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美少女冒険者2人

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 街に到着すると、私はすぐに冒険者ギルドに行った。

  

冒険者ギルドに行くと、受付けのお姉さんに追い返された。

   何でも年齢が低すぎるそうだ。

  どうしても冒険者になりたければ、試験に合格してから来なさいとの事だった。 

   だが、こんな事くらいで諦めてはいられない。

  もうすぐ、世界が滅亡の危機に瀕する。

    受付けのお姉さんに食いつくと、どこかのパーティーにメンバーの一員として所属すれば、特例として仕事一緒にを割り振りして貰えるのだそうだ。

   だがもっとも、虚弱体質で魔法も使えないクソナメクジの若干13歳の小娘を、メンバーの一員として雇う冒険者パーティーなどある訳ないのだけど。

    普通はー

     と言う事で、私は私をメンバーの一員として雇ってくれるパーティーを探すために、酒場へ行った。

   この年齢で酒場など、場違いもいいとこだが、そうも言ってられない。

   未成年で、そもそも虚弱体質の私はお酒が飲めないので、レモネードを注文する。

   グラスの上には、輪切りのレモンが2つ乗っかっていた。

  酸っぱいー


   「お兄さん。」

   私はジュースをカウンターに置いて立ち上がる。

そして、テーブルでパーティーの仲間たちとともに夕食を嗜んでいる戦士に話しかけた。

    戦士は屈強な肉体と重厚な鎧を身に纏った、頬に傷がある中年の男性である。

   「お兄さん、私を、パーティーメンバーとして雇ってくれない?」

私は両手を背中に回して、腰を低くして上目遣いでできる限り可愛らしく、猫をかぶって話しかけた。 

    「うんっ?」

  テーブルの席についている戦士が振り向く。

  同時に、そのテーブルを取り囲んで同席している騎士や槍使い、魔導士や神官などの残りのメンバーたちもこちらを振り向いた。

  

     「お前、あんまり強そうに見えないけどな。

 おい、コイツのステータスはどうよ?」

  戦士が神官に質問する。

  「ステータス、殆どが3以下です。

  しかも、使える魔法はありません。」

  「はあっ、お前、滅茶苦茶弱いじゃねえか。馬鹿じゃないのか?」

  ある意味、それは半分当たっている。

若干13歳、小学校に通う年齢で冒険者になろうなど、本来なら、正気の沙汰ではない。

 「ねえ、そんな事言わないでさ。何でもするからお願い。例えば荷物持ちなんかどうかな? 」

   「 馬鹿言うなよ。お前見たいな貧弱な小娘に、荷物持ちなんかできる訳ないだろう。剣やナイフの1本も持てるかどうか怪しいもんだ 」

  

 戦士がその歴戦の観察眼ですでに私の正体を半分見抜いた。

  しかし、剣や、ナイフを持てないと言うのは、言い過ぎだ。

 「あら、そんな事ないわよ。あなたの剣だって、片手で持てるわよ」

  そう言うと、私はアイテムボックスから、1本の剣を取り出した。

   私の指先の空間から出現した剣の柄を、私は2本の指で掴んでブラブラと揺らす。

  うんッ? 

  「 その剣がどうしたっていうんだ 」

  はて、どこかで見覚えのある剣だなー

   最初は、骨肉をムシャムシャと粗食していた戦士だが、次第に顔色が変わる。

   「 はっ、まさか」

戦士は腰に付けた鞘に収まっている剣の柄を掴もうとする。

  が、そこに触れる事のできるはずの剣の柄がない。

   見ると、本来そこにあるはずの剣が鞘の中から消失していた。

  「 何っ、剣がないっ!!テメエーッ

、いつの間に!!」

   私が2本の指先でつまんでいる剣をもう1度よく見て、戦士が立ち上がって叫んだ。

  「あなたの剣だけじゃないわよ」

  

  さらに私は、この戦士以外のメンバーを挑発する。

  「 はっー  俺の槍もない」

 槍使いが、ようやくテーブルの側の柱に立て掛けた武器がない事に気づく。

  「 俺のハンマーもないぞ!!」

 「  私の杖が消えている。」

  しばらくすると、酒場中のあちこちで冒険者たちが武器をなくしていることに気が付きはじめる。

  私がアイテムボックスを開くと、手をかざした指輪の先の空間から大量の武器が出現して落ちていった。

   ボックスを使えば、手を使わなくても次元空間に武器を放り込む事ができる。

   私は彼らがテーブルを囲んで楽しくお酒と食事を楽しんでいるスキをついて、彼らに忍び寄り、アイテムボックスの中にこっそり武器を収納しておいたのだ。

 

