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黒き叛竜の輪廻戦乱《リベンジマッチ》  作者: Siranui
Episode of Future〜叛逆の果て〜
311/313

第二百九十八話「夢の果て」

 ――意識が脳を伝って身体に感覚を宿らせる。口と鼻を囲うようにマスクのようなものがついている。左腕に僅かな痛みが生じる。だけど、自然と身体は健康なように感じる。


「……」


 ゆっくりと瞼を開く。ぼやけた視界が徐々に鮮明になっていく。その先に映るはいつか見たのと似た病院の天井。そしてこの空間を照らす電灯の白い光。そしてその更に目の前で様子を伺う灰緑色(かいりょくしょく)の髪の少女と目が合った瞬間、少女は笑みと共に大粒の涙を零した。


「っ……! 良かった……良か゛っ゛た゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」


 力強く俺を抱きしめながら、少女は泣き出した。きっと、心配させたんだろう。長く……ずっと長く、待たせてしまったのだろう。


「……ごめん。ずっと、辛い思いをさせてしまった」


 それしか、俺の口から出る言葉はなかった。何も口出したくなかった。今はただ、彼女の苦しみに、悲しみに少しでも寄り添う事しか出来なかった。


「ばかっ……ばかぁっ……! ぜっだいっ……ぐすっ、許゛さ゛な゛い゛ん゛だ゛か゛ら゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ゛!」

「……許さなくていいよ。全部、背負うつもりだから。これから少しずつ、最後まで償うよ。君に犯してしまった、最大の過ちを」

「ぐすっ……執行猶予なんか、あげないんだがらっ……!」

「あぁ、だから最後まで監視(あい)してくれよ……朱音」

「ぐすっ……脱獄なんて、しないでよねっ」



 二人にしか伝わらない判決(こくはく)で、一度失った二つは一つとなった。その日の星空は織姫と彦星が再会を果たしていた――

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