第3話 次の日
2話で述べたとおり今書いてある分はこれで全部です。ただ、ちょっと学校のテストやら色々被ってしまっているのでしばらく執筆できそうにないです。
まあ何はともあれ、ゆっくりしていってね!
窓の外、いや、家の外が騒がしい。そして、窓から差し込む日が眩しい。
私はうっすらと目を開ける。
「あぁ、朝だ。今何時だろう・・・。」
私は壁に掛かっている時計を見ようと寝返りをうったところで───
「・・・あれ?あぁ、そういえばそっか。」
ここが自分の部屋でないことに気づいた。
そうだった、私は昨日、いきなり兵士に追われて・・・門番のお兄さん──ルビーさんと言っただろうか──の家に泊めてもらわせているんだった。道理で外が私の家からは想像もできないような騒がしさをしているのか。
ゆっくりと起き上がる。贅沢いえたものではないが、フローリングの床に布団を敷いただけじゃやっぱりちょっと固かった。背骨がパキパキと小気味いい音を立てる。
窓から外を見ると、日は低くも高くもない位置にあった。おおよそ八時、九時くらいだろうか。
私は布団を畳んで部屋の端にどけると、リビングへ向かった。
「起きたか。」
「あ、おはようございます。昨晩はありがとうございました。」
「礼など構わん。それよりタイミングが良かったな、今ちょうど飯を作っている。朝の準備を整えたら戻って来い。」
「え、あ、ありがとうございます!」
リビングに入ると、キッチンにお兄さんの姿が見えた。慣れた手つきでフライパンを動かしている。どうやら、朝ごはんを作っているみたいだ。
そういえば、まだ顔も洗ってなかった。ちょうど言ってくれたことだし、今のうちに準備することにしよう。
朝の準備を終えて戻ってくると、ぴったりお兄さんがテーブルに朝ごはんを並べているところだった。
「大した物ではないが・・・まあ食え。」
「わぁ、いただきます!」
お兄さんは言うなり席に着き、食べ始めた。私も促されたとおりに座る。
お米にスクランブルエッグとお味噌汁、サラダ。至ってシンプルでかつ、おいしそうだ。
というか、実際においしい。
本当に人は見かけによらないというか、お兄さんは見た目に反して色々凄い。優しいし、料理もできて戦いもうまい。
戦いもうまい、か・・・。昨日は慌てて判断を誤った。その結果一番に叩き潰されたし、私もできれば、あの強さがほしいものだ。
「昨日はなんか不便なことはなかったか?」
食べながらお兄さんが話しかけてくる。
「いえ、特になかったです。お兄さんのお陰で衣食住・・・というか、食住には困りませんでしたし。本当にありがとうございました。どうやってお礼したらいいか・・・。」
「だから礼はいいと・・・まあ、それなら良かった。」
お兄さんがお味噌汁を啜る。
「そういえば、門番の仕事として一応聞いておこう。昨日は何があったんだ?」
「あ、はい。昨日は用があってケイレーンに向かっていたのですが、ただ道を歩いていただけなのにいきなりあの二人に襲われたんです。そんな恨みを買うようなことはしていないんですが・・・。」
「ケイレーン・・・ああ、ミールヌイとロマンの間の都市か。なるほど、確かにここ、リーフとは大して距離はないな。都市のはずれと直線距離でなら数キロ程度か。」
ケイレーンはロマン帝国とミールヌイ王国の境にある、ロマンの都市だ。まあ都市といってもそこまで規模の大きいものではないが、色々な国との国境に近いため貿易拠点として栄えている。
一方、昨日お巡りさんに教えてもらって初めて知ったが、どうやらここはリーフ村というらしい。ミールヌイ王国の端にあるしがない村だとか・・・。
お兄さんが首をひねる。
「しかし、恨みを買った覚えがない、か。あれだけ明確な殺意が見えたものだが、いったいどうしてだろうな。」
そう、本当に身に覚えがないのだ。あの兵士二人は王軍の服を着ていた。だから私怨なんかではないと思うんだけど・・・じゃあ、誰の、何の命令で?
「ところでお前、ロマン人だよな?やけにミールヌイ語が達者だが・・・。」
「それだったらお母様が『ロマンに住んでいる以上覚えておくべきよ』と習わせてくださったので。お陰でそれなりには話せます。」
「なるほど、な・・・。」
お兄さんは箸を置くと、立ち上がった。
「さて、俺はそろそろお暇させてもらおう。剣の練習をしなければいけないからな。食器は台所に持っていってくれれば俺が───」
剣の練習!お兄さんの剣の練習ならいくらでも価値があるだろう。私はもっと強くなりたい。だったら私も、いや、
「あ、あのっ!」
私が呼び止めると、お兄さんは怪訝な顔で私を見た。
「剣の練習でしたら、私もご一緒させてもらえませんか!?昨日の戦い方からしてきっとお強い方だと思いますので、私も一緒に練習を───いえ、良ければ手合わせ願いたいです!」
お兄さんは不思議なものを見るような目で私を見る。そりゃそうだろう、いきなり手合わせを申し込まれたわけだし。しかし、その目はすぐに獲物を見つけた肉食獣のような目に、そして、口元は綻んだ。
「いいだろう、昨日俺に剣を抜いたときからお前のことは気になっていた。」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
「俺は先に外に出ている。お前も用意をしたら来い。」
「はい!」
お兄さんは部屋の隅に置いてあった刀を数本手に取ると、部屋を出て行った。
私も急いで食事を片すと、剣を取りに、そしてお兄さんに手合わせしてもらうため、部屋を出た。
一応解説しておくとルビーのいるのがミールヌイ、少女が最初にいたのがロマンです。つっても今2人ともミールヌイにいますが。
前書きのとおり次回はかなり遅れることになりそうです。気長に、また2週間くらいしたらふと立ち寄ってくだされば幸いです。
それでは次回も、ゆっくりしていってね!