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黒き叛竜の輪廻戦乱《リベンジマッチ》  作者: Siranui
第六章 ハロウィン戦争編
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第百九十五話「復讐 其の弐~英雄の切り札~」

 最優先緊急任務:ネフティスNo.2錦野蒼乃と北条銀二の討伐及び『完全蘇生体』錦野智優美の討伐、死器『葬無冥殺之機神鈴白ほうむめいさつのきしんすずしろ』の討伐


 遂行者:錦野蒼乃、北条銀二を除くネフティス全メンバー

 犠牲者:???



 午後12時40分 東京都渋谷区――


 「おああああああああ!!!!!」


  怒り、憎悪、復讐……あらゆる『負』の感情が反命の刃を黒く染め、轟いた。今目の前にいる亡霊となった白衣の男……北条銀二を殺す。その大きな意思の表れと言っても過言ではない。


「感情的に剣を振っては何にも当たらない。私に殺せと言っているようなものだ」

「黙れっ! 俺の未来を……仲間達(あいつら)の明日をお前なんかに閉ざされてたまるか!!」


 剣を振るう度、北条は後ろに避け続ける。何度か左手を右肩まで振りかざす動作が見えたが、きっとどこかで反撃を入れてくるだろう。


「『空操魔術』――」


 この言葉が聞こえた途端、俺は完全に北条の動きを読み間違えた事を悟った。今最も警戒すべきは左手に持つ神器ではなく、『空いた右手』だった。


「『破音壊波(シンクロウーハー)』」

「ぁっ――!!?」


 北条の右手から超音波のようなものが俺の正面を通り抜ける。刹那、凄まじい耳鳴りのような衝撃が俺を襲った。


「がっ……ぁぁぁあああ!!!」


 衝撃と耳の奥から生まれる痛みに思わず膝が落ちる。自分が震えているのか、あるいは地震が起きているのか分からないが、視界が左右に大きく揺れる。


「殺す事だけに集中しては、変わりゆく戦況に柔軟に対応出来る理性を失う。返り討ちという言葉の大方の原因はこれだ。怒り、憎悪、そして復讐……先に負の感情を表に出した奴が最終的に敗北するのだよ」

「……随分とっ……余裕、かまして来るじゃねぇか……」


 しばらくして耳鳴りが収まり、強張(こわば)った身体を何とか立ち上がらせる。今は無事だったものの、次同じように喰らえば間違いなく両耳の鼓膜が破ける。そうなればかなり不利になってしまう。

 明確な打開策は無論無い。強いて言うなら、いち早く奴を殺す。それが出来なければ俺の復讐は終わり、アカネとの約束を破ることになる。ただそれだけのことで俺はこの命を賭けている。今に過ぎた事では無いが馬鹿馬鹿しく思える。


「その余裕に満ちた口……二度と開かせねぇようにしてやるよ」


 杖代わりに突き立てていた反命剣(リベリオン)を頭上に振りかざす。徐々に周囲から青白い光が刀身に集まっていく。


「……!!」

「そういえばよくもこの反命剣(リベリオン)を一度折ってくれたな……やはりお前は、命を以てその罪を償え」


 無数の光が刀身を一層輝かせ、その周囲を螺旋状(らせんじょう)に回りだす。


「レイアめ……余計な真似をしたものだ。ならばこちらも全力で君の『裁き』に抗うまで!!」


 北条は右手の鎌を投げ捨て、白衣のポケットから黒いキューブ型の結界を取り出した。そしてそれを天高く投げる。すると、結界が硝子のような音を立てながら四散し、北条の頭上に巨大なブラックホールが出現した。


「これぞ私の全て、理をも蝕む闇……『空操魔術 終極「全蝕全呑全染闇ジ・オール・オブ・ハデス」』!!」

 

 頭上に翳した右手を正面に振り下ろした刹那、巨大なブラックホールから漆黒の波動が凄まじい勢いで俺に迫ってきた。


 そして俺も、今出せる技の極致を発揮する。レイアから受け継いだ禁忌魔法『裁き』と、一度北条を殺し損ねた禁断奥義『黒死之光鏡(エリニュエス)』を混合させ、刀身に籠める。


「反命の裁きを以て滅べ――『光獄滅廻之神裁ダムナティオ・ジャッジモルタ』」

 

 螺旋状(らせんじょう)に舞い上がった光で竜巻と化した反命剣(リベリオン)を地面を叩くように振り下ろす。前にアースラがシンデレラ宮殿を破壊した『神怒之流星(ゼノム・メギド)』に似た突風が北条の闇を斬り裂く。同時に空操魔術の闇も『裁き』の光を掻き消すように蝕んでいく。



 ――対極に等しい二つの魔力は一つになり、そして巨大な爆発を起こし、無となった。

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