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黒き叛竜の輪廻戦乱《リベンジマッチ》  作者: Siranui
第三章 学園惑星編
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第七十二話「クラス替え」

 後日、ここネフティス養成学校……及びにアルスタリア高等学園の正門に貼られたクラス表が多くの新入生達で埋め尽くされていた。同じクラスで喜ぶ友達同士やその逆もいれば、写真を撮っている人もいる。


 ……というか、何故人間はこんな些細な事に執着するのだ。たかがクラス決めだろうに。


「……」

「大蛇、随分と深刻な顔をしてるな」


 いつの間にか隣に来ていた亜玲澄が話しかけてきた。あれから……謎の炎の檻の爆発をまともに受けてからの傷はほとんど回復していた。


「……昨日の疲れだ」

「いや〜、あれは流石に疲れるよな……お互い使い慣れない神器使ってたし」


 この喋る魔剣は本当に神器なのだろうか。まぁ、外見からして神器と言われても不思議では無いが。


「……というか、お前もよくその指輪を使おうと思ったよな。危ないとは思わなかったのか?」

「そ、それは……少しは思ったけど……」


 入学前にフランスから感謝状と共に所持することを許可された、今は亡きシンデレラ宮殿の象徴『スタニッシュリング』。その力の正体は始祖神の加護……に加え、()()()()()()()()()()を解き放つ太陽神の加護も眠っていた。

 実質二人分の神の加護がその指輪に籠められているというのに、あの時の亜玲澄はよく使いこなせたなと思う。何故ならあの指輪は加護が強い分、あまりに大きい代償が降りかかるからだ。


「でも心配するなよ、大蛇! これでも二重人格(ダブルフェイサー)も使いこなせるようになったからな」

「それも指輪に関わるのか」

「今回の試験でそれも使いこなせないと前みたいに暴走する事も分かった。正直俺は舐めていた……始祖神の加護ってのをな」


 始祖神……始祖神ゲイム。神を、概念を超越し、誕生させた『全』そのもの。神々が誕生してすぐ世から消えたとされ、数多の叙事詩や神話にもその名は伝えられていない。


 だが、ある時何故か地球にその名と伝説は伝えられるようになり、今では『全知全能を誕生させた神』……即ち始祖神として世界中で言い伝えられている。


 ――始祖神か。これによって運命はより厄介かつ複雑になりそうだな。

 

「たとえ残酷に定められた運命でさえも段々とややこしくなるんだな……」


 ぼそっと独り言を吐いている間に、もうクラス表が目の前に現れた。


「さて、俺のクラスは……」


 亜玲澄が自分のクラスを確認する。それにつられて俺もクラス表を上から下にかけて眺める。


「俺は……B組か」

「……もう見つけたのか」


 亜玲澄はB組。ちなみにそのクラスに正義やエレイナの名前は無かったらしい。


「……」


 見つからない。俺の名前が見つからない。どこだ。どこにある……!


「…………」


 クラス表に貼られているのはAからC組まで。そのどこにも俺の名前が無い。


「……無い」

「は? そんなわけ無いだろ! よく探せばあると思うが……」


 亜玲澄もクラス表の隅々まで見て俺の名前を探す。やはり俺の名前は無かった。


「俺……まさか不合格とか言わないよな」

「それはないと思う」


 いや、そう言われても名前が無いならそうとしかあり得ないはずだ。あれか、教会を粉々にしたから強制退学するとでも言うのか。


 新入生達が続々と学園の正門を通る。そんな中、未だ名前すら見つけられない俺である。

 そして、それが証明された瞬間だった。


「……無い。大蛇の名前がどこにも無い……!!」


 これには亜玲澄も驚きを隠せない。何度も確認するが、『黒神大蛇』の名はどこにも無い。


「……本当に退学とはな」

「まだ退学って決まった訳では無いだろ……流石に何か裏があるぞ」


 出来ればそう信じたい。宿命に抗う者が学校の門すら通れないのはいくらなんでも酷すぎる。


「何で……俺だけ……」


 ちなみに亜玲澄はB組、正義はC組であった。……って、少し待て。重要な人物をもう一人忘れている。


「亜玲澄……エレイナの名前も無いぞ」

「――! 嘘だろ……!?」


『一年生の皆様、これから各クラスにて集会を行います。クラス表に従い、一年生は各教室で待機してください』


 無駄に大きいアナウンスの声が聞こえ、一先(ひとま)ず亜玲澄とはここで別れた。


 ――これから俺、どうなるんだ……

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