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黒き叛竜の輪廻戦乱《リベンジマッチ》  作者: Siranui
第六章 ハロウィン戦争編
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第百五十四話「それぞれの強敵」

 緊急任務:ネフティスNo.6北条銀二の討伐、地球防衛組織ネフティスを北条の支配から奪還する


 遂行者:黒神大蛇、白神亜玲澄、武刀正義、エレイナ・ヴィーナス、涼宮凪沙、サーシェス、ミスリア、アルスタリア高等学院全生徒 

 犠牲者:???



 ドーム状に凪沙達を覆い尽くす氷が模倣した聖剣によって粉々に砕け散っていく。振り下ろされた刹那、禁忌(それ)は完全に無となる――はずだった。


「……愚か者め」


 聖剣から放たれる巨大な攻刃が蒼乃の目の前までに迫ったその時、謎の障壁が聖剣の進路を妨げる。


(あの人……大蛇君の結界内でこの事を予言していた人だ!)

「っ……相変わらず嫌なタイミングで出てくるよね、君は」

「ファウスト……さん」

如何(いか)にも。己の都合よく現れるのが神の超越者たるもの。貴様の禁忌などに屈伏する我では無い!」


 (かざ)されたファウストの右手が空気を掴む。その直後、二つの魔力が混ざり合い、爆発した。

 蒼乃の禁忌魔法で張り付いていた氷は建物ごと吹き飛び、仮装をした人達も悲鳴を上げながら吹き飛ばされる。


「くっ……」

「おいおい今度は何だよっ……!」


 氷漬けにされていた亜玲澄と正義も束縛から解放され、大きく吹き飛んでビルの窓ガラスに背中を強打する。


「凪沙ちゃん、無事かい?」

「はいっ……先生こそ、ご無事で……」

「爆発する前に解除したからね。おかげでこの通りさ」


 無傷のミスリアに安堵した凪沙だが、目の前に立ち尽くす相棒とファウストを見た途端、その感情は一瞬にして消え去った。

 

「……先生、ファウストを頼みます。蒼乃ちゃんは私に任せてください」

「いいの? 今でも彼女の禁忌魔法の中にいる状況でかなり不利だと思うけど」

「……大丈夫ですよ、私()ならやれます」


 今の凪沙の言葉に若干の違和感を覚えつつも、分かったよと快諾する。そして二人は再び武器を構え、それぞれファウストと蒼乃に突進する。


(こっちは任せて。絶対北条を倒してね……大蛇君)






 ◇


 先程の爆発で窓ガラスに身体をぶつけ、建物の中に突然入った亜玲澄と正義は、激痛で動かない身体を無理矢理動かし、何とか立ち留まる。


「くそっ、マジ背中痛てぇ……おい白坊、息してるかぁ……?」

「問題、無いよ……それにしても、まさかミスリア先生がこんな所に来ていたとはな」

「……ミスリア? 誰だそいつ」

「アルスタリアで大蛇の担任をしていた人だ。あとお前も一度見ただろ……あの『ロスト・ゼロ作戦』の立案者だ」

「あー、あの血祭りの時のねっ……」


 短い会話も激痛でまともに続けられない。それ程今の衝撃といい蒼乃の攻撃といい、じわじわと二人の体力を奪っていく。

 しかし、そんな二人に更なる悲報が起きた――



「っ――! 正義、左に避けろ!」

「は? いきなりなんだっ――」


 その刹那、二人の間を神速に等しい何かが通り抜けていく。その後に来る鋭い風が髪を揺らす。振り向いた先に弓を構えている人影の姿があった。


「あちゃ〜、外しちゃったか〜!」

「おいおい嘘だろ!」

「待ち伏せ……か」


 予想外な待ち伏せに驚いている間にも何発も矢が飛んでくる。電灯や照明に当たっては硝子(ガラス)が割れるような音と共に四散し、足場を奪っていく。亜玲澄と正義は二手に分かれ、上から降ってくる破片と矢を避けていく。


「おい、ここショッピングモールだぞ! 客が巻き込まれたらどうすんだよ!!」

「大丈夫だよ、そこはちゃんと気をつけてるから!」


 と、言いつつも氷漬けにされたこのビルの中に取り残された客達は悲鳴を上げながらその場から逃げていく。


「まずこんな争いに参加してる時点で今更だけどねっ……!」


 亜玲澄は矢を避けながら宙返りして両足を柱につけ、勢いよく蹴って弓使いの左肩目掛けて神器『時変剣(スクルド)』を降り下ろす。


「『倍速過剰(ハイアクセル)』!」


 唱えた途端、亜玲澄の右手首を伝って全身に無数の赤い輪のようなものが覆い、一気に降り下ろす速度が増した。


「ふぇっ……!?」


 弓使いは可愛らしい声を出して驚きながらも亜玲澄の倍速した速さの一撃を掠る寸前のところで避ける。その後すぐに衝撃が走り、床に斬撃の跡が深く残った。


「ちっ……反射速度が凄まじいな」

「ふぅ〜、危なかっ――」

一剴抜刀(いちがいばっとう)紫電一閃(しでんいっせん)!」


 今度は背後から刀が空を斬る音が聞こえ、弓使いは体制を低くしてそれも避ける。勢いが余り、正義は破片が散る床に痛みを堪えながら転がっていく。


「ちっ……これやべぇな、シンデレラ宮殿ん時のジジイなんてレベルじゃねぇ……!」


 亜玲澄と正義。二人を以てしても手強い弓使い。ピンクのツインテールに同色の服装、そして弓を持つ女性。その立ち姿は正にアイドルとしか思えない。


「ネフティスに……こんなアイドルみたいな人がいるのか……!?」

「みたいじゃないよ、まだまだ現役だよっ♪ 紹介が遅れてごめんね、私はネフティスNo.5兼の丸山雛乃(ひなの)! ひなのんって呼んでね☆」


 自己紹介と一緒にパチっと二人にそれぞれウインクを見せつける。その鍛え尽くしたアイドルのパフォーマンスに二人は息を呑んだ。それと同時に今から現役アイドルと戦わなくてはならないという謎の巨大なプレッシャーが二人を恐怖へと陥れた――

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