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黒き叛竜の輪廻戦乱《リベンジマッチ》  作者: Siranui
第六章 ハロウィン戦争編
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第百五十六話「反逆の覚悟」

 緊急任務:ネフティスNo.6北条銀二の討伐、地球防衛組織ネフティスを北条の支配から奪還する


 遂行者:黒神大蛇、白神亜玲澄、武刀正義、エレイナ・ヴィーナス、涼宮凪沙、サーシェス、アルスタリア高等学院全生徒 

 犠牲者:???




 氷漬けにされたハロウィンで賑わっているはずの渋谷。見ているだけでも一気に寒気を覚え、まるで冬の北海道とか新潟とかにいるみたいだ。いや、そういうレベルではないというのが私――涼宮凪沙の本音だ。

 そして目の前で銃口を向けている一人の少女……私の相棒である錦野蒼乃が私をじっと睨む。その目は相棒としてでは無く、一人の討伐対象……あるいは極悪人を見るかのような眼差しだった。


「凪沙さん、最後の忠告です。そこを通してください」

「へぇ……そもそもこれが始めての忠告じゃなくて? まぁどっちにしても通すつもりはないよ。後輩を守るのが先輩としての義務だからねっ!!」


 右手だけで槍を華麗に回しながら地を蹴る。蒼乃ちゃんが撃ってきた所で回す手を止め、上段から降り下ろす。氷弾は真っ二つに分かれ、氷の粒となって四散する。それを肌で浴び、あまりの冷たさに歯を食いしばりながらも次々と迫ってくる氷弾を弾いていく。


「……抗うのですか、貴方も……彼のように!」

「……そうだね。幼い頃から大事な仲間が死んでいく運命の中生きてくなんてもう嫌だからね!!」


 ――そう、私も彼と同じ……運命に抗う者。もうこれ以上大切な仲間を死なせない、その一心でこの手を血に染めた女。あるいは復讐者。そんな私が今、最高の相棒と血で血を塗り合っている。


「はぁぁぁあああ!!!」


 少しずつ、確実に蒼乃ちゃんとの距離を詰めていく。氷の弾丸を斬り飛ばしながら、蒼乃ちゃんの喉元に突き刺す――!!


「……なら、容赦なく貴方をここで殺します!!」


 再度銃口から氷の刃を作り出し、何発か撃ちながら突進してくる。


「近接勝負で私に勝てると思ってるの!」

「勝てる勝てない以前に、勝たなければならないのです!」


 蒼乃ちゃんは氷刃を頭上に掲げ、降り下ろす。その数秒早く、私は槍を蒼乃ちゃんの銃に直撃させる。これで破壊して使えなくすれば、後はこっちのもの。


 ……しかし、現実はそう甘くない。


「くっ……!」


 矛先が銃のトリガー目掛けて直撃する寸前、突如銃口がこちらに向けられ、引き金をかける指が引かれて目の前で氷の弾丸が放たれた。とっさに左に姿勢を低くして避け、直撃は(まぬが)れた。だが撃ってきた事を予測出来ず、若干硬直してしまった。そこを逃さず蒼乃ちゃんは私の腹部を左足で思い切り蹴る。


「うっ……」


 鍛え抜かれた身体の蹴りは流石に痛みを隠すことなどとても難しいが、銃弾に当たるよりはずっと良いと心の中で呟く。また改めて意識を切り替え、肩の力を深呼吸で抜く。


「ふぅ……」


 落ち着いて、涼宮凪沙。今の蒼乃ちゃんは相棒として見ちゃダメ。一人の敵として見ないと絶対死ぬ。だから、蒼乃ちゃんを殺す気で戦わないと……!


「……行こう!」


 誰に言ってるかなんてどうでもいい。ただ私自身を奮い立たせるために言っただけ。目の前の相棒を救うことが出来るのは私だけだという意味も込めた、この言葉だ。


 全身に雷鳴が轟く。一瞬視界が白く光ったと同時に自然と強く地を蹴った。


 その刹那、左目から温かい()()()が流れ落ちた気がした――

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