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黒き叛竜の輪廻戦乱《リベンジマッチ》  作者: Siranui
第三章 学園惑星編
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第七十話「指輪に秘めた力」

 異常な程に眩しい光が教会に差し込んだ。学院の空は(あか)く燃えている。まるで全てを焼き尽くすかのように。


「な……何だお前は!?」

「その魔力……一体どこから!」

「知りてぇか!? この魔力の秘密をよお! 実際受けたら分かるとおもうぜ? うひゃひゃひゃひゃ!!」


 空中に立つかのように浮いている亜玲澄は左手でエレイナを抱えながら右手で太陽のような球体を精製していた。


「俺にも運の女神がついてるもんだなあ! まさかこの指輪が()()()()()()()()()()()なんて思わなかったぜええ!!」


 そう……『二重人格(ダブルフェイサー)』白神亜玲澄は時の魔法を操る人間ともう一つ、時と太陽の力を行使する『太陽神アレス』の2つの人格を持つ。


「見せてやるぜ……『二重人格(ダブルフェイサー)』の本気をよお!『狂怒之太陽サンシャイン・クレイジング』!!」


 亜玲澄の右腕が振り下ろされ、球体がベディヴィエル達に向かって落ちていく。当然誰も止められるわけが無く、教会に落ちて大爆発を起こすと同時に焼き尽くすような熱波が教会を……学院を襲った。


「うわああああ!!!」

「うっ……あああ!!」


 生徒会一行は勿論、大蛇と正義も後方に吹き飛ばされてしまった。


「お兄ちゃん、大蛇君と正義君が!」

「心配すんな。爆風で飛ばされた程度で死ぬ程あいつらは(もろ)くねぇよ」


 ……と言われても、周りの建物が一瞬で吹き飛ぶ程の爆風だ。生きていても怪我が増えるかもしれない。


「くっ……、鎧が……溶けた!?」


 熱さで着ていた鎧がアイスの如くドロドロに溶け、床に落ちて広がった。


「聞いてないですよ……この力があるなんて……!」

「そりゃそうだろ。ついさっき覚えたからな!」


 亜玲澄は右手の小指にはめてある指輪をベディヴィエル達に見せつける。


「まさかパンサーが盗もうとしてたこの指輪が俺本来の力を呼び覚ますとは思わなかったぜ……!」


 亜玲澄は再び太陽のような球体を右手から精製する。


「お兄ちゃん、もう彼らは戦えないわ!」

「んな事言われたってこいつは入学前試験何だぜ!? 油断して落ちたらどうすんだよ!!」

「これ以上やったら死んじゃうよ!」


 エレイナは亜玲澄の右手を必死に抑える。しかし、太陽は次第に大きくなる一方だ。


「これから俺らの仲間になる奴らもこのザマにしたのは生徒会だぜ? 鎧溶かした程度じゃ気が済まねぇんだよ! 一人くらい犠牲になってもらわねぇとなあ!!!」


 亜玲澄はエレイナの腕を無理やり解き、勢いよく右腕を振り下ろす。


「あ……あぁっ……!!」


 生徒会一行は絶望に満ちた目で目の前まで迫る太陽を見つめていた。こんな所で……ましてや新入生に殺される……生徒会たるものがそんな情けない死に方をするなんて――



 その刹那、太陽が音も立たずに真っ二つに斬られた。その後先程と同じ爆風が教会を吹き飛ばす。もはや教会は廃墟となった。あらゆるものが全て(むくろ)の如く白く焦げ落ちた。もうもうと舞う煙が切り払われ、そこから青いネフティスの制服を着た黒い魔剣を持った青年が姿を現した。


「……何の真似だ大蛇」

「たとえどれほど卑怯な者達であれ、殺す理由にはならない」

「大蛇君……!」


 突然の出来事にベディヴィエルは目を見開いた。が、亜玲澄は俺目掛けて火球を飛ばした。


「……」


 反射で剣を振るい、小さな火球を真上に飛ばした。


「何故俺の邪魔をする」

「これは戦争では無い。たとえ相棒だとしても、これ以上無駄な血は流させない」

「ちっ……そこまですんならしょうがねぇ……強行突破してやんよおお!!」


 亜玲澄は右手から再び火球を精製し、無数の弾丸の如く俺に飛ばす。


「早く逃げろ。ここは危ない」

「君は――」

「俺はただのアルスタリア高等学院の生意気な一年だ。ここでの戦いは俺が片を付ける」


 何とか無数の火球を剣で弾いている間にベディヴィエル達は教会から出る。生き残っている新入生達も正義を担いで逃げている。


「亜玲澄……お前にその力を使うのはまだ早い」

「黙れ……これは生徒会を潰すための力だからなあああ!!!」

「ちっ、仕方ねぇ……乱暴だがここは無理矢理腹に剣を突き刺すか」


 そう決めて俺は亜玲澄の腹部目掛けて魔剣を突く――その時だった。


「『獄炎牢獄(インフェルノプリズン)』」

「「――!!」」


 戦いが始まろうとした途端すぐに俺と亜玲澄は炎の檻にとじこめられてしまった。その張本人は知っている。一度戦って気絶させておいたはずの生徒会副会長にあたる人物だった。


「ふふっ……生徒会を甘く見ない事ね、英雄さん達♪」

 

 赤髪の魔法使いが両手を叩いた途端、檻が俺と亜玲澄を巻き込んでぐしゃぐしゃになり、大爆発を起こした。


 その焼跡からは残骸すら残っていなかった――

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