  「どう?これで、私を連れて行く気になったかしら。」


   「てめぇー!!舐めやがって」

  戦士が激昂して、私に殴りかかってきた。

  なんて言うこと。まさかこんな事になるなんて。

   私はただ、私の持つアイテム・ボックスの性能と私の能力を証明して、

何処かのパーティーに入れてもらうつもりだっただけなのに。

   それが誤解を招き、この戦士のオジサンの闘争本能に火をつけてしまおうとは。

  恐らくこの戦士は、私にオチョくられ、ケンカを売られたと勘違いしたのだろう。

  私は冷や汗を流しながらも、冷静に戦士の動きを見切る。

 

   戦士の左右のパンチを後ろに下がってかわすと、ボックスに隠し持っていた半分のレモンを戦士の顔の前にかざして、勢いよく絞り込む。

       

   そして、その男に酸味の効いたレモン果汁を吹きかける。

  「うわあっ  俺の目が」

   慌てて両目を閉じて、両手を振り回す戦士の股間を、私は前かがみになって下から思いきり蹴り上げた。

   「ううっ」

 戦士がうめいて少し腰を落とす。

  さらに私は、素早く戦士の背後に回り込むと、彼の首筋に手刀を叩き込む。

うっっ

   連続で急所をつかれた戦士は気を失い、その場に倒れる。

 「うわあっ」

 「凄え」

 店内にいる他の冒険者や一般人から、大歓声が上がる。

   

   「この小娘めー」

  しかし、静観していた戦士の仲間のメンバーたちは、怒り心頭である。

  まずい、さすがに4人同時となれば、私は負ける。


   「怒りをお沈め下さい。先輩方。」

  「 お前は、エレス」

   2階の階段から、魔導服を着た少女がゆっくり降りて来た。

  桃色の瞳に髪、聡明で可憐な容姿と雰囲気を醸し出している。

   年は私と同い年くらい、つまり13、4歳くらい。

   この酒場にいる者たちの注目は、一気に私から彼女に移った。

   ここでの主役は、もはや私ではなく彼女である。

  そのくらい、彼女には強い存在感と苛烈とも言える魅力が溢れていた。

  「 ここにいるお客様のお食事やお酒の代金は、今日は私に奢らせてください。

  それから、これは少ないですけど、アベルさんに渡しておいて下さい。」

   そう言って、エレスは数枚の金貨を神官に手渡した。

   アベルはおそらくさっきやっつけた戦士の事だ。

    「さあ、貴女も謝って。」

  エレスは私の右手を両手で握ると、私を諭した。

    私はただ、自分の優秀さをアベルたちに認めて貰ってパーティーに入れてもらうつもりだったが、結果的にこっちからいきなりケンカを売ってしまう形となってしまった。

  彼らからして見たら、馬鹿にされたと感じたのだろう。

    私は素直に頭を下げた。

  「 偉いわよ。さあ、行きましょう。」

   そう言って、エレスは私の手を握ったまま外へ引っ張って行った。

   幾ら大金を渡したとはいえ、こんな幼い少女にあの男たちが黙るとは、この娘はいったい何者なのだ。

  彼女の物腰や魔導力の輝き、雰囲気から、彼女が相当優秀な冒険者である事がうかがえる。

  この両手で掴まれている右手からは、

優しい温もりと情熱の炎、そして、高圧電流のような魔導力が流れ込んで来る。

  

  バシッ

  きゃっー

酒場の外の路地裏に連れ込まれると、いきなりエレスは私の事を引っ張たいた。

   そして、激しい怒りの炎を燃やして、私の事を睨みつける。

  「なぜ叩かれたか分かっているわよね。

あなた、余りに弱すぎるわ。

   こそドロの真似事、それに卑怯で卑劣で陰湿な戦いのテクニックは持っているけど、それ以外は、問題外だわ。」

酷い言われようだ。

   だけど、私は黙ったまま、その場でピクリとも動けずに硬直していた。

  言い返せずにいた。

  戦士として、冒険者としての格の違い、戦闘力。

そして、彼女の燃え盛るような熱い眼差しとオーラが、それを許さない。


   「しかも、それなのになぜか異常なほどに勇敢で、無鉄砲で、好戦的すぎるわー

  冒険者は、もう少し、慎重で、臆病でなければならない。

    あなたは、冒険者には向いてないわ。」

   冒険者が臆病?その言葉には、違和感を覚えた。

    その言葉には、納得できない。

   冒険者が勇敢で何が悪い。

 「あなただって、か弱い女の子じゃない。私と何が違うっていうの? 」

   ようやく私は、勇気を振り絞って彼女に反論する。

   「そう、その通り。私たちは女性で、体格でも、筋力でも男性冒険者たちには勝てない。

   けれども、私たちほかの女性の冒険者にはあって、あなたにはないものがある。

   私たちは、魔法が使える。でも、あなたは、魔法が使えない。」 

   エレスが、怒りと熱情を抑えて、冷淡な真実を告げた。

    私が魔法を使えるかどうかは、鑑定魔法でステータス表示をみればすぐにわかる。

エレスはさらに、私の心を踏みにじる。  

  追い打ちをかける。

 「 どうして、魔法が使えないか?言ってあげましょうか?

