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未だ強さを知らない少年

 


 思考する者が、その軸に据えるもの。

 心あるものが、それを形作る核。

 それを魂と呼ぶ。


 その魂が世界の法則を傲慢にも上書きする事を『魔法』と言う。


 ―――――


 魔法を使い、人に害なす獣は魔物と呼ばれ、酷く恐れられた。

 そして魔物が大量に生成される遺跡と呼ばれる地下建造物群、その中にある強力な力を秘めた未知の道具、神器(アーティファクト)


 それら人類の脅威に成り得る物への対策管理を行うため、世界を捻じ曲げる魂の力『魔力』を多く持つ者達が創り上げた組織『SB(シルバーバレット)

 木造建築ばかりの周りの景色に溶け込もうともしない金属の壁にに守られた()の国支部に四人の団員が加わった。


「今日から『SB』の一員だよ!頑張ってたくさんの人を救けようね!」


 他の3人に元気よく声をかけるのは、困った人がいれば見捨てられない、燃えるように赤い目と赤い髪をポニーテールにくくっている少女円成(えんじょう) 緋色(ひいろ)


「ま、ボクに任せといてよ!なんて言ったって速いからね!」


 ムフンと鼻から息を吐きながら胸を張るのは、なぜか速さに拘る、長い紫の髪にサファイアのような青いの目をした少女、神速(かみはや) (なる)


「うん……じゃあ2人に任せて私はのんびりしとく……」


 早速サボり宣言をするのは面倒くさがりで内気な、目を前髪で隠しているショートカットの茶髪の少女、水口(みずぐち) 真中(まなか)


 彼女たちは3人とも魔力がBランクであり、将来的には最高ランクのAに届くと期待されている。


「やればできるんだから働こうな真中、俺は戦力になれるかわからないけど」


 そして、自虐的に微笑むのは魔力ランクがDと、『SB』に入る最低レベルでしかない黒髪黒目の少年、御門(みかど)統也(とうや)


 四人とも同じ孤児院出身だが正確な年齢はわからかったため10歳ということになっている少年少女たちだ。


「うんうん、みんなやる気があって助かるよ〜」


 目の下に隈を作った疲れきった印象の白衣を着た女性、裏方(うらかた) 日陰(ひかげ)が困ったような言葉を発するが、明らかに感情がこもっていない。ついでに真中の言葉は裏方に無視されている。


「いや……私の話……」


「真中、働かないのは良くないからな、自分に合った分野を見つけよう?な?」


「そういうことですよ〜、それに皆がよくできた子だって事は院長さんから聞いてますからね〜。お仕事は大変でも頑張ってよ〜」


「私はこの4人で一緒にいれるなら充分ですよ!早く役に立てるように訓練も頑張ります!」


「そうだよ!早いのはいい事だから早くやる事覚えちゃおう!」


「まあ……みんなと一緒にいれるのは感謝してる……」


「だな、しっかりできることは精一杯やろう」


 4人の言葉に裏方は満足そうに何度か軽く頷いてみせる。


「期待してるよ〜、田舎の支部は特に人手不足になりやすいから〜」


「都会の方から人が来たりはしないんですか?」


「異動とかで多少はね〜、でも重大事件に対応するために優秀な人材は中央本部に持ってかれるのが現実でね〜、遺跡の調査もしないといけないし〜、すぐ手一杯だよ〜。私も漢字の名前持ってるからさ、陽の国出身なんだよね〜……地元はしっかり護りたいよね〜」


「私たちが強くなります!それでここをしっかりと護ります!」


「じゃあみっちり訓練してもらわないとね〜、悪いけど私も忙しいからもう行くよ〜、スケジュールはさっき渡した通りだから頑張ってね〜」


 フラフラと去っていく裏方が何か呟いたが、それを聞き取れる者は当然いなかった。


「頑張らないとね!」


「最速で戦力になれるようにね!」


「役に立てる程度には……」


「その言葉は俺のハードルが上がるからやめてくれ」


 真面目な緋色らしい宣言と速さが全てな鳴の宣言、消極的な真中とその言葉にさえ自分が届くか不安な統也、四人は何だかんだ言いながらも全員内心ではやる気を出している、『SB』所属を示す手帳や各種マニュアルなどが書かれた書類などが入った封筒からスケジュール表を取り出す。


 そこに書かれているのは十日分スケジュール、四人とも同じ内容の紙だがそれを見て固まる。


「訓練ばっかり!仕事は!?」


「みんなずっと一緒だ!」


「訓練……長いよ……」


「それより就寝時間が決められてるとかどう考えても子ども扱いじゃねーか」


 思い思いの感想を漏らすが就寝時間にしても翌日の訓練の効率を考えれば仕方ないのかもしれない。

 特に四人で住むという条件で近くの一戸建の家を社宅として格安で貸してもらい、通勤時間も減らしてもらってるのだから四人だけだからと、羽目を外して訓練に支障が出ないようにと釘は刺されていたので納得できなくもない。


 それぞれが少しして納得してから


「「「「しょうがないかー」」」」


 と口にした。



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