表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒き叛竜の輪廻戦乱《リベンジマッチ》  作者: Siranui
第四章 剣血喝祭篇
104/313

第百二話「命の価値」

 任務 ロスト・ゼロ作戦の成功

 遂行者 黒神大蛇、白神亜玲澄、エレイナ・ヴィーナス、武刀正義、カルマ、エイジ、ミスリア・セリウス、クロム・セリウス



 ヤマタノオロチ……それが、彼の本名だったのか。でも、今更知って何になるのだろうか。直に僕は死ぬ。身体(ぬけがら)をここに置いて旅立つというのに。あの声の人は何故この事を僕に言ったのだろうか。


 ……。

 ……………。

 ………もう、どうでもいい。何もかもどうでも良くなってきた。むしろ何かを考える事が馬鹿馬鹿しく思えてきた。これから消え逝く僕に何が出来よう。願えば叶うのか。祈れば実るのか。(すが)れば許してくれるのか。


 否、これは僕に定められた運命。結局は(大蛇)の実験台の一人に過ぎない。


 ……最後に聞かせてくれないか、黒神大蛇。お前は一体――




「何を……望んで、いる…………」

「何……?」

「お前は……っ! どんな運命を……、望むんだ!!」


 ……大蛇。お前は何のために運命と戦ってるんだ。そんなもののために俺やカルマが命を賭けて戦う意味は何だ。

 教えてくれよ大蛇。何で俺は目の前の神に刃を向けなければならない。何で必死に足掻かないといけない。

 そもそも今生きる者達は全てお前の運命とやらに命運が左右されるのか。


「ああああああっ!!!!」


 大蛇。お前は別の意味で人の命を軽く見ている。俺達の命はお前のものでも、神のものでもない。俺達個人のものだ。


 ――だから、俺に降り掛かった宿命くらい俺自身で変えてやる。もう昔の俺とは違う。

 それを今、この剣血喝祭で証明してやる!!


「『天啓断ツ冥神之剣ヘキザ・ジ・ゾルディック』!!」


 左手の魔剣キリシュタリアを後ろに構えつつ、右手の聖剣をもう一度ファウストに突きだす。


「くっ……まだ死なぬというのか!」


 ファウストは咄嗟(とっさ)に両手から二刀を精製し、左手の魔剣でエイジの聖剣を受け流す構えをとる。それより一秒ほど速くエイジの聖剣がファウストの心臓を捉えた。


「なっ――!?」


 ――僕はもう、レイブン王国カルマの学友エイジではない。()()()()()()を仕える、ただ一人の勇者……()()()()()()()()()()()()()だ!!


「うおおおおおおおお!!!!!!」


 深々と聖剣がファウストの心臓を貫く。鮮血の如く黒い液体が宙に舞う。


「くっ、人間如きが……神に抗えると思うなあああ!!!」


 ファウストは先程エイジの背中に突き刺した剣を精製して飛ばす。再び突き刺さる痛みに耐えながらも、エイジは左手にありったけの魔力を籠める。


「はああああああああっ!!!!」

「今度こそ……終わりだあああああ!!!」


 ファウストの右手の聖剣とエイジの左手の魔剣が同時に互いの身体を斬り裂いていく。


 長崎の地に、再び鮮血が飛び散った――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