   それは、魔法を覚えたくても、覚えられないから。

   持って生まれた魔導力が低すぎて、どんなにレベルの低い魔法でも、使える魔法が1つもないから。違って?」

  ギクッ

  私の鼓動が速くなり、呼吸困難になる。

  エレスは適確に、私の弱点を付いてくる。

    私の状況を見抜いてくる。

 「 わ、私は、魔法なんて使えなくったって、 強いからいいの。あなたにだってー 」

   勝てるーそう言おうとしたが、言えなかった。

   精一杯強がりを言ってみようとしたが、声がうわずってそれも出来なかった。

   エレスはそんな私の反応を見て、一瞬驚いたが、すぐにあきれ返った表情をした。  

  「 正直、あなたみたいな人がいると、私達も、迷惑なのよ。

   ギルド全体の評価が落ちる。

  私や真剣に生きている、戦っている冒険者まで、一般市民から誤解されるわ。

  だからー」

   確かに、今日の私は少し浮ついていた。

   街の冒険者連中に自分を売り込む為とはいえ、連中の武器を盗むのは少しやりすぎだった。

エレスがひと呼吸置いて、次の言葉を紡いだ。

   それは覚悟を決めた言葉だった。

  冷酷で、悪寒を覚えるような瞳で私を見つめて言った。

「今日を最後に辞めることね。

   もう金輪際、ここにもギルドにも来ないで。  

   今度あなたを見つけたら、私はあなたを許さないわ。」

  そして、最後のその言葉で私の心に戦慄と恐怖を植え付ける。  

    それから彼女は、そのまま立ち去って行った。

  残った私は、黙って、時間が止まったようにその姿を見つめていた。

  

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 結局、最後は言い返せなかった。

  戦士としての能力の差もあるが、彼女の凄みや情熱、怒りの炎に怖じ気づいて、抵抗出来なかった。

   反論出来なかった。

  

   彼女には、私と同じオーラを感じる。

   強さに違いはあるものの、同じ心の痛みと傷を背負う者の青白い炎をー


  冒険者たちの反感を買って、恨まれて

粛清されるのを防ぐため、大金を支払ってまで冒険者たちの溜飲を下げてくれた。


   そして、私の冒険者としての欠落や能力不足を、見抜いた。

私が冒険で命を落とさないように、私の命を守るために、冒険者を辞めるように言い聞かせてきた。    

    

   彼女はいったい何者だろうか?

   この短い人生の中で、いったいどんな濃密な時間を過ごしてきたのか?

  経験を積んで来たのか?


   その夜、私はどこかの小屋の中で藁に埋もれながら、彼女の事に想いを馳せていた。  

   こんな気持ちは、いつ以来だろう。

   そう、この温かくて、幸せで、切なくて、そして言葉では表現できない気持ちは、

あの時以来だ。

  親友が通り魔にメッタ刺しにされて、殺された1年前以来ー 


   次の日、私は酒場に行った。

   彼女はもう来るなと言ったが、それでも足を止める事はできなかった。

   この小さな胸にある微かに燃え始めた情愛の灯火を、消すことは出来なかった。


  

  酒場のある建物の付近で、ばったり昨日の戦士に出くわしてしまった。

    

   「あ、アベルさん。」

  「お、おまえは」

  「あ、あのアベルさん。昨日は本当にゴメンなさい。」 

   私は素直に頭を下げて謝った。

   実際に悪かったのは私だと言うこともあるが、エレスの顔を立てておきたい。

   折角エレスがとりなしてくれたのだから、その好意を無駄にはしたくない。

    「 私は、別に皆さんにケンカを売りたかったんじゃなくて、本当は、ただ、パーティーメンバーに入れてもらいたかっただけなんです。でも、ゴメンなさい。」

   そう言って、私はもう1度深々と頭を下げた。

    「お、おう。俺も少し、酔っ払ってたからな。

  エレスに冒険者報酬6か月分の金貨も貰ったし、これでチャラだぜ。」

  そ、そんなに。

   そう言って、アベルは照れながら、バツが悪そうに頭を描いて出ていった。


   どうして見ず知らずの私を助けるために、そんな大金を出してくれたのだろう。

   そして、その後の昨日の態度。

  

  酒場に入ると、いっせいに視線が私に向いた。

  「 おお、おまえはマリー。よく来たな。

   近くの席にいる魔法騎士の冒険者に、私は話しかけられた。

    おまえ、この街じゃ凄い有名人だぜ。

  エレスといい勝負だな。」

  アハハハ

  私は苦笑いをした。

  

  その後、私は酒場の人間に片っ端からエレスの事を聞いて回った。

   今どこにいるのか?

