。
「そんな事も知らんのか、新人」
「こっちはさっき入ったばかりなんだよ」
「まぁまぁ」
またセイヤにつっかかる金錠を宥めるツキノ。
「あぁそうだね。Greedは私達みたいに自分の欲を制御出来ずに狂ってしまったヒトの総称だよ。それを私達生徒会、セブンスターズが殲滅するの」
「つまり殺すのか?」
「今回はね。数が多いし、中には危険な欲の持ち主もいるみたいだし。国として今後の脅威になる事は間違いないよ」
「星見様。一部は生かして捕らえるようにとのことです」
能徒が静かに補足する。
「みたいだよ」
「なるほど」
本来のセイヤは厄介なのは殺した方が早い精神を持っているのでその決定に異を唱えなかった。
「みんな。分かってると思うけど、今日からセイヤが加わるからね。とりあえず今回は見ててもらうだけにするから。能徒。セイヤの護衛は任せるよ?」
「承知しました」
能徒はスマートに軽く礼をすると、セイヤをその目に映した。
無表情のその顔にセイヤも軽く会釈をする。
「それじゃそろそろ行こうか。早く終わらせて帰ろうね」
ツキノの口調はいつも通り、どこにでもいる物静かな女子といった様子だ。
生徒会長、同時にセブンスターズの長としてこれから戦おうとしているだなんて決して見えない程に。
そして全員は目的地に向けて移動を開始した。
「走るのかよ」
「当然です。私達はあくまで高校生です。車なんて持っていません」
「自転車は?」
「目立ちますし、格好が悪いです」
「確かに」
セイヤは前を走る全員を最後尾から見ていると、服装が一様に学校指定の制服なので本当に生徒会活動みたいだと思ってしまう。
「本当は移動手段に特化した能力者がいてくれれば良いのですが……」
「そんなのもいるのか?」
「もちろんです。ちなみにセブンスターズは全員能力を持っています。恐らく今回見る事が出来るかもしれませんので、しっかりと見ておくと良いでしょう」
そんな会話をしながらもしっかりとついて行くセイヤ。
先頭を行くツキノは運動とは無縁なその見た目に反して一向にスピードを落とさずに走り続ける。
その様は寧ろ慣れているようにも見える。
「そろそろみたいねぇ。あの辺から男の子の匂いがするわぁ」
「その通りでございます。姉ヶ崎様。あそこに見える廃工場が今回の目的地でございます」
全員の目にその建物が映ると、一同の雰囲気が変わった。
スイッチが入った。
その言葉が最もしっくりとくる。そんな様子である。
「みんな。終わったら明日はパンケーキを食べようね」
ピリッとした空気の中、ツキノのそんな無邪気な声が響いた。