   彼女は何者なのか?

  そしてわかった事は、彼女はエレス・フランデル、14歳。

   どこから来て、何者なのか?それは誰にも分からない。

 いや、それが本名であるかどうかも分からない。

    1年前に突然フラリとこの街にやって来て、冒険者をはじめたらしい。

   実力は若干14歳で街の冒険者の中でもトップクラス。

    幾つものパーティーが彼女に勧誘を掛けてきた。 

    だが、彼女はその勧誘を全て断り続け、誰とも組まず、いつも1人で戦い、行動する。

    孤独で孤高のソロプレイヤー、それが皆が彼女にもつ印象である。

   

    そして、次の日、冒険者ギルドに出掛けると、彼女に会った。

  彼女はギルドの建物から出て行く所だった。

   「あなたは?」

   「探したわ、エレス」

   「何?もう来るなって、何度も言ったでしょ、いったい何の用?

  言っとくけど、お礼だったらいらないわ。」

  エレスが予想通りの、無愛想な対応をしていきた。

   「私の名はマリーよ、エレス」

   これから友達になるんだ。

私の名前を覚えて貰おう。

  「あなたの名前なんて、どうだっていいわ。」

 「 いきなりだけど、私は、あなたとパーティーを組むわ」

   

  「はあっ、あなた、何言ってるの?

 どうして私があなたとパーティーを組まなきゃいけないの?

   よりにもよって、あなたみたいな弱い

子と。」

   「それはどうかしら?私は充分に強いと思うけど。」

   今日の私はこの前のようにはいかない。

    彼女が拒絶しても、私をどれだけ否定しても、喰らいついて、私のパートナーにする。

  エレスが怪訝そうな表情をする。

 「 あなた、誰ともパーティーを組まないそうね。  

    それはどうして?」

  「あなたには、関係ない。」

  「関係あるわ。

もし、私たちが組めば、きっと大半のパーティーよりも強くなれる。

   どんな魔物でも退治できるはず。

  そして、2人で組めば、生き残れる確率も2倍に、いや、4倍になる。

  あなたも、私も。」

 「 私と組むには、力不足だって言ってるのよ。

  それともこの私と対等に戦える能力があるっていうの?」

  「 ええ、もちろんよ。

  私は、この街の、いえ、この世界の、誰よりも強い冒険者になってみせるわ。」

  そう、切磋琢磨して、お互いを高め合う。その意味でも、彼女は最高のパートナー候補である。

  「ふふっ、相変わらず、あなたには驚かさせるわね。

   その自信過剰な精神と、夢ばかり見ている楽観主義が、私は嫌いなのよ。

  そういえば、私言ったわよね。」

もし、今度あなたを見かけたら、私はあなたを許さないってー


  昨日彼女が最後に言った言葉を思い出した。   

  それと当時に、戦慄が走る。

   全ての言葉を言い終わる前に、エレスはナイフを左手に持ち、私に高速で切りつけてきた。

   私は瞬時にアイテムボックスからナイフを取り出すと、右手に持ちエレスのナイフを防御する。

   キィイイーン

   2人のナイフが火花を散らし、私のナイフが弾き飛ばされる。 

   技術が同じなら、パワーレベルで差がつく。

   まずい、すぐに新しいナイフをー

   そう思った刹那、それと同時に、エレスはもう片方の手のひらを私の胸に叩きつける。

  

    エレスの手のひらから、風の魔法が放出され、私は後方へ吹き飛ばされる。

   

   私はギルドの向かいにある武器屋の壁に叩きつけられる。

 

    さらにエレスは、魔法陣を展開すると、炎の魔法を発射した。

    私はすぐさま態勢を立て直すと、アイテムボックスから盾を取り出す。

     ファイアーボールが私の目の前で爆発する。

  衝撃で、盾を持つ手が痺れる。

    それに、炎の魔法の熱が伝わる。

   そう何発も防げないだろう。

   こないだのブルーフロッグの口から粘液とは違うのだ。

  エレスは?

  私は周りを見渡すと、彼女は人混みに紛れて、その姿はもうどこにもいなかった。

 

   

  

  

    

         



   

   

   


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